33.商品が山積みされた店では客の血が騒ぐ
こんにちは。
今日は、「リアルショップあるあるシリーズ(33)」の、
リアルショップでは、「商品が山のようにたくさん陳列された商品空間は、お客様の血が騒ぐほど、強烈に引きつけるパワーがある」というお話です。
※商品が山積みにされた商品空間は、「なわばり」が解除されているために、お客様の血を騒がせるのです。
リアルショップは、商品を陳列するための「商品空間」と、店員が作業を行うための「店員空間」と、お客様が移動するための「客空間」の、三つの空間でつくられています。
そして、昔から、店にとって最も大切な空間は「商品空間」だと考えられ、販売関係者たちによって、様々な創意と工夫が凝らされてきました。
1960年代から1970年代にかけて、セルフ販売方式を採用したスーパーマーケットが日本各地に普及してくることによって、自由に見たり触れたり検討したりすることができる「商品空間」が登場し、そのような商品が豊富に陳列された「商品空間」は、当時のお客様の目を奪いました。
1980年代後半から1990年代にかけては、たくさんのセルフ販売方式の大型店が登場し、広い「商品空間」は次第に常識となっていきました。
特に、大型ディスカウント店ドン・キホーテは、店内外に、床から天井までぎっしりと陳列した「商品空間」をつくって、多くのお客様を引きつけることで、大きな話題となりました。
それでは、なぜお客様は、商品が山積みされた「商品空間」を見ると、強烈に引きつけられたり、血が騒いだりしてしまうのでしょうか?
それは、店は、店員の「なわばり」だからです。
店は店員の「なわばり」であるために、かつては、買わないときには気軽に店に入ることはできず、また、買う気があっても、自由に商品に触れたり試したりすることはできませんでした。
それが、セルフ販売方式の店の登場によって、店は、買う買わないに関係なく自由に出入りできる場所となり、従来までの店の「なわばり」は大きく解除されることになったのです。
また、セルフサービス方式か否かにかかわらず、商品が山積みされた「商品空間」からは、「どうぞ自由に冷かしてください!」という「なわばり」解除の強いメッセージが発信されるために、お客様は大量陳列された商品空間に強く引きつけられることになったのです。
店の起源は、見知らぬ者同士が見知らぬ世界の情報を交換する現場であったということは、すでに何度もご説明してきましたが、長い年月を経て、豊富な商品であふれるようになった店は、現代人にも脈々と受け継がれている「狩猟採集感覚」を呼び覚ます現場としても機能するようになってきたのです。
特に、食品関係の商品が山積みされた「商品空間」は、欲しい食べ物が、「なわばり」が解除された(安全な)場所に豊富に存在しているということを感じさせるために、多くのお客様の「狩猟採集感覚」の血を騒がせる結果になってしまうのです。
つまり、商品が山積みされた「商品空間」は、「ここは最も安全な空間です!」という、強烈な「なわばり」解除のメッセージを発信しているのです。
(この「「リアルショップあるある」シリーズの毎回のタイトルは、1995年に単行本、2004年に文庫本、2013年にブログで、「良い店悪い店の法則」として紹介したものです。それを、現在の捉え方でご報告しなおしています。)
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