冷やかし客が多い店ほど繁盛しやすい
2.売れる営業マンの新しいとらえ方
(1)冷やかし客が多い店ほど繁盛しやすい
同じ立地にある店の売り上げに大きな差が生じるとしたら、それは通行客が店の中に気軽に入っていけるかどうかが関係しています。
つまり、店が繁盛するためのもう一つの条件は、客が店で自由に冷やかせるかどうかということなのです。
店はかつて「道」に生まれました。
「道」とは、異なる二つの共同体(コミュニティ)を結ぶ空間で、それぞれの共同体(村)の規範や人間関係のしがらみが希薄になる特別な空間でした。
そのために、そこには大勢の見知らぬ人々が行き交い、誰もが自由に振舞うことができたのです。
さて、店はそのような「道」に生まれたものなので、本来は「道」の性質を持っているはずでしたが、商店街の登場によって、一時期そうした性質を失ってしまいました。
地域に密着した商店街の店は、客と店員がお互いに顔見知りであることを前提にした、店舗構造と接客方法を行っていたために、客は自由に商品を見たり触ったりすることができませんでした。
このような店には、初めから買うことを決めた客しかやって来ないことになっていたので、いったん店に入った客は、何かを買わない限りは帰ることができないと感じていました。(もちろん客はいつでも自由に買い物ができる店を望んでいました。)
大勢の客で賑わっている現代の店は、買う買わないに関係なく、客が自由に商品を見たり試したりすることができる店です。
買うことを決めている客も、買うか買わないかがはっきりしない客も、全然買う気が無い客も合わせて、すべての客を取り込む店だからこそ、大勢の客が訪れ、最終的に多くの商品が売れるのです。
つまり、店にとって冷やかし客を生み出すことは、買う客を生み出すための第一歩なのです。
ところが、冷やかし客が自由に出入りできる店を作ることはなかなか難しいことなのです。
それは、「店」はそもそも店主や店員のなわばりなので、その中に入っていく客は、大変強いなわばり主張を感じるからです。
従って、店員はできるだけ自分たちのなわばりを解除して、冷やかし客が自由に出入りできる店の構造と接客方法を準備する必要があるのです。
そしてまた一方、同じ訪問件数の営業マンの業績に、大きな差が生じるとしたら、やはりその営業マンが冷やかしやすいかどうかが関係しています。
営業マンの場合は、自分の方から客のなわばりに出向いていくので、客に対する地位は低くなります。
しかし、営業マンの地位がいくら低くなったとしても、客は自分のなわばりへの侵入者に対しては常に警戒心を持っていますから、やはり客が受け入れやすいように行動することが大切です。
次回は、『客から冷やかされる営業マンに「営業力」がある』をレポートいたします。
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