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2016年4月12日 (火)

42.(9)貯蔵庫になった酒販店(1988年当時のさびれゆく小売店)

こんにちは。

衣料品店や食料品店や酒販店は、かつての商店街を構成した代表的な小売店です。

中でも免許制度の酒販店の場合は、競合店が限られていたために、他店に比べて比較的安定した商売が続けられてきました。

そして、それらの酒販店は、やがて商店街の衰退と入れ替わるように登場してきたコンビニエンスストアに多くのお客様を奪われていった酒販店と、コンビニエンスストアのフランチャイジーとして転身していく酒販店へと別れていったのです。

さて、今日は、約30年前の1988年当時の商店街における酒販店を「人の動き」という観点から観察してみたいと思います。

(以下の、イラスト&文は、「続・入りやすい店売れる店」・日本経済新聞社・1988年より抜粋したものです。)


(1)酒類販売業免許に守られてきた、典型的な酒屋(1988年当時)

………この店は入口をガラス戸で閉めた典型的な酒屋です。

奥が住居になっており、ひまな時には店員が奥にはいってしまうこともあります。

店内は薄暗く、商品もなんとなく古そうで、中元や歳暮のギフトセットがいつまでも陳列されたままになっています。………

P170


(2)商品空間にひやかし安全信号が少なく、回遊性がない(1988年当時)

………商品量は比較的多いのですが、ひやかし安全信号が少なく雑然と並べられた商品空間に客はいつまでも滞留することができません。

せっかく様々な商品をそろえてもそれを買う客は少なく、目的の商品だけを買うとさっさと出ていってしまいます。

酒類を扱うスーパーやコンビニエンスストアが近くにできると、客はどうしてもそちらにひきつけられてしまうのです。………

(以上の、イラスト&文は、「続・入りやすい店売れる店」・日本経済新聞社・1988年より抜粋したものです。)


かつての商店街にあった酒販店は、免許制度によって安定した常連客を確保しやすい状況にありましたが、商店街に陰りが見え始め通行客数が減少していくとともに、店内は必ず購入してくれるごく一部の常連客主体の商品陳列となり、ますますひやかし客が入りにくい店へと変化していきました。

そのために、従来までの多くのお客様は、少し離れたところにあるコンビエンスストアで買い物を済ませて、酒販店では、コンビニでは販売していない(1988年当時)ビールや日本酒や洋酒に限って利用するようになっていったのです。

そのため、店内からは関連商品が少しずつ消えてゆき、商品空間としての魅力を失ったアルコール商品の貯蔵庫のイメージとなっていったのです。

なぜ全国各地の商店街が滅んでいったのかについては諸説ありますが、なんといっても、最大の要因は、店主がその地に住み着いて商売をしたために、状況変化に合わせて、臨機応変に店舗を移設できなかったことです。

「店」とは本来、大勢の見知らぬ人が行き交う「道」に発生し、養蜂家が花畑を求めて移動していくように、通行量の変化とともに移動してゆくものなのです。

全国各地の商店街には、地元に根差して地域住民の暮らしを守ったり、地域の発展を担ったりする役割があるのではないかという声がありますが、こうした考え方は、実は商店街を構成する「店」の本来の性質を無視したものなのです。

残念ながら、「店」とは非常に移ろいやすいものであり、それゆえに老若男女が魅かれるものなのです…。

【関連記事】

1.(1)子供が去って行った菓子店(1988年当時のさびれゆく小売店)

2.(2)味が伝わらない和菓子店(1988年当時のさびれゆく小売店)

3.(3)限られた人だけのブティック(1988年当時のさびれゆく小売店)

4.(4)過去を売り続ける衣料品店(1988年当時のさびれゆく小売店)

5.(5)流行を捨てた靴店(1988年当時のさびれゆく小売店)

6.(6)若者に人気のないカバン店(1988年当時のさびれゆく小売店)

7.(7)守り続ける宝石・貴金属店(1988年当時のさびれゆく小売店)

8.(8)セルフで買えない文房具店(1988年当時のさびれゆく小売店)

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