46.商店街に客が戻って来る時はインフラが変化したとき
こんにちは。
今日は、「リアルショップあるあるシリーズ(46)」の、
「風前の灯火になっている商店街にお客様が戻って来るのは、商店街を取り巻くインフラが変化したとき」という話です。
※売り上げが10倍にのびた商店街があります。その原因は、商店街の通行量が10倍にのびたからです。
近年、「こうすれば、必ず商店街にお客様がもどってくる!」などと言った、商店街の店主たちや関係者達に希望を感じさせるテーマは、すっかり影を潜めてしまいました。
そして、「なぜ商店街は滅んだのか?」や「多くの振興策や活性化策はなぜ功を奏さなかったのか?」等については、はっきりと認識されないままに、今また、新しい商店街的商業集積が生まれ、多くのお客様を引きつけています。
商店街がなぜ滅んで行ってしまったのかについては、このブログで何度もご報告してきましたが、全国各地の商店街の店主たちは、忍び寄る停滞や衰退に対して、手をこまねいているばかりで、なぜ思い切った打開策を講じることができなかったのでしょうか?
それは、ほとんどの店主が「コスト最小」を目指した生き方を望んできたからです。
大多数の商店主たちは、商店街の繁栄は地元の住人によってもたらされると信じ続け、店は本来、多くの見知らぬ人が行き交う「道」を求めて移動するものであるということに、敢えて目も耳も口も塞ぎ続けてきました。
そのために、交通インフラの変化によって、従来の地域住民の移動空間が大きく変化しているにもかかわらず、現状の商店街にいかにしてお客様を呼び戻すかという、似非物(えせもの)の商店街活性化策に大きな期待や望みをかけ、行政一体となって取り組み続けることとなったのです。
かつて、私たちは、数多くの商店街の勉強会に招かれる度に、以上のような事柄を進言してまいりましたが、残念ながら多くの方々に不満を提供する結果となりました。
なぜならば、かつて繁栄をもたらしてくれた現状の店に見切りをつけて、通行客の多い立地に出店するためには、多額の費用やエネルギーが必要となるために、ほとんどの店主にとって、「コスト最小」の生き方に反することになるからなのです。
その当時、九州の博多駅近くに、売り上げが約10倍伸びた商店街があるという話が有名になりましたが、実は、その商店街の通行量が約10倍伸びていたのです。
通行量が急激に増えた理由は、その商店街が、大型SCと地下鉄駅を結ぶ新たな主要通路となったからです。
つまり、本来、商店街を活性化するためには、大勢の人たちが行き交う新たな主要通路に店を構え直すことが不可欠だったのですが、新たな交通インフラの登場によって、あたかも新たな商店街に移転したような状態になったのです。
このように、日本の商店街の中で、同じように多くのお客様を呼び戻せた数少ない成功事例は、実は、ただただラッキーな商店街だったというのが真実なのです。
店は、移動空間に生まれた「戸板一枚の店」に始まり、その性質を継承している店だけが、現在も変わらずに繁盛しながら生き続けているのです。
見知らぬ店員と見知らぬお客様が商品空間(戸板一枚)を挟んで、見知らぬ者同士のコミュニケーションを交わす場こそが店なのです。
そしてそこには、お客様を遠ざけたり引きつけたりする「店員のアクション」があり、さらに、時折、店員の「なわばり」を解除する「サクラパワー」が生じて、多くのお客様を引きつける強い魅力を発揮するのです。
(この「リアルショップあるある」シリーズの毎回のタイトルは、1995年に単行本、2004年に文庫本、2013年にブログで、「良い店悪い店の法則」として紹介したものです。それを、現在の捉え方でご報告しなおしています。)
【関連記事1】
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【関連記事2】
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2.お客様には、はっきりと見える「客空間」は、店員の目には決して見えない。
3.店員の目には見えないが、お客様の目には見える「客空間」を用意することがポイント。
4.店員には見えないがお客様には見える、入りやすい「出入り口」をつくるには?
5.店員の目には見えないが、お客様には見える「回遊通路」とは?
6.店員の目には見えないが、お客様の目にははっきりと見える店員のアクション。
7.店員の目には見えないが、お客様の目にはよく見える「サクラパワー」現象。
8.移動空間としての「道」では、「戸板一枚の店」の性質を持った店がお客様を引きつけている。
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