泣いて別れを惜しんでくれた不慣れな添乗員
■今回は、カテゴリー「お客様が感動する接客サービス」シリーズの21です。
私たちが相手に対して「感動」をおぼえるのは、実は相手が自分よりも劣位な態度をとってくれた時です。人は自分を「優位」な立場にしてくれる相手に対して思わず感動してしまうのです。
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もうだいぶ前のことになりますが、母と私(南條恵)は二人で年末年始にかけて「ブルートレインで行く○○地方五泊六日の旅」という団体ツアーに参加しました。
その時の若い女性の添乗員さんに、大変「感動」した話です。
このツアーの添乗員はKさんというまだ二十代前半の若い女性でした。
経験の少ない彼女はいつも旅程表を抱えて、一生懸命に様々な手配をしてくれました。
そして、五泊六日の旅もいよいよ大詰めとなり、最後の観光地を後にしたバスは空港に到着しました。
団体旅行はこの空港で現地解散というスケジュールでしたので、Kさんはロビーに全員を集めて航空券を渡して、お別れの挨拶をはじめました。
「みなさま、今回は○○ツアーをご利用いただきまして、本当にありがとうございました。『ブルートレインで行く○○地方五泊六日の旅』はこちらで解散ということになります。
どうか、今年一年が皆様にとりましていい年でありますように…。どうぞ皆様…いつまでもお元気で…」
話し始めたKさんは、次第に目がうるんできてあっという間にくしゃくしゃの泣き顔になりました。
そばにいた女性客が、
「Kさん泣かないで!本当によくやってくれましたよ」
と声をかけました。
するとKさんは、まるで子供のように泣きながら、
「私はまだまだ未熟者のため、皆様に大変ご迷惑をおかけいたしまして本当に申し訳ありませんでした。どうか皆様本当にお元気で…」
と、泣いて別れを惜しんでくれました。
まだまだ未経験なために、ベテラン添乗員のようには出来なくても、Kさんは一生懸命みんなのお世話をしてくれました。
ほとんどの参加者が満足を感じていましたが、最後に泣いて挨拶をしたKさんの「劣位」な行為によって、全員がなおいっそう「感動」し、今回は本当に良い旅だったとお互いに喜びあって、再会を約束して別れました。
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