「ガトーフェスタ・ハラダ」の店員はなぜ感じがいいか?
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フランスパンからつくったガトーラスク「グーテ・デ・ロワ」(王様のおやつ)が大人気で、行列ができることでも大変有名な「ガトーフェスタ・ハラダ」の東京・東武百貨店のお店です。
この店は客の行列が絶えず、店員の接客も非常に感じがいいといわれています。それではなぜこの店の店員の接客方法は、感じがいいのかについて、「人の動き」という観点から観察分析してみましょう。
この店は、ちょっと見ると、他の店と変わらないケース販売の店に見えますが、実は、セルフ販売方式を採用した「一見接客」を行っています。
(1)「ガトーフェスタ・ハラダ」の店舗構造
この店の店舗構造は「店員空間が広い接触型店」です。
この構造は、「店員空間が狭い接触型店」と基本的には同じ構造ですが、店の規模が大きく、特に店員空間が広く取られていることが特徴です。
両方ともに「戸板一枚の店」を基本としており、店の原点ともいうべき構造です。
(2)「ガトーフェスタ・ハラダ」の三空間平面図と店員と客のアクション
この店では、セルフ販売の商品を買う客は右側のセルフ販売のコーナーで選んだ商品を手に持ち、ケース内の商品を買う客はそのままケース沿いに行列をつくります。店員は順番に接客を行います。
①空色は、店員空間
②ピンクは、商品空間(緑はセルフ用商品空間)
③白は、客空間の通路
④赤は、接客中や作業中の店員
⑤青は、買い物中や行列をしている客
(3)「ガトーフェスタ・ハラダ」の接客方法
この店は、「店員空間が広い接触型店」の構造の店で、セルフ販売方式を採用した、「一見接客」が行われています。
したがって、店員が客に接客を開始するタイミングは、コンビニエンスストア等の接客のタイミングと同じで、購入が決定した客がレジの前にやってきたときです。
百貨店などで客が行き交う通路に直接面した「接触型店」では、店の前に客が来ると直ぐに接客を開始する「常連接客」が行われがちです。
それに対して、この店の場合は通路にベルトパーテーションを設置して、購入が決定した客に対してだけ接客を行うことを明確にしています。
まだ買うか買わないかが決まっていない通行客はベルトパーテーションの外から商品空間を眺めることになるので、その客に対して店員から接客が開始されることはありません。
つまりこの店では注文前の一次接客はまったく行われていないのです。
買うことが決定した客は、ケース沿いに行列をつくります。
レジカウンターはケースの左側に6台並んでいて、客はレジが空いた順に接客を受けます。
接客が終わった店員は、精算を待って行列をしている客に対して、すぐにわかりやすい案内をして、客の気持ちを満足させてくれます。
※手が空くと、次の客にわかりやすい「案内のアクション」を行う店員の姿
6台のレジスターで大勢の店員が精算接客に追われる姿は、店全体のなわばりを解除するとともに、大きな賑わいと活気を生み出しています。
(4)「ガトーフェスタ・ハラダ」の店員はなぜ感じがいいのか?
この店の接客は「一見接客」に徹しています。
したがって、店員が接客を開始するのは、すでに購入が決まっている客が目の前にやってきたときです。
実は、この店の接客が感じがいいといわれる最大の理由は、この店にはすでに購入が決まった客に対する店員のアクションしか存在しないということなのです。
購入が決定した客に対して行う様々な接客(二次接客)には、必ず、「お辞儀」と「うなずき」と「案内」の動き(アクション)がたくさん含まれています。
①あいさつや、お礼や、お願いや、お詫びを表現する「お辞儀」のアクション
②承諾や、あいづちや、注意喚起を表現する「うなずき」のアクション
③場所や方向を明らかに表現する「案内」のアクション
「お辞儀」と「うなずき」と「案内」の動き(アクション)は、相手に対して下手に出て、相手を立てるアクションです。
つまり、この店の店員は全員が「客に対して下手に出て」、「客を立てる」アクションを繰り返す「一見接客」=「二次接客」を行っていることによって、「感じがいい!」というイメージを生み出しているのです。
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