ディスプレイは店や商品を演出するためのもの、は間違いです。
*今回は、カテゴリー「間違いだらけの接客方法」シリーズの19です。
ディスプレイは店や商品を演出するためのものである、は間違いです。
ファッションであれ食品であれ、販売している商品の種類にかかわらず、店には商品とともに必ず商品以外の小物が陳列されています。
季節感を伝えるモノや、商品のイメージと関連したモノ等、様々な小物を使って、商品を演出するためにディスプレイされています。
これら商品以外のモノは、実は、買うか買わないかに関係なく、それぞれの店の「商品空間」を気軽に冷やかしてもらうための「冷やかし安全信号」なのです。
そして、その「冷やかし安全信号」からは、
「見るだけで結構ですから、どうぞ気軽に冷やかしていってください」
というメッセージが発信されているのです。
多くの客は無意識にメッセージを受け取り、「商品空間」に近づいたり、立ち止まったりします。
ところが、たいていは店員(販売員)から、「いらっしゃいませ!」と素早く接客を開始され、十分に冷やかすことができないまま、その場から遠ざけられてしまうのでます。
店頭や店内を飾る大きなツールも、ショーケースの商品のそばに置かれる商品以外の小物も、単に店や商品を演出するだけのものではなく、買う気のない通行客の目を引き止めたり、気軽に近づいて来てもらうための大切な「冷やかし安全信号」なのだと認識する必要があります。
「冷やかし安全信号」のメリットの一つは、商品を買う気がなかった客が「冷やかし安全信号」につられて商品を見ているうちに、ふと買いたくなって買ってくれるということです。
しかし、もっと重要なのは、「冷やかし安全信号」を眺めるために、客が店や商品の前に立ち止まることによって、「サクラパワー」が生じて、他の通行客を引きつけてくれるということなのです。
このように、「冷やかし安全信号」は、店員(販売員)がアクションによってなわばりを解除をするよりも、はるかに簡単になわばり解除の役割を果たしてくれるのです。
店内外にあるディスプレーツールは、店や商品を演出するためにあると思われがちですが、実は店全体やショーケース内のなわばりを解除するという役割を担っています。
客はなわばりが解除された店や商品空間に引きつけられて来るのですから、「冷やかし安全信号」は入りやすい店をつくるためには不可欠なものなのです。
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