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2013年9月11日 (水)

接客されるセルフの化粧品店

●「ミリオン・ドアーズ・タカシマヤコスメティックス・アトレ川崎店」

9月2日の日経流通新聞(MJ)の一面に、百貨店各社が駅ビルおよび駅ナカに、相次ぎ出店している「セミセルフ式」の化粧品専門店、
「イセタンミラー・ルミネ新宿2店」
「阪急フルーツギャザリング・エキュート品川店」
「ミリオン・ドアーズ タカシマヤコスメティックス・アトレ川崎店」

の三店が、①入りやすさ  ②比較検討のしやすさ  ③接客のされかた
という、三つの角度から紹介されました。

「阪急フルーツギャザリング・エキュート品川店」は、9月6日のブログで
「イセタンミラー・ルミネ新宿2店」は9月9日のブログで分析しましたので、
今回は「ミリオン・ドアーズ タカシマヤコスメティックス・アトレ川崎店」を、「人の動き」という観点から観察分析してみましょう。

Photo_9
*ミリオンドアーズはJR川崎駅「アトレ川崎」の3階にあります。



(1)「ミリオン・ドアーズ タカシマヤコスメティックス・アトレ川崎店」が入りにくい雰囲気を感じさせるわけ

日経流通新聞の取材(女性記者8人が実際に店舗を訪れ、使い勝手を調査)、によると、この店は「入りやすい雰囲気55点」となっています。(イセタンミラー45点、阪急フルーツギャザリング90点)
この店も他の二店と同様に「セルフ販売方式」を採用した「接客をしない店」であるにもかかわらず、何となく入りにくいと感じさせるのはいったいなぜなのでしょうか?

それは、この店の店舗構造と接客方法に関係があります。


この店は、セルフ販売方式を行うための、「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」の構造で店舗設計されています。

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※店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店の構造
  (店頭にも商品空間があり、セルフ販売をする店)

しかし、ちょっと見ると、この店は、「店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店」のように感じられます。

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※店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店の構造
  (店員空間と客空間が重なった構造で、常連接客をする店)
 
 



その最大の理由は、店の中央奥にレイアウトされているレジカウンターが、通行客からはほとんど見えないために、この店がセルフ販売方式の店であるということがわかりにくいことです。

また、店内で作業をしたり接客をしたり待機したりしている店員の姿がよく目に入るために、あたかも、「店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店」で、店員が側面販売をしてくるように感じてしまいます。

つまり、この店の店舗構造と店員のアクションのために、入りやすさを感じさせないイメ
ージの店となっているのです。

(2)この店の店舗構造から連想される接客方法

一般に、通行客は店の前に来ただけで、その店の接客方法がどのようなものであるかを、一瞬で直感的に理解します。

「常連接客」(接客する店)なのか「一見接客」(接客しない店)なのか?
「常連接客」の場合は、すぐに接客されそうな店かそうでないか?等です。

この店は、セルフ販売方式の店であるにもかかわらず、セルフ販売の店であることが分かりにくいために、この店の回遊客には、「常連接客」の店だと感じている客と、「一見接客」の店だと感じている客が混ざっています。Photo_21_2

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「常連接客」の店だと感じている客は、店員から接客されることを、さほど驚きはしませんが、「一見接客」の店だと感じている客は、店員から「いらっしゃいませ!」の声をかけられるだけでも、違和感やプレッシャーを感じてしまいます。

実際に、この店では、客が商品を見ていると、店員が「何かお探しですか?」などと声をかけてきます。決してしつこく進めるようなことはありませんが、側面販売に近い接客方法が行われています。

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(3)この店の店員と客のアクションの様子

この店はセルフ販売方式を採用した店として、ブランドごとに、テスターや商品説明を記載したボードなどを用意していいます。
そして、客がブランドを超えて自由に商品を試すことができるようにアイテム別のテイスティングカウンターを中央に設置しているほかに、コンサルティング販売を希望する客のための専用カウンターも店の奥に設置していいます。


しかし、客は実際にはなかなか、一般のセルフ販売方式の店のようには行動してくれてはいません。
この店の様子を観察してみましょう。

Photo_4
※コスメブランドコーナー(1)店員は客空間に出て、客に声をかけてきます。

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※コスメブランドコーナー(2)

アウェイク、ベアミネラルズ、ボビイブラウン、クラランス、クリニーク、ヘレナルビンスタイン、ランコム、ニールズヤード、オリジンズ、シュウウエムラ、スリーなどのコスメブランド。

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※ファッションブランド「ダブルスタンダードクロージング」のデザイナーの滝野雅久氏とのコラボレーションによるオリジナルポーチも並べられています。

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※通行客からはよくわからない、店の中央奥にあるレジカウンター。店員が説明などを行うために待機しています。


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※週間ランキングが紹介されていますが、どこで販売されているのかが分かりにくく、客がセルフで商品を選ぶときの情報としては不完全な面があります。

(4)すぐそばにある従来の化粧品店との違いがわかりにくい 

この店のすぐそばには、従来からの化粧品店があり、周辺一帯が化粧品コーナーとなっています。そのため、この店も周囲の店と同じような販売方法や接客方法が行われているのだと感じられやすい状況です。

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※向かい側にある従来の化粧品(1)

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※向かい側にある従来の化粧品店(2)



(5)模索し始めたばかりのセルフのブランド化粧品店

戦後、日本に初めて食品スーパーがセルフ販売を行う店として登場し、たちまちのうちに、全国の客がセルフ販売のスーパーを受け入れていきました。

その後、コンビニエンスストアの登場によって、様々な業種がセルフ販売方式の店の研究を行い、次々とセルフ販売方式を採用した店となってきました。

しかし、常に流行の先端を走っているはずの化粧品業界においては、セルフ販売方式の採用はなかなか見られませんでした。

商店街や百貨店の業績悪化に伴い、有名ブランド化粧品店もいよいよセルフ販売方式を採用した店となって、駅ビルや駅ナカに新天地を求めて進出しようとしています。


しかし、有名ブランド化粧品店のセルフ販売方式の店は、まだまだ開発の緒についたばかりで、解決していかなければならない様々な問題をかかえているようです。

今後は、現在のセルフ販売方式の化粧品店からさらに進化した、まったく新しい販売方法の化粧品店が登場してくることが予測されます。


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