119.自分本位なお客様は、熱心に対応する店員には、要望を話しやすい。(お客様を引き付ける「なわばり解除」の店員のアクション)
買い物をする空間であることに変わりはありませんが、
「店」の構造は時代背景の移り変わりと共に変化し、
そこで繰り広げられる店員とお客様の攻防もまた
大きく変化してきました。
東京オリンピック(※1)が過ぎ、
団塊の世代(※2)が高校を卒業した頃は、
(※1、1964年 ※2、1947年~1949年の第一次ベビーブーム世代)
まだ、商店街と百貨店が店の中心でした。
そして、日本の経済成長を背景にして、
いずれの店にもたくさんの商品が溢れはじめ、
店のほとんどが、観光地の「店」の構造へと
変わっていきました。
すなわち、店内にお客様が回遊できる通路を設けた、
「店員空間がない、引き込み・回遊型店」か、
「店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店」へと、
「店」の構造は変化したのです。
しかし、「店」が店員の「なわばり」であることに、
気付けなかった多くの店主や専門家たちは、
これら二つの店が、「店員空間」と「客空間」が、
重なった構造になっていることには全く気付きませんでした。
お客様は店員が異常接近をして来ることに驚きながらも、
何とか店員の接客をかわし、
欲しい商品を見つけ出さなければならなくなりました。
コンビニはまだまだ誕生せず、
やっとスーパーマーケットが日本各地に
登場し始めた時代のことです…。
さて今日は、
「前向きな店員」と「頑固なお客様」の現代の話です…。
※頑固なお客様の動き

「頑固なお客様」は、腕や頭や上半身を使って、下から上に向かって力を入れる動き(独断の動き)をたくさん行い、相手を威嚇し主張を曲げないことを表現するのが得意な人です。
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「頑固なお客様」は、「うなずき」と「お辞儀」の仕方を観察すると、直ぐに分かり
「頑固なお客様」は、下から上に向かって力を入れる「うなずき」や「お辞儀」をします。
相手の話を聞きながら、「はい、はい」とか「ええ、ええ」とか「うん、うん」などと、下から上に力を入れる「うなずき」をする人は、相手に対して、決して賛同や協調を表現しているわけではありません。
この動きは、あくまでも自分自身が納得していることを表したあいづちなのです。
また、「申し訳ありませんでした!」と言って深々と下げた頭を、勢いよく上に上げる「お辞儀」をする人は、言葉では謝っていても、心の中では「私は絶対に悪くない!」と思っているに間違いありません。
そして「頑固なお客様」は、常に人の意見に惑わされることなく、自分の強い意志を貫くことが一番大切なことだと思っています。
そして、他人から話しかけられた場合には、「それは、違います!」「そうでは、ありません!」というのがこのタイプの人の常套句で、とりあえず相手の意見を全面否定しておいて、自分の意見を主張するのが得意のパターンなのです。
このような「頑固なお客様」が買い物をする時は、店員に対して質問や相談を投げ掛けておきながら、店員の案内や説明が納得できない場合には、激しくそれを否定して、自分の考えを主張してしまうことが珍しくありません。
多くの店員は、「頑固なお客様」の質問や相談に対しては、他のお客様と同様に正しい案内や説明をするように努力しますが、「頑固なお客様」が納得できるような対応を常に行うことは難しく、たびたび「頑固なお客様」にやり込められてしまいます。
それでは、「前向きな店員」は、「頑固なお客様」にどのように対応し、どのような印象を持たれるのでしょうか?
「前向きなお客様」は、「頑固なお客様」の質問や相談に対して、前にゆっくり進む「接近の動き」を使いながら、
「はい、お待たせしました、どうぞご覧くださいませ」
「すみませんでした、少々お待ちくださいませ」
「それでは、こちらはいかがでしょうか?」
「分かりました、少々お待ちくださいませ」
「大変お待たせしました、どうぞお試しくださいませ」
などの言葉を使って、次々と積極的に対応します。
大抵の店員は、まったく妥協をしない「頑固なお客様」には接客の限界を感じて途方に暮れてしまいますが、「前向きな店員」は全くひるむことなく、むしろ好き嫌いがはっきりしている「頑固なお客様」の要望に何とか応えようとして一生懸命に接客を繰り返すことができます。
もちろん、「頑固なお客様」が根負けをして妥協するということはほとんどありませんが、「前向きな店員」があきらめずに熱心に対応を続けている内に、やがて「頑固なお客様」の欲しかった商品が見つかるという結果になりやすいのです。
「前向きな店員」が「頑固なお客様」に接客をする際の注意点は、「頑固なお客様」は、店員から説得されたり勧められたりして購入を決定することは「絶対にない!」ということを、はっきりと認識しておくことです。
なぜならば、「頑固なお客様」は、自分の意見に関して、間違いを指摘されたり、反対されたりすることを非常に嫌うタイプだからです。
したがって、「頑固なお客様」に対しては、たとえ間違っていても、決して直ぐに指摘をしないで、とりあえずうまく対応しながら、「頑固なお客様」自らが間違いに気付くような状況を作り出すことが大切なのです。
そしてまた、「頑固なお客様」は、たとえ自分の間違いや失敗に気付いたとしても、直ぐには受け入れることができない人なのだということも、合わせて理解しておく必要があります。
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※前向きな店員の動き

「前向きな店員」は、お客様の質問や相談に対して、手や身体を使って、前に向かってゆっくり進む動き(接近の動き)を伴って、案内や説明を行うために、ほとんどのお客様は、積極的で前向きな店員だと感じます。
そして、「前向きな店員」は、どのタイプのお客様に対しても、ゆっくり近付くことが得意なので、お客様を驚かせたり遠ざけたりすることはなく、親しみやすく熱心なイメージを与えるので、お客様を引き付ける「なわばり解除」の店員のアクションとなるのです。
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