50.客の苦情に店員は反発し、店長は弁解し、社長は恐縮する。
こんにちは。
今日は、「リアルショップあるあるシリーズ(50)」の、
「なぜ店員は、お客様の苦情に反発し、店長は弁解し、社長は大恐縮するのか?」という話です。
※お客様の苦情は、最高責任者にたどり着いて初めて、十分な対応をしてもらえるのです。だからほとんどのお客様は、苦情を訴えることを諦めてしまうのです。
リアルショップは、店員とお客様の人間関係の現場ですが、実は利害が対立しているために、店や商品や店員の対応などに関する様々なお客様の苦情が発生します。
そして、商品の価格や品質や店の方針や店員の接客態度に関して、お客様がどうしても我慢ができないことが生じた場合には、お客様は店に苦情を訴えます。
本来、店側は、少しでも多くのお客様に末永く利用していただきたいと願っているので、苦情に対しては最大限の対応をしなければなりません。
しかし、現実には、多くのお客様が訴える苦情に対して、なかなか満足のいく対応が提供できないというのが実情なのです。
それではなぜ、リアルショップでお客様が訴える苦情は、うまく解決してもらえないのでしょうか?
それは、店員や店長は「コスト最小」の生き方に強い影響を受けているからです。
わざわざリアルショップに出かけて行って、お金を払って購入したにもかかわらず、商品が傷んでいたり、違っていたり、不足していたりした場合には、お客様は当然、怒って文句をつけてきます。
さて、それに対して店員が、直ぐに平身低頭して謝り、商品を取り替えたり、割り引きをしたりして、お客様の訴えに報いることができれば、多くの苦情は解決されるはずですが、そのような行為を行うことは非常に大変であるために、実際にはなかなか実行することができません。
店員は「すみませんでした」とか「申し訳ありませんでした」等の通り一遍のお詫びの言葉だけで済ませてしまったり、「それではお取替えいたします」とか「お直しいたします」等の、客からすると「当然の対応」だけで済まそうとしてしまいます。
このような店員の対応では、お客様の気持ちはなかなかおさまらず、その後の対応が悪いと、お客様は「店長を出せ!」等と言い出し、いっそうその不満や怒りが大きくなってしまいます。
そこで、登場した店長は、部下である店員の失敗や対応の悪さに対して、さらに親身に対応をしなければいけないということは、頭では理解しているものの、実際にそれを行うことは大変なことなので、ついつい「私どもも十分にチェックをしたのですが…」とか「今までこのようなことは一度もなかったものですから…」等と、言い訳がましい説明ばかりを繰り返してしまい、なかなか責任のある対応をとることができません。
したがって、苦情を訴えるお客様はいつまでたっても溜飲を下げることができないのです。
しかし、何かの都合で、お客様の苦情が社長の耳に届いた場合には、状況は大きく変わります。
社長の中には、自らがお客様のところまで出向いて行き、土下座をして謝ったり、たくさんのお詫びの品物を提供したりする人もいます。
なぜなら、会社のトップである社長にとっては、社員を叱って嫌われることより、お客様に嫌われ、悪い情報を流されて多くのお客様を失うことの方が、ずっとリスクが大きいことだからです。
つまり、目の前のお客様の苦情に対応することの方が、ゼロからお客様を獲得することよりも、はるかに「コスト最小」だと感じられるから、解決が早いのです。
このように、お客様がリアルショップに苦情を訴える場合は、現場の店員や店長ではなく、「社長」に訴えることが、報われる一番の近道なのです。
(この「リアルショップあるある」シリーズの毎回のタイトルは、1995年に単行本、2004年に文庫本、2013年にブログで、「良い店悪い店の法則」として紹介したものです。それを、現在の捉え方でご報告しなおしています。)
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