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2016年2月24日 (水)

18.下見客の多い店ほどよく売れる(1988年当時)

約30年前の百貨店や駅ビルや通行量の多い路面にあった靴店をご紹介します。

カジュアルなファッションが一般化したり、大型の靴専門店がたくさん登場したりしている現在においても、靴の売り場は、従来と変わらずに下見客=ひやかし客の多い店となっています。

約30年前・1988年当時の靴売り場の店員と客の様子を「店は店員のなわばりである」という観点から観察・分析してみたいと思います。

以下の、イラスト&文は、「続・入りやすい店売れる店」・日本経済新聞社・1988年より抜粋したものです。


(1)「店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店」の店員と客のアクション

P116p117


………上のイラストの店は「店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店」です。

店員空間がないので、店員は客空間に立って客を待ちます。

そのため、客が少ない時間には店員の姿ばかりが目立って入りにくい状況になりやすいという問題があります。

一方、客が増えてくると店員が作業を始めるので、サクラパワーも手伝ってどんどん客が店にはいってきます。………



(2)「なわばり」を主張する店員のアクションが生じやすい店の構造

P118


………上のイラストの店は「店員空間がない、引き込み・回遊型店」ですが、この店にはフリー客(ひやかし客)がはいりにくいので手持ちぶさたな店員が店頭に出て客を待ちうけたくなってしまいます。

ここに客が近づいてきたら知らんふりをするのはあまりにも不自然なので、店員はどうしてもアプローチしてしまうのです。

客もそのことはよく知っているので、なかなか近づいていこうとしません。………

(3)「なわばり」を主張する店員のアクション

P119

………多くの靴店では、店員が客の相談をうけるために客空間に出ています。

この時、商品の前に立ちふさがって「なわばり」主張をしていると、客がその近くにやってきません。

店員は自分の存在が客に与える影響をほとんど意識していないので、自分が立っている近辺の商品は人気がないのだろうと誤った判断を下してしまうことがあります。………

(以上の、イラスト&文は、「続・入りやすい店売れる店」・日本経済新聞社・1988年より抜粋したものです)

現在の百貨店やSCや路面の靴店も、1988年当時と変わらず、上で紹介した、「店員空間がない、引き込み・回遊型店」か「店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店」の構造をしています。

しかも、人通りの少ない場所にある店や店員がじっと立ってお客様を待ち構える店は、「なわばり」を主張する店員のアクションが目立つために、多くのお客様を遠ざけています。

一方、人通りの多い場所にある店は、絶えずひやかし客が出入りを繰り返すために、「なわばり」を主張する店員のアクションは目立たず、反対に、「なわばり」を解除する店員のアクションによって、多くのお客様が引きつけられています。

近年、有名百貨店の靴売り場が、1階から2階に移動したにもかかわらず、シューカウンセラーの増員や顧客のテイスト別に細かく区分した売り場スペースとフッティングスペースの拡大によって売り上げが上がったという事例が、ネットなどで報じられています。

しかし、実際にその百貨店の靴売り場を観察してみると、「店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店」の大型店舗に、従来よりもはるかにお客様の回遊性が高い通路を取り込んだことが、売り上げが上がった要因だと分析されます。

つまり、人通りの多い通路に面した靴店には、ひやかし客が気軽に出入りすることによって「なわばり」を解除する店員のアクションサクラパワーが生じやすくなるために、大勢のお客様が引きつけられて、従来よりも高い売り上げに結びついたのです。

いつの時代にも、良い立地に出店することは、繁盛店をつくるための一番の条件なのです。

1988年以降、靴店を含む様々な多くの店を観察してきましたが、店が店員の「なわばり」であるという要因によって、店が売れたり売れなかったりしていることには、全く変わりはないのです。



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