7.やはり買いやすい大型家電店
約28年前の商店街にあった小型店と大型店についての話です。
郊外に大型店が登場してくると、商店街の小型店はいよいよ大きな打撃を受けることとなりました。
商店街の小型店が大きな打撃を受ける理由としては、大型店の方が商品が多くて価格が安いから、また大型店の方が車で行くのに便利だからという理由が直ぐに考えられますが、ここではそれ以外の要因によって、小型店が多くのお客様を失っていったという状況を研究してみたいと思います。
(以下のイラスト&文は「続・入りやすい店売れる店」・日本経済新聞社・1988年より抜粋)
(1)店の大きさとなわばり解除
………単純に考えても、店が大きくなればなるほど店員のなわばり解除が楽になります。小さい店の場合、店員がそこにいるというだけで店が店員のなわばりに占領されてしまいます。………
………小型店は規模が小さいというだけで、客にとっては入りにくい店になってしまうのです。………
(2)大型店の三空間設計
………大型店になればなるほど店頭に接触型の商品空間を持たなくなり、店内に数か所の「お勘定場」を持つようなタイプ、すなわち、「店員空間がある、引き込み・回遊型店」になります。
(3)大型店で起こる客寄せ踊り
………店員は接客や様々な作業におわれるので、近くに来た客にいちいちアプローチをかけるヒマがありません。
このことが、店員のなわばり解除になっているのです。………
(4)店員が客に声をかけない店
………この店にはいたるところに、他店では見ることのできない独特のはり紙が貼ってあります。
その内容は、この店では客がゆっくり商品を見られるように店員側からは声をかけませんというものです。………
(5)大型店で起こりやすい「なわばり主張のアクション」
………これらのアクションの失敗は、店の構造が引き起こすというよりも、むしろ古いタイプの教育や店員同士の売り上げ競争から引き起こされています。………
………大型店の場合、商品空間と商品空間の間の通路をン歩いていくと、店員が通路の真ん中に立っていて驚くことがあります。………
(以上のイラスト&文は「続・入りやすい店売れる店」・日本経済新聞社・1988年より抜粋)
以上のように、大型店は店員が「なわばり」を解除するアクションを多く提供することによって、商店街の小型店から多くのお客様を奪っていったのですが、大型店であっても、店員が「なわばり」を主張するアクションをしてしまうと、お客様を遠ざけることになりました。
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