27.たとえ石ころでも値段をつけると売れていく
こんにちは。
今日は、「リアルショップあるあるシリーズ(27)」の、
リアルショップでは、「置いてあるだけではなかなか売れないが、たとえ石ころでも値段をつけると売れていく」というお話です。
※店員がいくら説明をしても、価格表示のない「石ころ」は売れて行かないが、値段を付けると、お客様だけの判断によって売れて行くことがある。
日本の店は、1970年代にスーパーが、そして1980年代にコンビニが日本各地に急激に普及してくるまでは、非常に入りにくく冷かしにくい店であったということについては、何度かご説明してきました。
スーパーやコンビニのようなセルフサービスの店は、初めて商品一個一個に価格表示をした店として登場してきましたが、それまでの商店街を主体にした多くの店では「常連接客」が行われていたために、すべての商品に明確な価格表示を行うということはありませんでした。
※お客様が注文する前から接客を開始する「常連接客」
※お客様が注文した後から接客をが開始する「一見接客」
そのために、お客様は、商品の価格をその都度店員に聞かなければわからず、価格をたずねた後で購入を断ることには、大変大きなプレッシャーを必要としていました。
それではなぜ、お客様は、商品の価格を知るだけのために、多くのエネルギーを消耗しなければならなかったのでしょうか?
それは、店は、店員の「なわばり」だからです。
店は店員の「なわばり」なので、お客様が店員に商品の価格を聞くだけでも、非常に大きなプレッシャーがかかるのだということを、多くの店員は気づいていませんでした。
やがて、商品一個一個に価格表示を行ったセルフサービスの店が、急激にお客様に受け入れらるようになるにしたがって、非セルフの店も、店の「なわばり」を解除するためには、商品の価格表示が不可欠なのだということを理解するようになってきたのです。
そして、セルフの店であれ非セルフの店であれ、全ての商品に価格表示がなされることによって、商品空間全体の「なわばり」が解除され、お客様は自分だけの判断に基づいて、商品の購入を決定することが可能となったのです。
お客様だけの判断によって、購入の決定がゆだねられた商品は、実際、店員の想像をはるかに超えた様々な理由によって買われてゆくものです。
したがって、ただ店頭や店内に置いてあるだけでは、全く売れて行かない「石ころ」でも、価格を表示しておくことによって、お客様の様々な都合によっては、買われてゆくこともあるのです。
(この「リアルショップあるある」シリーズの毎回のタイトルは、1995年に単行本、2004年に文庫本、2013年にブログで、「良い店悪い店の法則」として紹介したものです。それを、現在の捉え方でご報告しなおしています。)
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