ブランジェ浅野屋(東京・グランスタ)
(店内の様子)
(外の通路からの様子)
JR東京駅の駅ナカショップ・「グランスタ」にある「ブランジェ浅野屋」の、「三空間店舗構造」と「店員と客のアクション」について、「人の動き」という観点から分析したいと思います。
「ブランジェ浅野屋」は、昭和8年(1933年)に東京で創業。昭和15年に避暑地の客を対象にした軽井沢夏季出張店を開設し、現在は軽井沢に本店を構える、パンの専門店です。
(1)「ブランジェ浅野屋」の平面図
①緑が商品空間
②空色が店員空間
③客空間は通路上
④赤が店員
⑤青が客
この店は、一見、「店員空間がある接触・引き込み・回遊型店」のように見えますが、ここでは「店員空間が広い接触型店」の構造の店だとします。
(店員空間が広い接触型店)
(3)「ブランジェ浅野屋」の店員空間と店員のアクション
「店員空間が広い接触型店」は、従来は対面販売を行うための店の構造でしたが、近年では「店員空間が広い接触型店」の構造をして、セルフ販売を採用した店がたくさん登場してきています。
この店も、セルフでパンが買える店となっています。
この店の特徴は、商品空間の後方の広い店員空間で作業を行う店員の姿がほとんど見えないことです。
店員の姿は、右後方にあるレジカウンターのところで見かけることになります。従って、この店は「客を遠ざける店員のアクション」は全く生じない店舗構造と店員のアクションになっています。
そして、この店の店員が行う、精算と包装作業のアクションと、商品の補充や整理・整頓の作業を行うアクションは、いずれも「客を引きつける店員のアクション」となっています。
(レジカウンターで、客に対応する三人の店員のアクションは「客を引きつける店員のアクション」です)
(客空間に出て、商品の補充や陳列の整理を行う店員のアクションは、「客を引きつける店員のアクション」です)
(店員空間で作業をする店員の姿は、商品空間が高いために、客側からはほとんど見えない設計になっています)
(外から見える店員空間での作業中の店員のアクションも客を引きつけます)
(4)「ブランジェ浅野屋」の商品空間
セルフ販売方式のこの店の「商品空間」は、なわばりが解除されているために、客が自由に選べる「商品空間」となっています。
また、豊富なオリジナル商品が陳列されていることによって、商品自体から「冷やかし安全信号」が発信されています。
(セルフ販売方式の「商品空間」は、なわばりが解除され、豊富な種類の商品からは、冷やかし安全信号が発信されています)
(5)「ブランジェ浅野屋」の客空間
「店員空間が広い接触型店」には「客空間」はありません。
しかし「セルフ販売」を採用しているために、「商品空間」に沿った通路上に、客は自由に「客空間」をつくって、商品を冷やかしたり選んだりすることができます。
そして、その商品をひやかしたり選んだりする客の姿は、「サクラパワー」となって、この店全体のなわばりを解除して、通行客を引きつけます。
(冷やかしたり選んだりしやすい通路上の「客空間」)
(商品を冷やかしたり選んだりする客の姿は「サクラパワー」を生み出し、大勢の客を引きつけます)
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(6)この店が客を引きつけるとき、客を遠ざけるとき
(1)この店は、「店員空間が広い接触型店」であることに加えて、完全なセルフ販売を採用していることによって、多くの通行客を引きつけます。
(2)レジカウンターでの店員のアクションは、典型的な「客を引きつける店員のアクション」となって、通行客を引きつけます。
(3)店員の姿がほとんど見えないほど、高く陳列された「商品空間」は、なわばりが解除された「商品空間」となって、客を引きつけています。
(4)セルフ販売を採用したこの店の通路は、なわばりが解除された「客空間」となり、通行客を気軽に引きつけています。そして、その客の姿が「サクラパワー」を生み出してさらに通行客を引きつけています。
(5)店員の姿がほとんど見えないために、「客を引きつける店員のアクション」を利用することはできませんが、その分、「客を遠ざける店員のアクション」が全く生じないという大きな利点もあります。
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