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2013年10月17日 (木)

①移動空間に生まれた第四世代の店

このシリーズでは、私たちが講演会でお話した内容の一部をご紹介します。


●第四世代の店(繁盛店)は移動空間に存在する

私たちは、日本の戦後の店は、20年ごとのサイクルで、構造と接客方法が大きく変化し、新しいタイプの店が登場していることを分析しています。

そして今、新しいタイプの繁盛店、すなわち、第四世代(2010~)の店がたくさん登場してきています。

第四世代の店とはいったいどんな店なのか?
第四世代の店になるための条件とは何なのか?

について、店の歴史を簡単に振り返りながら説明します。


(1)店は「戸板一枚の店」から始まった

そもそも店は、見知らぬ客を対象にした「戸板一枚の店」がはじまりでした。
見知らぬ客を対象にしているために、そこでは「戸板一枚の店」のコミュニケーションが行われ、現在のような「接客」は行われませんでした。

「戸板一枚の店」は人間のなわばり感覚や狩猟採集感覚を生かした店で、客は店員との人間関係に縛られない自由でスリリングな雰囲気を味わうことができました。

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(2)第一世代の店の店の登場(1950年~)

やがて、全国各地に商店街が生まれました。商店街は地域に密着し、顔見知りの人間関係を中心とした独特の接客方法(常連接客)と、その接客が生じやすい店舗構造を生み出しました。

一方、繁華街には百貨店が誕生しました。百貨店は商店街と違って広い商圏を持っていましたが、接客方法は親しい人間関係を前提にした常連接客でした。

第一世代の店である商店街と百貨店が発展するにつれて、日本の店は、「戸板一枚の店」の性質を失っていきました。


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※商店街と百貨店に埋め込まれた「戸板一枚の店」の性質。

(3)第二世代の店の店の登場(1970年~)

やがて、第二世代の店であるスーパーマーケットやコンビニエンスストアが登場し、見知らぬ客を対象に、客が買うことを決定してから接客を開始する「一見接客」を行うようになりました。

その結果、客は店員とのわずらわしい人間関係に縛られずに、自由に商品を買うことができるようになりました。

それにより、店の本来の魅力である「戸板一枚の店」の性質が掘り起こされました。

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※スーパー・コンビニの登場により掘り起こされた戸板一枚の店の性質。

(4)第三世代の店の店の登場(1990年~)

その後、大店法の緩和とともに、第三世代の店である大型のショッピングセンターや大型専門店などが続々と登場しました。

これらの店は、はじめのうちは客を引きつけていましたが、競争が激しくなるとともに客足が遠のきました。

来店客が少なくなったこれらの店には、客が興奮するような店員とのスリリングなやりとりはなくなり、店の大きな魅力である「戸板一枚の店」の性質は再び埋め込まれてしまったのです。


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※大型ショッピングセンターなどに埋め込まれた「戸板一枚の店」の性質。

(5)第四世代の店の店の登場(2010年~)

その後、急速なネットショップの普及によって、リアルショップからどんどん「モノ」がネットショップに移行していきました。

その結果、リアルショップの存在意義が再び問い直され、、「戸板一枚の店」の性質が再び掘り起こされてきたのです。


近年では、「モノ」だけを売るネットショップと、「モノとコト」を売るリアルショップの違いが大きく浮き彫りになり、リアルショップの新しい魅力が模索されています。

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※ネットショップとの違いを模索して掘り起こされる「戸板一枚の店」

(6)第四世代の店は移動空間に生まれる

ネットショップの普及が、「モノとコト」を売っていたリアルショップを、「コト」を中心にしたリアルショップへと変化させました。

そのために、リアルショップは「戸板一枚の店」の性質を取り戻し、大勢の見知らぬ客が行き来する様々な移動空間に発生して、多くの移動客を引きつけているのです。

第四世代の店の条件とは、
1.大勢の客が行き来する「道」に出店していること
2.移動客に対応したスピーディな一見接客を行っていること
3.一見接客を生じやすい店舗構造を持っていること
4.一見接客が可能な商品とパッケージングを工夫していること

ということになります。講演会では、第四世代の店の具体的な事例を詳しく説明しています。

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※リアルショップの「コト」とは、見知らぬ客に対する一見接客を提供すること(戸板一枚の店」の性質を提供すること)

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以上、以下の私たちの「講演会内容」からの一部抜粋です。

今、売れる店は「移動空間」に生まれている!(講演テーマ)

1. 店を観察するための三つの考え方
(1)店には群れとなわばり感覚が存在する
(2)「道」に生まれた「戸板一枚の店」の性質
(3)コミュニケーションにおける人の動きの役割

2.店舗構造と接客方法の関係
(1)現在、混在している8種類の店
(2)客を引きつけるアクション、遠ざけるアクション
(3)接客のタイミングが異なる「常連接客」と「一見接客」
(4)常連接客の店の構造
(5)一見接客の店の構造

3.時代とともに変化してきた接客方法
(1)第一世代の店(1950・S25年~1969・S44年)
   常連接客で売った時代(商店街、百貨店)
(2)第二世代の店(1970・S45年~1989・H1年)
   一見接客で売った時代(スーパー、コンビニなど)
(3)第三世代の店(1990・H2年~2009・H21年)
   一見接客で売った時代(SC、大型ディスカウント店)
(4)第四世代の店(2010・H22年~2029・H41年)
   一見接客で売る時代(移動空間で売る店)……この部分を抜粋しました。

4.コミュニケーションにおける人の動きの役割
(1)コミュニケーションの10個の要素
(2)13種類の人の動き(アクション)
(3)おもてなしを生み出す人の動き(アクション)
   1.感じのいい「お辞儀アクション」   
   2.感じのいい「うなずきアクション」   
   3.感じのいい「案内アクション」

5.商業集積が衰退する背景
(1)商店街が衰退していった背景
(2)都心の大型商業集積が衰退する背景

 

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