54.出店規制は、大型店を縛ったのではなく客を縛って来た
こんにちは。
今日は、「リアルショップあるあるシリーズ(54)」の、
「地域の発展や商店街を守るための大型店の出店規制は、大型店を縛ったのでなく、お客様の望む、見知らぬ店員のいる店での自由な買い物を縛った」という話です。
※商店街を守るための出店規制は、大型店の進出を縛ると同時に、自由な買い物がしたいと望むお客様のニーズをも縛ってしまった。
現在の大型店は、日本経済の発展とともに、全国各地に自由に進出してきたわけではありません。
むしろ、長い間、大型店の進出によって商店街が衰退していかないように、法律による厳しい出店規制が行われ、地域の商店街による激しい反対運動が繰り返されてきました。
商店街は地域に密着して濃密な人間関係の場を提供し、地域の伝統や習慣を守り続ける役割を果たして来たために、商店街が衰退してゆくことは、地域の発展を妨げる大きな要因になると考えられたからです。
しかし、やがて時代の流れと共に規制の緩和や改正などが行われ、各地に急速に大型店が進出しはじめると、それに伴い、全国各地の商店街は急激に衰退し、シャッター商店街へと変貌して行ったことは、すでに皆様がご承知の通りです。
それではいったいなぜ、全国各地の商店街は、積極的に大型店の進出を受け入れ、共存共栄の道を切り開いてゆくことができなかったのでしょうか?
それは、商店街を構成する各商店の店主たちが、「コスト最小」の生き方に強く影響を受けていたからなのです。
商店街の店主たちも、大型店の進出に対して、一致団結して商店街をリニューアルしたり、扱い商品を大幅に変更したり、商店街の店ならではのきめ細かなサービスの充実を図ったりして、大型店との共存共栄の道を模索してゆくことを、多くのお客様が望んでいるのはよくわかっていました。
しかし、お客様の希望を叶えつつ、自分たちがより発展してゆくためには、膨大なエネルギーを必要とするために、ついつい今まで通りの商店街活動を続けてゆくという目先のメリットを優先して、大型店進出に大反対してきたのです。
ところが、行政や商店街関係者が大型店の進出を食い止めている間にも、従来までの商店街のような人間関係に縛られた店ではなく、もっと大勢のお客様が来る店で、「見知らぬ客」として「見知らぬ店員」から自由に買い物がしたいというお客様のニーズが急速に高まっていきました。
やがて、時代の流れと共に全国各地に大型店が進出してくると、かつて賑わいを見せた商店街から、自由な買い物を求めて、雪崩を打つようにお客様の姿が消え去って行ったのです。
(参照:大規模小売店舗法・昭和49年・1974年、大規模小売店舗立地法・平成10年・1998年)
(この「リアルショップあるある」シリーズの毎回のタイトルは、1995年に単行本、2004年に文庫本、2013年にブログで、「良い店悪い店の法則」として紹介したものです。それを、現在の捉え方でご報告しなおしています。)
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