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2013年9月 9日 (月)

2.接客しない「化粧品店」への舵切り…イセタンミラー

●「イセタンミラー・ルミネ新宿2店」

9月2日の日経流通新聞(MJ)の一面に、百貨店各社が駅ビルおよび駅ナカに、相次ぎ出店している「セミセルフ式」の化粧品専門店、
「イセタンミラー・ルミネ新宿2店」
「阪急フルーツギャザリング・エキュート品川店」
「ミリオン・ドアーズ・アトレ川崎店」

が、①入りやすさ  ②比較検討のしやすさ  ③接客のされかた
という、三つの角度から紹介されました。

「阪急フルーツギャザリング・エキュート品川店」については、9月6日のブログで紹介しましたので、今回は「イセタンミラー・ルミネ新宿2店」を、「人の動き」という観点から観察分析してみましょう。

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*イセタンミラー・ルミネ新宿2の店内。JR新宿駅「ルミネ新宿2」の2階にある。



(1)「イセタンミラー・ルミネ新宿2店」が入りにくい雰囲気を感じさせるわけ。

日経流通新聞の取材(女性記者8人が実際に店舗を訪れ、使い勝手を調査)、によると、この店は「入りやすい雰囲気45点」となっています。
この店も他の2店と同様に「セミセルフ方式」を採用した「接客をしない店」であるにもかかわらず、何となく入りにくいと感じさせるのはいったいなぜなのでしょうか?

それは、この店の店舗構造に関係があります。


この店の構造は、通路に面した部分がオープンになっていますので、ちょっと見ると、「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」に見えます。
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※店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店の構造
  (店頭に商品空間があり、セルフ販売をする店)

しかし、よく見ると、店頭に接触部分の商品空間がほとんどないことから、「店員空間がある、引き込み・回遊型店」に分類されます。
この構造は、コンビニエンスストアと同じ構造ですが、客にとってあまりなじみのない商品を販売する場合、客が入りにくいと感じることがあります。

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*店員空間がある、引き込み・回遊型店の構造
  (店頭に商品空間がないタイプで、セルフ販売をする店)
 
 



さて、店頭はオープンになっていて、本来はどこからでも入れるはずのこの店が入りにくい理由を探ってみましょう。

この店の場合、向かって右側に入り口の門があり、そこに買い物かごが用意されています。
また、店の中央部分に太い柱があり、店の外と内を明確にしています。

さらに、レジカウンター(店員空間)は向かって左側にあり、そこに店員が待機しています。

そのためにこの店は、レジカウンターと柱と門によって、店内と通路の境界線が明確に作られているために、気軽に出入りできないというイメージを与えているのです。

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*向かって左側に店員空間があり、店員の「なわばり主張」が感じられます。また、中央に柱、右に門があり、通路から自由に入りにくいイメージになっています。

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*門のディスプレイが、店の外と中を明確に分離し、入りにくいイメージを作っています。また、店の奥行きが非常に深く感じられるために、客が奥まで入ることにプレッシャーを感じやすくなります。


この店の場合、客の流れは、客が右側の門から入ってカゴを取り、店内を回遊し、買い物をカゴに入れた客が左側のレジカウンターで精算して店を出て行く、という風に想定されていると思われます。

しかし、残念ながら、実際にはなかなかそのようにはなりません。

実際の店員と客のアクションを観察してみましょう。

(2)「イセタンミラー・ルミネ新宿2店」の店員と客のアクションの様子


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*通路に面した左側のレジカウンターの前は、店員の「なわばり主張」のアクションが生じやすいために、気軽に入りにくい空間となっています。


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*店内は、百貨店と同様の豪華な雰囲気になっていますが、商品空間の商品が少なく、非常に見通しがいいことから、従来の百貨店の化粧品売り場のように接客されそうな雰囲気を感じます。

*この店の扱い商品
「アウェイク」「アディクション」「アナスイ」「RMK」「イヴ・サンローラン」「エスティローダー」「エスト」「クラランス」「クリニーク」「グローバルSHISEIDO」「ゲラン」「KOBAKO」「ジバンシイ」「シュウウエムラ」「THREE」「NARS」「ヘレナ ルビンスタイン」「ボビイブラウン」「ランコム」等。

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*店内で待機している店員は、客が声をかけない限りは接客をしません。
従来の百貨店の化粧品店とは全く違う接客方法で、本来は客に好まれるはずです。

この店には客が「メイクの仕方を教わりたい」とか「スキンケアカウンセリングを受けたい」等
とかの声がかかってからは、十分に対応できる店員が待機しています。
客に対してこの店が「声をかけない限りは接客しない」セルフ販売方式の店であるということを、もっと訴求することができれば、現在よりもはるかに多くの客が利用しやすい店になると考えられます。

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*セルフ販売方式の店であっても、店内に何人かの客が回遊すると、「サクラパワー」が生じて店内のなわばりを解除します。
この店の場合も「サクラパワー」が生じたときが、もっとも入りやすい状況の店となります。


(3)「接客しない店」に客が求める接客とは?

20代~30代の若い女性が、百貨店の化粧品店を好まない理由は、「常連接客」という接客方法にあります。

しかし、それらの客が化粧品店での接客を全く望んでいないかと言えばそうではありません。まだ買うか買わないかが決まっていない状況から接客を開始される「常連接客」に煩わしさを感じているのです。
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多くの客は、自由に商品を検討しているうちに、買うことが決まったり、あるいは詳しい相談にのって欲しいと感じた時からは、十分に対応してくれる「一見接客」を望んでいるのです。
この際の接客には、「常連接客」の場合と同じように充実した内容の接客を望んでいることを理解することが大切です。
客は、決して簡単な接客を期待しているわけではありません。
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(4)現代の「移動客」が求める「接客をしない化粧品店」

「移動中にモノを買う」というニーズの高まりに合わせて、駅ナカショップを中心に、移動客に対応した立地に新しい店(パーキングエリアの店、ドライブスルーの店等)が次々に登場して多くの客を引き付けています。

若い女性を中心に、通勤などの途中の時間を有効活用しながら、ブランド物の化粧品を買いたいというニーズに合わせた「セルフ販売方式」の化粧品店は、これからますます改善を繰り返して、続々と登場してくることが予測されます。

これからの新しい化粧品売り場が客に対して競うサービスのポイントは、

●購入が決まる前の客が入りやすく、自由に見やすい店をつくる
●買うことが決定した客や聞きたいことがある客に対して、きめ細かなレベルの高い接客を行う

ということなのです。


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