二代目はたいてい先代の素質を受け継いでいない
戦後の日本の経済の著しい発展とともに、全国にたくさんの店が生まれ大きく発展してきました。
そして長い年月が過ぎ、その多くの店の経営者も、やがては歳をとり、経営者一代だけで終わる店もあれば、どんどんと店を増やして大勢の従業員とともにさらなる発展を目指す店もあります。
そのように、バイタリティに溢れた店主が、一代で大きくした店の後継者を誰にするかは非常に難しい問題です。
大勢の従業員の中には後継者にふさわしい人材も育っていますが、経営者に子供がいる場合は、経営者の子供が後継者になってゆくのが一般的です。
なぜなら、日夜身を粉にして頑張り、小さな店を立派な大会社に育てた店主の血を引く子供には、きっと同じ才能が引き継がれているはずだと周囲が思いやすい上に、たいていの経営者は、心の底では自分の子供が後継者になってくれることを強く望んでいるからです。
さて、経営者の息子が二代目として本格的に仕事をするようになるにつれて、風船がしぼむように業績が悪化してゆくということは珍しいことではありません。
いったいなぜこのようなことが起きるのでしょうか?
先代が長年にわたって激しい販売競争に打ち勝って成功してきたのは、運もさることながら、本人に成功するための才能があったからなのです。
細心さと大胆さを兼ね備えた注意力と、機を見て敏な決断力や、目標に向かって突き進む実行力があったからこそ、一代で大きな会社になったのです。
残念ながら、親の注意力と決断力と実行力をそのまま引き継ぐ後継者はほとんどの場合存在していません。
人は誰もが、それぞれ様々な個性を持って生まれてきているからです。
やる気だけは先代ゆずりなのにまったく実行力が無い二代目もいれば、実行力は先代ゆずりでも緻密な注意力に欠ける二代目もいます。
世の中の多くの実例が示す通り、二代目はたいてい先代の素質をそのまま受け継いではいないのです。
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