「いらっしゃいませ!」と声をかけるから売れるというのは、間違いです。
■間違いだらけの接客方法 15
*今回は、カテゴリー「間違いだらけの接客方法」シリーズの15です。
「いらっしゃいませ!」という接客は、「客を遠ざける店員のアクション」です。
「いらっしゃいませ!」が典型的な客を遠ざけるアクションであるにもかかわらず、なぜ店ではいまだに「いらっしゃいませ!」が絶えないのでしょうか?
それは「いらっしゃいませ!」と言うからこそ、よく売れるのだと店員(販売員)を始め販売関係者が理解しているからに違いありません。
一日でも店に立った経験のある人は、確かに「いらっしゃいませ!」と言ってモノが売れたと感じたことがあるはずです。
しかし、同時に「いらっしゃいませ!」と言って、客を遠ざけた経験もしているはずです。
その両方を経験した結果、」「いらっしゃいませ!」を言えば、客を遠ざけることもあるが、売れることもあると理解して、「いらっしゃいませ!」と言ってはいけないとは思えないのです。
しかし、「いらっしゃいませ!」を言う場合は、
①買うことが決まっている客が来た時には売れます。
②買うか買わないかが決まっていない客はたいてい遠ざかってしまいます。
一方、「いらっしゃいませ!」と言わない場合は、
①買うことが決まっている客が来た時には売れます。
②買うか買わないかが決まっていない客が来た時は、買われる可能性が生まれます。
③またその客が検討している姿に引きつけられてやって来た客が買う可能性が生まれます。
つまり、早すぎる「いらっしゃいませ!」を言わない方が、はるかに多くの客を引きつけられるのです。
デパ地下などの場合、近年は試食販売が主流となっていますが、これは「いらっしゃいませ!」と言うだけよりも、試食をすすめる方がはるかに客を引きとめることができるからです。
さらに、店頭で試食をする客の姿は、さらに他の客を引きつける大きなパワーになります。そのために、食品関係の店では、今や試食販売が常識となっています。
「いらっしゃいませ!」がなかなかなくならない理由を知ることによって、「いらっしゃませ!」の声のかけ方や、タイミングがよくわかって頂けることを願います。
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コメント
私は子育てが落ち着き、主人の実家の電気店を手伝い始めたばかりです。
電気店ですので、お客様がたくさん店に入っている状態が少ないお店です。
これまで姑の色の強いお店でしたが、私とは性格が正反対で姑はお喋りで存在感あるタイプですが、反対に威圧感のある感じがしていると思っています。
敷居の低いお店にしたいと思うのと、やはり私には私の方法があるはずと思っておりますが、今後どのようにやっていくか模索しています。それでたまたまこちら様の記事が目に留まり、いくらか一気に拝見いたしました。
ひとつ、もっと知りたいことがありますので、ご質問させてください。
電気店のような店は、お客様の出入りは多くはありませんが、年に数回店内でイベントをやっているので、そのようなときにはお客様に入りにくい印象を与えないように、また、できるだけ居心地良くくつろいでいただけるような空間をと思い、パンを焼いておもてなししたり、実演をしたりしていますが、お客様がとぎれた時や、少ないときは早く帰らなければ・・・と思わせたりしないようにと思うのですが、うちのような店の場合、なわばり解除ができるようなこととはどういうものでしょうか。
普段でも、客が店にいないことも多いですので、その辺も教えていただけると嬉しいです。
突然の長文失礼いたしました。
ゆっくり、ほかの記事も拝見させていただきます。
よろしくお願いします。
投稿: 突然の質問失礼いたします | 2013年6月29日 (土) 19時17分
コメントありがとうございます。
さて、年に数回行うイベントの際に、客が途絶えないようにするにはどうするか?
というご質問だとしましたら、
より魅力的なイベントを企画し、できるだけ「感じの良いアクションを伴った接客」で頑張って下さいとお答えする他ありません。
(このブログの他のカテゴリーを参照ください)
ところで店は、本来通行量の多い立地を求めて移動を繰り返すことが一番重要なことです。
通行量の多い立地での競争に打ち勝つためには、客を引きつける店員のアクション(なわばりを解除する)が大きな役割を果たします。
過去は通行量の多い道路に面していた店が、通行量を失って、来店客数が減少した場合の接客方法は、大変難しいものになります。
それは、達人級の接客ができる人が、その人の人間的な魅力で常連客をつなぎ止めなくてはいけないからです。
残念ながら客は、通行量の多い道路に面した店に奪われてゆくものです。
なぜならば通行量の多い道路に面した店ほど、なわばりを解除したパワーが働くからです。
客が求めるなわばりが解除された店とは、大勢の客で賑わう店のことなのです。
あなたが、敷居の低い店を提供して、多くのお客様を迎えようとするならば、通行量の多い道路に面した店であることがどうしても必要になります。
いくら敷居の低い店を作ったとしても、通行量に変わりがなければ、多くのお客様をお迎えすることは残念がらとても難しいことだからです。
投稿: 馬渕 哲 | 2013年7月 1日 (月) 12時45分