32.説得して売ったと思うときは、客は初めから買うことを決めている
こんにちは。
今日は、「リアルショップあるあるシリーズ(32)」の、
リアルショップでは、「接客が功を奏して売れたと感じるほとんどのケースは、実は、お客様は初めから購入することを決めている」というお話です。
※時間をかけて熱心に説明したお客様が購入した時は、自分の接客によって売れたのだと、店員は勘違いしやすい。
リアルショップの接客指導の定番の一つに、「とにかくお客様には、一言だけでも声をかけてみること」というのがあります。
それは、多くの指導者にとって、若い店員が、せっかくやって来てくれたお客様に一言も声をかけないで帰してしまうのは非常にもったいないことだ、と感じられるからです。
なぜなら、指導者の多くが、自ら進んでお客様に声をかけることによって、買う気のなかったお客様に興味を抱かせて、さらに熱心に説得することによって、購入に結び付けたという数多くの体験を持っているからです。
ところが、実際には、店員が声をかけることによってお客様が購入したと思える場合のほとんどは、お客様は初めから購入することを決めているものなのです。
それでは、なぜ、店員が熱心に説得したから売れたと感じられる場合のほとんどが、お客様が初めから購入することを決めていたケースなのでしょうか?
それは、店は、店員の「なわばり」だからです。
店が店員の「なわばり」であるために、初めから購入する気がないお客様や、具体的に何を購入するかがまだ決まっていないお客様は、自由に商品を見たり検討したり試したりするために、店員に近づかれたり声をかけられたりすることをできるだけ避けようとします。
しかし、すでに購入することがはっきりと決まっているお客様の場合は、店員の案内や説明を参考にしたいと思っているために、店員に近づかれたり声をかけられたりしても避けたりはしません。
したがって、店員が積極的に声をかけても遠ざからないお客様や、いろいろと案内や説明を聞いてくれるお客様は、そもそも購入する確率が非常に高いのです。
多くの店員が、買う気が全くないお客様でも、店員が一言声をかけたり、熱心に説得したりすることによって購入が促進されると思っていますが、残念ながらそれは大きな誤解です。
一握りの「接客の達人」を除いては、買う気のないお客様や、まだ購入が決まっていないお客様に対して、積極的に声をかけたり早すぎる接客を開始したりすると、大抵の場合、お客様を遠ざけてしまうのです。
(この「「リアルショップあるある」シリーズの毎回のタイトルは、1995年に単行本、2004年に文庫本、2013年にブログで、「良い店悪い店の法則」として紹介したものです。それを、現在の捉え方でご報告しなおしています。)
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