51.客の怒りを鎮めるものは、お詫びのことばよりもモノかカネ。
こんにちは。
今日は、「リアルショップあるあるシリーズ(51)」の、
「お客様の怒りを少しでも早く鎮めるためには、お詫びのことばだけではなく、早い時期にモノかカネを差し出すこと」という話です。
※「モノやカネ」を差し出しても、お客様の怒りが収まらないのは、お客様を怒らせた後に差し出すからである。
一昨日の『客の苦情に店員は反発し、店長は弁解し、社長は恐縮する』に引き続いて、リアルショップにおけるお客様の様々な苦情の話です。
多くの店は、お客様から無理難題を言われて対応に困ることが多いと考えがちですが、お客様は、店員に苦情を訴えでも速やかに解決に向かうことが少ないために、多くの場合、苦情の訴えを途中で諦めてしまうことが多いものです。
そして、実際、店側の一方的なミスであるときほど、店員はなかなかその苦情にうまく対応することができません。
なぜならば、お客様の苦情が当然だと思われる場合は、店員の立場として、果たしてどこまで責任を取ればよいかを、咄嗟には判断しかねるからです。
このような場合は、お客様の苦情に対して十分な対応をとることができる、然るべき責任者にいち早く連絡を取り、指示を仰いだり、取り次いだりすることが最も必要になりますが、ほとんどの店員はできるだけ自分のところで解決しようとして、基本的な初動ミスを犯してしまいます。
それでは、いったいなぜ、多くの店員は、店側の一方的なミスであるにもかかわらず、直ちに別の商品に取り替えたり、返金に応じたりすることができないのでしょうか?
それは、ほとんどの店員は、「コスト最小」の生き方に強く影響を受けているからなのです。
リアルショップの店員であれば、店側が全面的に悪い場合のお客様の苦情に対しては、お客様が満足がゆくように、素早く対応しなければいけないことは十分に分かっていますが、同時に、その対応がいかに大変であるかということもよく分かっています。
そのために、ついつい間違いを認めることを躊躇したり、通り一遍な謝り方をしたりして、いち早く責任者に連絡を取らないために、お客様を怒らせてしまうのです。
そして、お客様をさんざん怒らせてしまった後で、責任者が現れて、お金や商品(モノやカネ)などを差し出したとしても、お客様はなかなか素直に受けとることができません。
少しでも時期を逸してしまうと、お客様を怒らせて話がこじれてしまい、「私はお金やモノが欲しくて文句を言っているのではない!」等と、よりいっそうお客様を怒らせて、収拾がつかなくなってしまうのです。
お金や商品を差し出す場合は、苦情を言われたら、できるだけ早く差し出すことが絶対条件なのです。
(この「リアルショップあるある」シリーズの毎回のタイトルは、1995年に単行本、2004年に文庫本、2013年にブログで、「良い店悪い店の法則」として紹介したものです。それを、現在の捉え方でご報告しなおしています。)
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