11.同業者に嫌われる売れる薬粧店
約30年前、当時の商店街にあった薬局・薬店とは全く性格の異なる方法で薬を販売する大型店が登場してきて、大勢のお客様を引きつけて評判になりました。
この大型店の売れる秘密について、
1988年に出版した拙著「続・入りやすい店売れる店」・日本経済新聞社より、イラストと文を抜粋して、ご説明いたします。
(1)同業者に嫌われる売れる薬粧店
………下のイラストは、薬、化粧品、日用雑貨、ファッション小物などを幅広くとりそろえている大型の薬店です。………
………この店のタイプは「店員空間のある、接触・引き込み・回遊型店」です。
この店では左側の店員空間が広くてわかりやすいので、客に十分「セルフ」のイメージを伝えることができます。
(2)店の左半分の様子
………店の左側にガラスのケースがあって、ケースの後ろに店員(薬剤師を含む)がいますが、この部分が店全体のレジになっています。
このガラスケースの中と近辺には薬が配置されています。………
(3)店の右半分の様子
………店の中央付近にはファッション雑貨、右側に何人か店員がいるところは化粧品のコーナーです。
店頭にでているのはおもに日常雑貨とファッション小物で、接触部分の商品空間を形成しています。………
(4)店の左の壁面にある精算カウンターの様子
………この店のガラスケースの部分には薬について相談する人や、商品を持って会計をしに来る人がたくさん集まってくるので、店員は常になわばり解除のアクションをすることになります。
(5)一般の薬局・薬店はなぜはいりにくいままなのか?
………先ほどの大型店は、実は同じ地区にある同業者から非常に嫌われることになります。
一つの理由は売り上げを持っていかれてしまうからですが、それ以外にも理由があります。
薬局や薬店の店主は「先生」としての強いプライドを持った人が多く、彼らは薬というものは、客が病気の時に相談して買うものだという考え方を決して変えようとしません。
薬屋は健康に関する相談をする所なのだから、客に自由に選ばせたり目玉商品で客を引きつけたりするようなやり方は行きすぎだと感じられるのでしょう。………
(以上の、イラスト&文は「続・入りやすい店売れる店」・日本経済新聞社・1988年より抜粋)
従来までの薬局・薬店は、上のイラストのように、一見、「店員空間のある、引き込み・回遊型店」、つまりセルフサービス方式を採用した店のような構造をしていたにもかかわらず、セルフサービス方式ではなく、お客様が店にはいって来るや否や、直ぐに接客を開始する「常連接客」を行っていました。
今では、ドラッグストアが常識となり、かつては買いにくかった薬品や化粧品や関連商品が、もっともひやかしやすく買いやすい商品となっています。
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