9.改装したら買いにくくなった化粧品店
昨日(2月5日・金曜日)の、「改装しなければ客は増えないが、改装したら元の客もいなくなる」は、現在の改装についてお話しましたが、今日は、約28年前の改装の話です。
さて、約28年前の全国各地の商店街で、従来までの化粧品店が、競って改装を行ったことがありました。
改装が非常に功を奏して、従来の来店客数を大幅に上回るお客様がやって来るようになった店も確かにありましたが、大抵は、改装することによって、従来よりも買いにくい化粧品店になってしまい、その後、二度三度と部分的な改装を繰り返す結果となりました。
今回は、その原因についてご説明します。
以下のイラスト&文は「続・入りやすい店売れる店」・日本経済新聞社・1988年より抜粋したものです。
(1)改装したら買いにくくなった化粧品店
※上のイラストは、改装前の店
………改装前の店はご覧のように「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」でした。これは路面の化粧品店としては典型的なタイプで高額商品はガラスケースの中や店員の後ろの棚にありました。
店員はそれぞれ担当のケースの後ろに立って、やって来た客に接客していたのです。………
※上のイラストは、改装した店(その1)
………ところが改装後は「店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店」になりました。………
………入店客には前と同じようにアプローチをかけるのですが、客と店員をへだてるものがまったくないので「なわばり主張」がますます強くなってしまいました。
この結果、客数が減り、ヒマな店員はますます「なわばり主張のアクション」をするという悪循環に落ち込んでしまったのです。………
(2)難しいブティック風の化粧品店
※上のイラストは、改装した店(その2)
………この店も改装前は先ほどの店と同じような「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」でした。
それを今度はこの「店員空間がない、引き込み・回遊型店」にしたのです。
この構造が発するメッセージは非常にはっきりしています。
「商品を買う気のある方、どうぞおはいり下さい」つまり入店客の選別を目的とする場合にはとても有効なのですが、大勢の客を引きつけたいという目的にはそぐわないのです。………
※改装した店(その2)で生じやすい、店員の「なわばり」を主張するアクション
………もう一つの変化は店員空間をなくしてしまったことですが、その弊害は先ほど説明したとおりです。
さらに商品の種類をぐっとしぼり込みました。
これによって確かに店内はすっきりしたのですが、こんどは商品が少なすぎるために十分な回遊通路をつくることができなくなってしまいました。
このような店の構造では、客がはいってくると直ぐ店員の目にはいるので早いアプローチはさけられません。
店員は数少ない客に必死でアプローチをしてしまうのでますます「なわばり主張」が強くなり客を遠ざけてしまいます。………
以上のイラスト&文は「続・入りやすい店売れる店」・日本経済新聞社・1988年より抜粋したものです。
つまり、28年前の店の改装においても、昨日ご説明しました現在の店の改装においても、
「改装すると元のお客様も来なくなる」という大きな失敗は、店が店員の「なわばり」であるということに気付けないことから生じているのです。
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