1.店員は困ったときに「いらっしゃいませ」を言う。
こんにちは。
今日は、リアルショップにおける「いらっしゃいませ!」は、店の売り上げを左右する大事な店員の一言である、というお話です。
※移動空間としての「道」にある、「店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店」では、「いらっしゃいませ」のタイミングが売り上げを左右する。
拙著「入りやすい店売れる店」(日本経済新聞社)において、「いらっしゃいませ!」は「客を遠ざける店員のアクション」であるとご報告してから約30年を経過しようとしていますが、当初は、全国の販売関係者の皆様から、賛否両論、大変大きな反響をいただきました。
当時は、通行客を自分の店に引きつけるために、元気よく「いらっしゃいませ!」を言うことや、お客様が店にやって来るや否や、素早く「いらっしゃいませ!」と声をかけて出迎えることが常識の時代でした。
ところが、セルフ販売方式を採用した店の登場や、競合店の増加で客が店を選べるようになったことなどを背景にして、「いらっしゃいませ!」と言って直ぐに接客を開始する店からは客が遠ざかり、そうでない店に客が引きつけられるという現象が生じて来ていたのです。
だからこそ、当時の全国の販売関係者たちは、「いらっしゃいませ!」の是非について、強い興味と関心を示したのです。
さて、ネットショップが広く普及した現在のリアルショップにおいて、この「いらっしゃいませ!」は、売り上げを左右するほどの大切な力を持っているのでしょうか?
結論は、「いらっしゃいませ!」を、いつ、何のために、どのように言うかということが研究されている店ほど多くの客を引きつけています。
セルフサービス方式の店(コンビニ、スーパー、ファッション、雑貨店など)では、お客様が来店するや否や、あるいは、カウンターにお客様が精算に来るや否や、「いらっしゃいませ!」を言うことは、重要かつ不可欠です。
また、馴染み客を主体にした商店街の店(店員空間がない、引き込み・回遊型店、店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店)も、早い「いらっしゃいませ!」が基本です。
しかし、近年勢いを増してきた、移動空間としての「道」に登場しているリアルショップ(セルフサービス方式の店を除く)の、「店員空間がない、引き込み・回遊型店」と「店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店」においては、30年前の店と同様に、「いらっしゃいませ!」のタイミングは非常に難しいものになっています。
※店員空間がない、引き込み・回遊型店
※店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店
なぜならば、移動空間にとしての「道」に登場してきた店は、「商品空間」や「客空間」や「出入口」や「回遊通路」の「なわばり」をうまく解除して、多くの客を引きつけることの競争を行っているからです。
したがって、このような店での「いらっしゃいませ」は、店員の「なわばり」を解除するアクション(下手を表現するアクション)を伴っていなければならないのです。
今や、30年前と同様に、「いらっしやいませ!」の一言が、売り上げを左右する時代が再来しています。
そのため、このことを知らない店員が不用意に「いらっしゃいませ」を言うと、客を遠ざけることになってしまいます。
店員が、「なわばり」の解除を意識しながら「いらっしゃいませ」を言うのではなく、お客様と視線が合ったり、さぼっていて気が付かなかったりした場合などのような困ったときに、その場を取り繕うために「いらっしゃいませ!」を言ってしまうと、「なわばり」を主張することになり、せっかくのお客様を遠ざけてしまうのです。
(このシリーズのタイトルは、1995年に単行本、2004年に文庫本、2013年にブログで、「良い店悪い店の法則」として紹介したものです。それを、現在の捉え方でご報告しなおしています。)
【関連記事】
1.三空間による店の四分類
2.店員空間がない、引き込み・回遊型店
3.店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店
4.客を遠ざけるアクション、引きつけるアクション
5.なわばり解除・なわばり主張
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