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2016年7月11日 (月)

6.日本一広い客空間を設けた「叶匠寿庵」の「一見接客」について。

こんにちは。

このシリーズでは、約25年前(1991年当時)、お客様を「一見客・いちげんきゃく」(見知らぬ客)として迎え、「一見接客・いちげんせっきゃく」を提供することによって、大勢のお客様を引きつけた店、あるいは引きつけようとした店をご紹介しています。

さて今日は、25年前(1991年当時)の東京・伊勢丹新宿本店の地下一階の食品フロアの「叶匠寿庵・かのうしょうじゅあん」が、百貨店最大級の「客空間」を設けた「店員空間の広い引き込み型店」で提供した「一見接客」の様子についてご紹介いたします。

「叶匠寿庵」は、1970年代初めに「阪急百貨店うめだ本店」に一号店を出して爆発的な人気となり、1980年代初めに「西武池袋本店」、「高島屋日本橋店」に出店、そして1990年代に「伊勢丹新宿本店」に出店しました。

多数の競合店に比べて、群を抜いて「なわばり」を解除したこの店の「商品空間」が、それまでには見られなかった「一見接客」を提供したのです。

(以下のイラストは、「新しい客がどんどん来る店」・日本経済新聞社・1991年より抜粋したものです。)


(1)非常に広い「客空間」を設けた、「店員空間の広い引き込み型店」

「叶匠寿庵」は、1970年代初めに、「阪急百貨店うめだ本店」に彗星のごとく登場して以来、爆発的な売り上げると共に多くの関係者の注目を集めてきました。

百貨店の食品フロアに革命的な新風を巻き起こしたその要因は、「なわばり」を解除した「商品空間」を持つ、「店員空間の広い接触型店」あるいは「店員空間の広い引き込み型店」の構造をしていたことに隠されていました。

今回ご紹介したこの店は、「店員空間の広い引き込み型店」ですが、客空間が異常なほどに広くつくられた店として大勢のお客様を驚かせました。

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Photo※「店員空間の広い引き込み型店」




(2)広い「店員空間」の中で行われる、作業中の店員のアクションは、「なわばり」を解除する店員のアクションです。

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(3)広い「客空間」には、代表商品を紹介した「商品空間」の一部(左側)や、お客様が自由に座れる椅子(右側)などが用意されています。

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(4)広い「客空間」において、正しい「お辞儀アクション」や「うなずきアクション」や「案内アクション」を伴った丁寧な接客方法は、お客様に大きな満足を提供しました。


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(5)購入客にとっては大変丁寧に感じる接客も、あまりにも「客空間」が広すぎるために、買わないお客様にとっては、「なわばり」主張のアクションとなりがちでした。

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(以上のイラストは、「新しい客がどんどん来る店」・日本経済新聞社・1991年より抜粋したものです。)


この店は、「店員空間の広い引き込み型店」ですが、百貨店ではかつて例を見ないほど広い「客空間」を設けた構造になっていました。

ところが残念なことに、この店の店主が、お客様に対して教育の行き届いた「お辞儀アクション」や「うなずきアクション」や「案内アクション」を提供するために、またゆっくりとくつろいで頂くために用意した広い「客空間」は、店員の「なわばり」を解除して、高い売り上げにつながる結果とはなりませんでした。

もちろん、店員が「なわばり」を解除するためや、お客様が「商品空間」を冷やかしやすくするためや、サクラパワー現象を生み出しやすくするための「客空間」は、どの構造の店にとっても大変重要な空間です。

しかし、「店員空間の広い引き込み型店」の構造には、本来、それほど広い「客空間」は必要ありません。

むしろ広すぎる場合には、販売現場ではなく展示コーナーのイメージが強くなり、お客様の購買意欲を減退させてしまいます。

それにも増して、この店の最大の欠点は、この百貨店の食品フロアの中で一番通行量が少ない通路に面していたことです。

この店の広い「客空間」は、大勢のお客様が通行することによって、初めて効果を発揮しますが、通行量が少ない場合は、広い「客空間」は閑散とする時間が長くなるため、お客様にとっては気軽に入って行きにくい「客空間」となっていました。

確かにお客様は、店員の「なわばり」主張のアクションに遠ざけられますが、一方で、店員の「なわばり」主張をかいくぐったり、店員とせめぎ合ったりすることに魅力を感じます。

店員との「なわばり」争いも、リアルショップの醍醐味なのです。

やがて、この店の非常に広い「客空間」は、一部が甘味喫茶コーナーとなり、改善されていきました。


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