4.「狩猟解禁のメッセージ」が、店の「なわばり」を解除する
こんにちは。
リアルショップは店員の「なわばり」です。
その「なわばり」を解除して、多くのお客様を引きつけるために、リアルショップでは、様々なメッセージが発信されています。
さて、今日は、
「①見知らぬ人歓迎のメッセージ」、「②浪費は美徳のメッセージ」、「③返礼不要のメッセージ」に続き、
「④狩猟解禁のメッセージ」についてご説明いたします。
(1)狩猟のチャンスが失われた日本社会
現代社会は「狩猟」を厳しく禁じています。
私たちの社会は、大昔の狩猟採集社会から農業社会をへて現在の産業社会へと変化してきましたが、この間に狩猟に対する制限はどんどん厳しくなっていきました。
今では、狩猟を趣味として楽しめたり、広い庭で採集を楽しむことができるのは、ごく一部の金持ちだけになってしまいました。
多くの人々は、わずかな土地さえなかなか手に入れることができず、疑似的狩猟採集行為である釣りやくだもの狩りやスポーツをするにも高い代価を払わなければなりません。
このように、狩猟採集の機会を失った現代人にとって、リアルショップでの買い物は疑似的な狩猟採集の喜びをもたらしてくれるものと言ってもよいでしょう。
たくさんの買い物を抱えて帰るとき、実は私たちは獲物を持ち帰る狩人の喜びを感じています。
しかし、商店街などのような従来の店は、客が店の中で狩猟採集を楽しむことを禁止してきました。
すなわち、店が狭いこと、商品量が少ないこと、顔見知りの店員が見張っていること、客数が少ないこと、常連客中心であることなどのために、客は自由に店内を歩いたり、商品に触ったりして、狩猟採集の感覚を満たすことはできませんでした。
(2)客を興奮させる「狩猟解禁」のメッセージ
現代の繁盛店は、自分の店が豊かな狩り場であることを強調し、客の疑似的狩猟採集行為を引き出そうとしています。
商品の大量陳列は豊富な獲物や豊作を感じさせます。
自由に歩き回れる店舗構造や勝手に商品を手にとることのできるセルフサービス方式は、「ここで狩猟・採集をしてよい」という合図になっています。
また、スーパーマーケットなどにあるセルフカートやカゴ、セルフサービス方式のパン屋が用意しているトレイとトングなどは、狩猟採集の道具にほかなりません。
さらに、汚い店や雑然とした店も強力な「狩猟解禁のメッセージ」を発信します。
食べ物を一日中むきだしのままで人通りの多い所に置いてある店などは、冷静に考えれば汚いはずですが、私たちはなぜか強い魅力を感じてしまうのです。
(以上の、イラストは、「入りやすい店の秘密」・日本経済新聞社・1993年より抜粋したものです。)
以上のように、リアルショップでは、できるだけ店の「なわばり」を解除して大勢のお客様を引きつけるために、「④狩猟解禁のメッセージ」が発信されているのです。
したがって、私たちは、様々な「④狩猟解禁のメッセージ」によって、店の「なわばり」の存在を忘れて、疑似的な狩猟採集感覚を楽しむことができるのです。
次回は、「⑤もっともらしい理由のメッセージ」について説明いたします。
【関連記事】
1.「見知らぬ人歓迎のメッセージ」が、店の「なわばり」を解除する
2.「浪費は美徳のメッセージ」が、店の「なわばり」を解除する
3.「返礼不要のメッセージ」が、店の「なわばり」を解除する
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