11.機敏の動き
「機敏の動き」とは後ろに速く動く動きで、ぱっと手を引いたり、さっとさがったり、くるりと向きを変えたりする動きのことです。この動きは本来、危険から身を守るためには非常に有効です。
動画は「機敏の動き」を使って、名刺交換の後、さっと手を引いている例です。
「機敏の動き」は、スピード自体は速いのですが、後ろにさがる動きであることから「劣位アクション」に分類されます。
すばやく人やものから遠ざかる「機敏の動き」は、控えめで、表舞台には立たないが、すぐにものごとを解決するという印象を与えます。普段は目立たないところに控えていて、呼べばすばやくやって来て、命令を受けたらさっと風のように去って行く。ちょうど時代劇に登場する忍者のようなイメージがあります。
「機敏の動き」を作業に取り入れるとスピード感が増し、キビキビ、テキパキとした印象を与えることができます。一般に、キビキビ、テキパキと作業を行う人のアクションを観察すると、後ろに引く動作のスピードが速いことがわかります。
例えば、食器をテーブルに手際よく並べるウエイターは、皿を置くときにはゆっくり確実に手を伸ばし、反対に手を引くときにすばやくすることで全体のスピードを上げています。
店員(販売員)や営業マンの場合は、お客様から何かを頼まれたら、さっと後ろにさがるアクションや、くるりと向きを変えて目的に向かうアクションをすると、すぐにテキパキと対応してくれるというイメージを与えられます。
「機敏の動き」が得意な人は、店員(販売員)になると高い売り上げを上げることが多いのですが、それは、この動きが得意な人は、お客様が声を掛けてきたらすばやく対応しますが、用がすんだらすぐに離れたくなるために、つかず離れずのほどよい接客対応となり、お客様に逃げられることが少ないからなのです。
営業マンでこのアクションが得意な人は、特に意識しなくても自然に訪問件数を増やすことができます。なぜならば、このタイプはお客様を訪問するとすぐにその場を離れてほかに行きたくなるからです。
営業成績を上げるためには、すぐに帰らずに相手がいい返事をくれるまで粘らなければならないのではないかと思いがちですが、現実には、まだ買う時期が来ていないお客様のところに長居をしてもあまり効果はありません。むしろ買う気のないお客様にいつまでも対応するのは時間のむだでになります。
それよりも、定期的に顔を出してしつこくならない程度に客の状況を把握し、いよいよ買いそうな時期を見計らって、タイミングよくその場に居合わせるようにすることこそが大切なのです。
「機敏の動き」が得意な営業マンは決定後の対応も早く、問題があってもすぐに対応するので、あまり客とのトラブルを起こしません。特に愛想がいいわけでも感じがいいわけでもなく、客とそれほど親しくしているわけでもないのに、なぜか高い売り上げをあげる営業マンにはこのタイプが多いのです。
さて、このような「機敏の動き」の問題点は、相手に冷たい印象を与えてしまうことにあります。このアクションを多くする人は、すぐに後ろにさがってしまうために、シャイで人見知りをするというイメージを持たれやすくなります。
すでに説明した「接近の動き」をよくする人が人なつっこく積極的な印象を生みだすのに対して、「機敏の動き」をよくする人はサバサバしてものごとにこだわらないが、つかまえにくく、どちらかというと消極的な印象を生み出すことが多いのが普通です。
また、「機敏の動き」が得意な人は、プライベートにおいても他人と面と向かってじっとしているのが苦手であるために、なかなか友人や恋人ができにくいという一面があります。人と話をしているときにも、すぐに立ち去ろうとするようなアクションを繰り返すので、相手は避けられているのではないかと誤解しやすく、なかなか落ち着いて付き合うことができません。
自分は「機敏の動き」が多いと思い当たる人は、そのアクションはできるだけ仕事面で生かすようにし、人と話しをするときにはコントロールした方が人間関係がうまくいくでしょう。
■役に立つとき
1.すばやく対応する
2.接客対応
3.営業の訪問件数を増やす
■注意が必要なとき
1.ていねいな説明
2.濃密な人間関係
■13種類の人の動き もくじ
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