道に面した店が売れるのではない、道を取り込んだ店が売れる
店のルーツは、二つの共同体の境界で見知らぬ人々がモノとモノを交換したことだといわれています。
店はもともとは見知らぬ人が行き来する「道」に生まれ、見知らぬ人を対象にして発達してきたのです。
祭りの縁日や市の店がそのなごりとして継承されていますが、このような店は、その昔、客の心を日常の様々なしがらみから解放するものでした。
その後、商業が発達するにつれて、店は全国各地の人々に生活必需品を提供する手段となっていきました。
戦後、全国各地に生まれた商店街は地域に密着し、近所の客を対象にして商売をしたために、見知らぬ人を対象とした初期の店はしばらく姿を消すことになりました。
そのため、店は次第に、「道」で生まれた自由な感性を失い、そこでは義務や常識としての礼儀作法や日常の人間関係を背景にした接客方法が確立されていったのです。
やがて著しい経済の発展が激しい販売競争を生み出して、商店街はその役割を終え、新しく登場してきたスーパーマッケットや百貨店やコンビニや大型ディスカウント店の登場によって、再び店は、大勢の見知らぬ客を対象にした商売となりました。
この変化によって、店は再び「道」に生まれた時代の自由な性質を取り戻すことになったのです。
従って、現代の店が繁盛店となることを望むならば、最低でも人通りの多い「道」に面した所に店をつくらなければなりません。
そして、見知らぬ大勢の通行客が店内を通って移動する空間を取り込んだ店にする必要があります。
さほど大きくない店の場合は、あたかも表の道路から店内に取り込んだかのような回遊通路をつくることが大切です。
規模の大きい百貨店やショッピングセンターなどの場合は、店内を通って客が他の所に移動する「道」を取り込まなくてはなりません。
かつて、郊外に生まれたショッピングセンターが、なかなか目標とする売り上げが上がらないままに、撤退を余儀なくされるケースがたくさんありました。
実はこれらのほとんどのケースは、店内に道を取り込むことができなかったために、失敗してしまったのです。
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