40.接客サービスが少ない店ほど客がくつろぐ
こんにちは。
今日は、「リアルショップあるあるシリーズ(40)」の、
リアルショップでは、「店員からの接客サービスが少ない店ほど、お客様がくつろぐのはなぜか」という話です。
※移動空間にあるセルフサービスのコーヒーショップは、店員のお世話をほとんど受けないが、お客様はくつろぐ。
日本で、接客サービスを初めて省略した店は「紀ノ国屋」です。
なぜなら「紀ノ国屋」は、1953年、お客様自らが商品を選びレジで精算をする、日本初のセルフサービス方式を採用したスーパーマーケットとして、東京・青山に開店した店だからです。
しかし、その後しばらくは、商店街と百貨店を中心とした「常連接客の店」の時代が続きました。
やがて、1970年代~1980年代にわたり、スーパー、コンビニと共に、様々なセルフサービス方式の店(一見接客の店)が次々と全国各地に普及してゆきました。
現在では、ガソリンスタンド、ファーストフードショップやコーヒーショップ、ファストファッション店、ドラッグストア、回転すし店やうどん店、生活雑貨店等々、種々雑多な業種のセルフサービスの店が存在していますが、このような店で取り扱われている商品は、従来はすべて「常連接客の店」で売られていました。
このように店は、従来の接客サービスを行う店(常連接客の店)から、接客サービスを省略した店(一見接客の店)へと大きく変化してきたのです。
それではなぜ、お客様は、接客サービスが省力された店を好んで受け入れてきたのでしょうか?
それは、店は、店員の「なわばり」だからです。
店は、店員の「なわばり」なので、お客様は大きなプレッシャーを感じながら、店員の「なわばり」に入って買い物をしなければなりませんでした。
ほとんどの店員がそのことに気づかなかったために、店員の接客サービスは、大抵の場合は、店員の「なわばり」を主張するアクションとなり、お客様にプレッシャーを与えたり、お客様を遠ざけたりしやすい接客方法が行われてきたのです。
しかし、著しい日本経済の発展を背景にして、日本中の店は激しい競争を繰り返し、次第に接客サービスを省力した店が主流となるように変化してきました。
一方、お客様もまた、少しでも接客サービスが省略された店、すなわち店員の「なわばり」が解除された店を好んで受け入れてきたのです。
現在、駅ナカ・駅チカを中心とした移動空間に、多くの新しい店が続々と登場し、大勢のお客様を引きつけています。
見知らぬ人々が行き交う移動空間(=道)そのものが、私たちにとって大変解放された自由な空間ですが、その移動空間(=道)に生まれた店は、お客様にとって最も居心地の良い空間なのです。
今、物販店、飲食店を問わず、移動空間に存在し、接客サービスを省略した店、すなわち店員の「なわばり」が解除された店に、お客様は大きな「くつろぎ」や「癒し」を感じているのです。
(この「リアルショップあるある」シリーズの毎回のタイトルは、1995年に単行本、2004年に文庫本、2013年にブログで、「良い店悪い店の法則」として紹介したものです。それを、現在の捉え方でご報告しなおしています。)
【関連記事1】
1.客を遠ざけるアクション、引きつけるアクション
2.店員の目には見えないが、お客様の目には良く見える「サクラパワー」現象。
3.店員の目には見えないが、お客様の目にははっきりと見える店員のアクション。
【関連記事2】
1.無口な店員ほどよく売れる
2.買わないときには店員がつきまとい、買いたいときには店員が見つからない
3.店員に顔を覚えられたと思ったら客は店を替える
4.大事なものほど遠くの店に買いに行く
7.商品がいいから買うよりも、すすめられて悪いから買う方が多い
8.店員が客からのお礼に感動するのは、大抵の客に傷つけられるからである。
9.冷かしやすい商品は高くても売れていく
10.ウソをついてもなかなか売れないが、本当のことを言うと絶対に売れない
11.たとえ石ころでも値段をつけると売れていく
12.おいしいからといって売れるわけではない、まずいからといって売れないわけではない。
13.清潔を気にする客でも実演販売が気にならない
14.ベテラン店員は、未熟でも若い店員に勝てない
15.必要のない人がどんどん買う店がよく売れる
16.説得して売ったと思うときは、客は初めから買うことを決めている
17.商品が山積みされた店では客の血が騒ぐ
18.実演販売は出来立ての商品よりもアクションを売っている
19.セルフの店では客は自由なアクションを買っている
20.客は商品よりも客の姿に引きつけられる
21.気の利いた接客よりもマニュアル接客が客を呼ぶ
22.注文後に接客を開始するのが飲食店、注文前から接客するのが物販店。
23.客は買うために店に来るのではなく、見るためにやって来る
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