大勢の客を引き付ける「JINSメガネ」の「接客コミュニケーション」。
現代社会における急激な「ネット店舗」の乱立の背景には、「見知らぬ人とのコミュニケーション」に対する現代人の渇望(ニーズ)があると考えられます。
一方、現代の「リアル店舗」における繁盛店が客を引き付ける大きな要因の一つは、そこで行われている洗練された接客方法(接客コミュニケーション)です。なぜなら、リアルな人間関係を失った現代人は、「リアル店舗」が提供する「対人コミュニケーション」に対して、強い渇望(ニーズ)を持っているからです。
こうした環境を背景に、「リアル店舗」の「接客コミュニケーション」が、多くのお客様を引き付けている様子をご紹介していきます。
●「JINSメガネ・新宿ミロード店」
「JINSメガネ・新宿ミロード店」は、すでに、「人の動き」という観点から、この店がなわばりを解除した「店舗構造」と「店員と客のアクション」によって、大勢の客を引きつけているという状況をご紹介しました。以前の記事はこちら。
今回はさらに詳しく、店員の「接客のアクション」が多くの客を引き付ける様子を分析したいと思います。
これからご紹介する、店員がお客様に対して行う様々な接客を「接客コミュニケーション」と呼ぶことにします。
お店における接客風景はあまりにも見慣れた光景なので、ごく当たり前の現象のように受け取られていますが、実はそこで行われている様々な店員の「接客アクション」は、お客様をこの店に引き付ける大きな要因になっているのです。
なぜならば、家庭や地域や学校や職場で、急速に失われていったコミュニケーションに対する多くの現代人の潜在的なニーズが、無意識に「リアル店舗」の「接客コミュニケーション」を受け入れてしまうからです。
●「JINSメガネ・新宿ミロード店」平面図
●お客様を引き付ける「接客コミュニケーション」
この店は、セルフ販売方式でメガネを販売している店です。
コンビニエンスストアなどの一般的なセルフ販売方式の店では、精算カウンターにおける「接客コミュニケーション」が主体となっていますが、この店にはそれ以外にも多くの「接客コミュニケーション」が存在しています。
そして、それらの多くの「接客コミュニケーション」を行う店員のアクションが、多くの客を引き付けるパワーを発揮しているのです。
この店全体の店員の主な「接客コミュニケーション」を見てみましょう。
店員のアクションは主に店の奥の店員空間を中心に展開されていることがわかります。
この店の場合、店頭や店内の商品空間(客空間)にはたくさんの客(平面図の青色)がいて、自由に商品を見たり試したりしています。
しかし、この店が客を引き付けるポイントは、商品空間の魅力だけではなく、その奥で忙しく接客作業を行う、店員の「接客コミュニケーション」そのものなのです。
この店の店員が行う「接客アクション」にはそれぞれ大きな意味があり、客はそこから多くのメッセージを読み取っています。
それぞれの「接客コミュニケーション」を分析していきましょう。
(1)受付カウンターでの店員の「お辞儀アクション」
この店の受付カウンターは、回遊通路に設計されています。店員がお客様に対してフレンドリーな関係で接客をする空間になっていますので、店員の挨拶もあまり角度の深いお辞儀ではなく、軽くお辞儀をする挨拶となっています。
※店員のお辞儀アクション(接近の動き+協調の動き)
(2)受付カウンターでの店員の「うなずきアクション」「説明&案内アクション」
受付カウンターでは、お客様の話を聞き取る店員の「うなずきアクション」や、説明をする店員の「案内アクション」が行われています。
※うなずきアクション(攻撃の動き)
※うなずきアクション(協調の動き)
※説明&案内アクション(一点注意の動き)
(3)受付カウンターでの店員の「説明&案内アクション」
受付が終わると、「あちらにお進みください」とか「あちらにお並びください」等の「案内アクション」を行っています。
※案内アクション(一点注意の動き)
(4)回遊通路での店員の「説明&案内アクション」
この店は、お客様が自由に店内の商品を試しながら選んで、精算カウンターまで持ってゆく、セルフ販売方式ですので、客が求めない限りは店員からの接客はありません。しかし、お客様から声がかかると、商品を補充したり整理したりしている店員が直ぐに気軽に対応してく入れます。
※うなずきアクション(攻撃の動き)
※うなずきアクション(協調の動き)
※説明&案内アクション(一点注意の動き)
(5)検眼コーナーでの店員の「案内アクション」、「説明&案内アクション」
店の奥にある検眼コーナーでプログラム化された検眼システムが実施されています。その様子は店内や店外からも眺めることができます。
※案内アクション(一点注意の動き」
※説明&案内アクション(一点注意の動き)
(6)調整カウンターでの店員の「調整アクション」
検眼が終わったお客様に、試作品の確認やメガネフレームの調整等をしてから、精算カウンターに移動して精算します。
※調整アクション(接近の動き)
(7)精算カウンターでの店員の「お渡しアクション」
この店の店員は、誰でもがすべての接客対応ができるシステムになっています。したがって、特に係りが決まっているわけではなく、手が空いた店員が交代で精算係や検眼係や調整係を担当しています。
度を合わせる必要がないメガネを直ぐに持って帰るお客様や、度を入れたメガネを少し時間をおいて取りに来るお客様や何日か後に取りに来るお客様など、様々なお客様に合わせた対応をしています。
※お渡しアクション(接近の動き)
(8)精算カウンターでの店員の「お辞儀アクション」
精算が終わったお客様には、店員がカウンター内からお礼のお辞儀をして、接客は完了となります。
※お礼アクション(接近の動き)
(9)お渡しカウンターでの店員の「お渡しアクション」
お渡しカウンターでは、商品の確認や装着の微調整をして、お客様にお渡ししています。
※お渡しアクション(接近の動き)
(10)お渡しカウンターでの店員の「お礼アクション」
お客様に納得していただいて、接客は完了です。店員は店員空間で「お客様に」お礼のお辞儀をしています。
※お礼アクション(接近の動き)
●以上が、「JINSメガネ・新宿ミロード店」が、多くのお客様を引き付ける、店員の「接客コミュニケーション」です。多くのお客様は、店員が「接客コミュニケーション」を行う「身体の動き」を目にすることによって、無意識のうちにこの店に引き付けられているのです。
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