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2013年6月10日 (月)

「道」を失った「東横のれん街」の現状

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(マークシティービル1階の玄関付近)


老舗を集めた日本初の食品名店街として、1951年(昭和26年)に開業した「東横のれん街」は、渋谷駅に隣接する渋谷マークシティの地下1階に、移設オープン(4月4日)して、二か月以上が経過しました。

「東横のれん街」は、従来は、渋谷駅の各交通機関の中心にあり、特に東横線改札口前という最高立地に位置していました。
ところが今年の4月に、「京王井の頭線渋谷駅に直結した複合施設「渋谷マークシティ」地下1階は
、立地条件としてはかなり後退した位置に移設しました。

私たちはそのことによって生じる、「来店客の導線の変化」及び「吸引力の変化」について観察を続けています。

●「東横のれん街」は、「東急フード-ショー」を通り抜けた奥にあります。

日本初の「デパ地下」と言われながら、その実、食品フロアとしては異例ともいえる「地上一階」の立地にあった「東横のれん街」は、「地下一階」に移設し、しかも「東急フード-ショー」を通り抜けた奥にあります。

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(グリーンゾーンの「東急フードショー」の奥に、レッドゾーンの「東横のれん街」が位置しています)

●多くの交通機関に接続した「東急フードショー」

「東急フードショー」は、①JR線、②東京メトロ半蔵門線、③東京メトロ副都心線、④東急田園都市線 ⑤東急東横線の、渋谷駅への連絡通路に面しています。大勢の通行客が行き交う通路に面した店は、大勢の客を吸引することができます。

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(各交通機関につながる東急フードショーの出入り口)

●「東急フードショー」の店員のアクションと客のアクション

大勢の客で賑わう「東急フードショー」では、

①接客中の店員のアクション
②作業中の店員のアクション
が展開されていて、いずれも「客を引きつける店員のアクション」です。
また
買い物客や冷やかし客によって生じる「サクラパワー」が、回遊通路に賑わいを生み出し、多くの通行客を引きつけています。

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(「サクラパワー」が通行客を引きつけています)


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(接客中や作業中の店員のアクションが客を引きつけています)


●「東横のれん街」と、「東急フードショー」の連絡通路

地下1階「東横のれん街」のメインの入り口は、「東急フードショー」からの連絡通路を通り抜けて来る客と、地上からエスカレーターでおりて来る客を迎え入れる構造になっています。


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(「東横のれん街」側から見た「東急フードショー」の出入り口の風景)

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(「東急フードショー」側から見た「東横のれん街」の風景。右側は地上からおりてくるエスカレーター)

●「東横のれん街」の店員と客のアクション

「左右二本の主要通路によって細長くレイアウトされた「東横のれん街」は、「東急フードショー」にくらべて、ゆったりと買い物ができる雰囲気がしますが、ごった返す賑わいは少なくなっています。

そのために、同じ時間の「東急フードショー」に比べて、
①接客中の店員のアクション
②作業中の店員のアクション
が、途切れる状況が起きやすく、
その場合は、
①じっと立って客を待つ店員のアクション
②早すぎる「いらっしゃいませ!」
という、「客を遠ざける店員のアクション」が生じやすくなっています。

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(「東急フードショー」に比べて通行客が少ない)

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通行客が少ないために、「客を遠ざける店員のアクション」が生じやすい)

 

●京王井の頭線を下車した客の導線

京王井の頭線渋谷駅の改札を出た客は、①JR線、②東京メトロ半蔵門線、③東京メトロ副都心線、④東急田園都市線、⑤東急東横線の渋谷駅方面の連絡通路と、左側の渋谷駅前スクランブル交差点方面へと進みます。

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(左半分がエスカレーターへ向かう客、右半分が各交通機関へ向かう客)

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京王井の頭線渋谷駅を下車した大勢の客は、駅前スクランブル交差点方面にエスカレーターで向かいます。この地上真下に「東横のれん街」が位置しています。

●通行客の導線からはずれた「東横のれん街」 

従来の「東横のれん街」は、JR、私鉄、地下鉄を利用する通行客が非常に多い連絡通路に面していましたが、現在の「東横のれん街」は、それらの連絡通路には面しない地下1階に立地しています。

そのために各交通機関へ向かう通行客が移動中に立ち寄る導線からは、はずれているのです。

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●「戸板一枚の店」の魅力を提供してきた「東横のれん街」は、今後何を提供するのか?

「東横のれん街は」、日本初の「デパ地下」と言われながら、その実、食品フロアとしては異例の「地上1階」の立地にあったことが、かえって大きな人気を呼ぶ食品街になっていったという背景があります。
多くの交通機関の利用客が行き交う「道」に面することによって、「東横のれん街」は、東急百貨店・東横店からは独立したイメージの店として受け入れられてきました。

また、食品フロアの店舗構造が、六尺ケース(ショーケース)一本を基本とした、「店員空間が狭い接触型店」の構造の店で構成されることによって、見知らぬ大勢の客が行き交う「市」の店というイメージが確立されてきたのです。


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戸板一枚の店」とは、通行量の多い道路に、商品を並べた戸板を一枚置き、その後に売り手が座って売る店のことです。

かつての「東横のれん街」は、見知らぬ相手と戸板一枚の距離を隔ててスリリングなコミュニケーションや駆け引きを行うことも、大きな魅力の一つだったのです。

ところが、現在の「東横のれん街」は移設に伴って、大勢の見知らぬ客が行き交う「道」を失い、同時にその「道」に存在する魅力的な「戸板一枚の店」をも失い、かつての強力な「吸引力」を失いつつあります。

今後、「東横のれん街」が以前のにぎわいを取り戻すためには、繁盛店にとって不可欠な「道」と「戸板一枚の店」をいかにしてつくりだすかということが大きなカギとなってくることが予測できます。

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