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2016年2月 8日 (月)

10.ひやかしやすい商品空間で客を引きつける化粧品店

約28年前(昭和63年・1988年)の、神戸・三ノ宮の地下街「さんちか」にあった「コクミン」という化粧品店です。

約21年前(平成7年・1995年)の「阪神・淡路大震災」の約7年前の店の状況です。

化粧品だけを販売する店としては非常に大規模で、高い売り上げを上げていました。

この店の売れる秘密について、

1988年に出版した拙著「続・入りやすい店売れる店」・日本経済新聞社より、イラストと文を抜粋して、ご説明いたします。


(1)地下街の大きな化粧品店

P9091


………この店は「店員空間のある、接触・引き込み・回遊型店」です。

ただしこの店は左半分と右半分で少し性格が違います。

左半分では店員がケースのうしろにいて客にあれこれ説明したり実演をしたりしながら比較的高額の商品を売っています。

右半分はセルフの色彩が強く客が自分で選べる商品がたくさん並べられています。………


(2)左半分の店の様子

P91

(3)右半分の店の様子

P90


………この店の最大の魅力は、店の右側を中心に広がる豊富な商品空間です。

この店は地下街にあるという利点を生かして店の前の通路にたくさんの商品を並べています。………

………この店では通路上や通路ギリギリに置かれた商品空間が接触部分の商品空間として優れた機能を果たしています。………


(4)なわばりが解除された「商品空間」に引きつけられるお客様

P92


………この店の左半分の店員は店員空間に入っていますが、右半分の店員は客空間に出ています。

これは大勢の客に触られたり買われたりして、乱れたり数が少なくなった商品の整理や補充をするためや、客にアプローチしてもっといろいろな商品を勧めるためです。

普通の店では店員が客空間にいるだけで店員のなわばりが店中を占領してしまうのですが、この店は規模が大きいためになかなかそうはなりません。………

………特に面白いのは、店員がユニホームではなく私服を着ていることです。
このためこの店を外からちょっと見たくらいでは店員と客との区別がつきません。

この店には10人前後の店員がいますが、これがちょうど客のサクラパワーと同じ効果を持っています。

客は店員を客だと思って、ほとんど警戒せずに店内にはいってきます。………


(5)「なわばり」を解除するための商品空間の開発

P93


………例えば、他店では化粧箱にはいってガラスケースの奥に大切にしまいこまれているような商品が、この店では中身の色が見えるようにフタを開けた状態で透明の袋に入れられています。まるでバーゲンセールかなにかのようなイメージがしますが値引きをしているわけではありません。………

………このような包装にすることによって、商品は上のイラストのようなワゴンに陳列することができます。………

……… この店は店舗の規模が大きいことと極めて強力な商品空間を作りだしたことによって多くの客を引きつけ、その結果としてたくさんの店員が自然になわばり解除のアクションをすることに成功した店です。………

(イラスト&文は「続・入りやすい店売れる店」・日本経済新聞社・1988年より抜粋)

当時は、大勢のお客様を引きつける化粧品店として大評判になり、全国各地のたくさんの販売関係者が、この店を観察に訪れました。


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