48.家賃をタダにする商店街ほど店が埋まらない。
こんにちは。
今日は、「リアルショップあるあるシリーズ(48)」の、
「家賃をタダにしてまでテナントを募集する商店街ほど、なかなか店が埋まらない」という話です。
※決して、新しい店舗がお客様を呼ぶのではなく、大勢の通行客こそが、新しい店舗を呼ぶのです。
全国各地の商店街がすっかりかつての賑わいを失い、シャッター商店街化したことにk関係して、続けてお話しします。
現在、多くのシャッター商店街は、一軒また一軒と、まるで歯が抜け落ちるかのように廃業店舗が増えながらも、残された店舗によって細々と営業が続けられています。
そして、地域の発展や治安面から考えても、そのような商店街の状況を手をこまねいて見ているわけにはいかない全国各地の行政が中心となって、現在も新しいテナントの募集活動が行われています。
例えば、家賃を数ヵ月タダにしたり、一年間に渡って半額にしたり、中小企業診断士による無料経営相談を提供したりして、新しい店舗創業者を支援しているのです。
そして、テレビ番組などでも、出店してきた若者たちの新しい店舗が報道されて、一見、シャッター商店街に一脈の光が差し込んできたかのような期待を持たせますが、そのような商店街が復活を遂げたという成功モデルは、なかなか見い出せないのが実情です。
それではなぜ、行政や商店会の大きな補助や支援を受けながらも、商店街の復活は難しいものなのでしょうか?
それは、募集をする側の関係者達も、出店して来る新しい経営者たちも、「コスト最小」の生き方を目指しているからです。
本来、シャッター商店街の今後のあり方を検討するに際しては、残された商店街の店主たちと支援を担当する行政関係者たちが、なぜ従来の商店街が衰退したのかをきちんと分析し、正しい解決策を実行しなければなりません。
しかし、その解決策があまりにも多くの困難を伴うと感じられるために、それよりも、従来のシャッター店舗に新しいテナントが入ることによって、かつての賑わいが戻ってくるのではないかという思いに、ついつい流されていってしまうのです。
残念ながら、商店街が衰退していった最大の要因は、交通インフラの変化などによって地域の人の流れが変わり、通行客が激しく減少してしまったことにあるのです。
たとえ、シャッター商店街を全て新しい店舗で埋め尽くしたとしても、それだけでは、一度失われた人の流れを再び引き戻すことなど、到底不可能なことなのです。
なぜなら、来街者の増加を期待するためには、そこに、大勢の通行客が行きかう「道」が存在していることが必要不可欠だからです。
単に商店が多数く集まることによって、大勢の人で賑わう商店街が生まれたと思うのは大きな錯覚です。
そもそも、なんらかの理由で大勢の人が行き交う通りが生まれ、そこに次々と商店が集まり、やがてそのエリアが商店街と名のったのです。
したがって、非常に残念な話ですが、かつてのように、大勢の人々が行き交うインフラが造られない限り、どんなに店を誘致しても、従来の商店街に新しい店舗や通行客が戻って来ることはありません。
(この「リアルショップあるある」シリーズの毎回のタイトルは、1995年に単行本、2004年に文庫本、2013年にブログで、「良い店悪い店の法則」として紹介したものです。それを、現在の捉え方でご報告しなおしています。)
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