6.常連客がフリー客を追い払うオーディオ店
(1)フリー客が入りにくいAV(オーディオ・ビジュアル)店
下のイラストは、約28年前の商店街の中にあった、ある規模の小さなオーディオ店です。
当時は、若者を中心に人気のあるオーディオや高画質ビデオ、及びそれらの周辺商品を販売する店で、AV(オーディオビジュアルの略)店と呼ばれていました。
このような人気商品を扱いながらも、この店の店主の悩みは、やはり売り上げの伸び悩みでした。
(イラストは「続・入りやすい店売れる店」・日本経済新聞社・1988年より抜粋)
この店は、常に顔馴染みの「常連客」のたまり場となっていましたが、新しい客がほとんどやって来ませんでした。
この店は、「店員空間がない、引き込み・回遊型店」の構造で、店員の「なわばり」が主張されやすい店です。
そして、商品が少ない「商品空間」は「冷かし安全信号」が出せないために、「なわばり」が解除されない空間となります。
当時は、「なわばり」を主張する店員のアクションが生じやすくい店や、「なわばり」を解除していない「商品空間」の店には、新しい客(フリー客)が入りにくいのだということがわかっていませんでした。
そのために、この店は「常連客」ばかりを引きつけ、その「常連客」が新しい客(フリー客)を遠ざけていたのです。
(2)フリー客を引きつけるAV(オーディオ・ビジュアル)店
さて、先ほどの店の五百メートルほど先にあって、高い売り上げを上げていたのが下のイラストの店です。
この店は、「店員空間がある、引き込み・回遊型店」です。
そして、大量の商品が「冷かし安全信号」を出して、「商品空間」の「なわばり」を解除しています。
また、お客様から声がかかるまでは、店員が接客を開始しないために、店内には「サクラパワー」が生じやすくなっていました。
以上のような、28年前の「売れない店」と「売れる店」を、「店は店員『なわばり』である」という観点から比較することによって、現在の売れる店づくりのための、多くのヒントが得られるのです。
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