4.店内にだけ「道」を作った第三世代の店の行きづまり
(1)店内に「道」のある大型セルフ販売の店(第三世代の店)の登場
1991年大規模小売店舗法の改正に伴い、全国各地に大規模なショッピングセンターや大型ディスカウント店がたくさん登場してきました。
これらの店は、衰退を続ける商店街にさらに大きなダメージを与えましたが、多くの競合店の進出によって、生き残りをかけた激しい販売競争が繰り広げられ、やがては共倒れの状況をも生み出していきました。
(2)結果的には「戸板一枚の店」を埋め込んでしまった第三世代の店
店内に多くの「道」を作りながらも、見知らぬ客が行き交う外の「道」を持たなかった第三世代の店は、客数の減少とともに衰退を余儀なくされました。
また、これらの店は、接客をしない「一見接客の店」だったにもかかわらず、「戸板一枚の店」が持つ店員と客のやり取りをあまりにも省略してしまったために、店本来の魅力を失う結果となりました。
つまり、このような「道」を持たない大型店は、客がリアルショップに求める「戸板一枚の店」の性質を埋め込んでしまったために、衰退の道を歩むことになったのです。
(3)見知らぬ人が行き交う「道」を持った第三世代の店だけが生き残った
大型のショッピングセンターや大型専門店は、開店当初は、広い商圏から多くの客を引きつけましたが、競合店が増えるとともに、見知らぬ客が行き交う「道」を持っていない店から順番に、客足が遠のいていきました。
客は自分が通常移動している「道」に新しい店ができると、わざわざ遠回りしなければいけない店に行くことはなくなり、その結果、多くの大型店が客を失い、撤退せざるを得なくなりました。
一方で、ネットショップが急激に普及し、客はまったく店員の接客を受けることなく様々な商品を買うことができるようになりました。
モノがネットで買えるようになると、客はリアルショップにコト(コミュニケーション)を求めるようになりましたが、「道」を失い、接客をできるだけ省略した大型店は、このような客のニーズの変化に応えることができませんでした。
こうして、第三世代の店の中で、「道」を持っていたごく一部の店だけが、店本来の性質を保って生き残ることになったのです。
1.見知らぬ客を対象に、接客をしなかった「戸板一枚の店」
2.第一世代の店「商店街と百貨店」の登場と衰退
3.「接客しない店」が主流になった第二世代の店~第三世代の店
4.店内にだけ「道」を作った第三世代の店の行きづまり・・・・現在のページ
5.「移動空間」で繁盛している第四世代の店
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