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2012年10月15日 (月)

行列ができる和菓子店「仙太郎」の店舗と接客の秘密

みなさんは和菓子の「仙太郎」と言う店をご存知でしょうか?
京都に本店があり、全国の有名百貨店などに十数店の店舗を出店しています。
「仙太郎」は一見、何の変哲もない対面型ケース販売の店に見えますが、実は店の奥にミニ工場を併設した構造で、多くの店で客の行列ができるという、和菓子の店としては大変珍しいタイプの人気店です。そのために、多くの同業者に商品やショーケースをまねされたり研究されたりする注目の店です。
ここではこの店の店舗と接客の謎を「人の動き」という観点から解明したいと思います。

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下の写真は、東京の伊勢丹新宿本店地下1階食品フロアにある「仙太郎」です。
ご覧のように、L型の対面販売用のケースがあるだけで、他の店と比べて変わったところは特に無いように見えます。

Sentaro1

1.この店の立地・・・・・・二つの通路に面した好立地。角店
二つの通路に面した角店で、好立地です。

 

2.この店の扱い商品・・・・・・・・朝生和菓子、上生菓子、贈答用品
この店は、朝つくって、その日のうちに食べる朝生(あさなま)和菓子が中心です。ぼたもち、最中、豆大福などの定番商品に加えて、水ようかんや栗の大福など季節の和菓子がケースに並びます。また、日持ちのする贈答用の和菓子類も用意されています。

 

3.この店の店舗構造・・・・・セルフ販売方式の、店員空間が狭い接触型店
この店は、店の奥にミニ工場を併設した、「店員空間が狭い接触型店」です。ミニ工場の存在は、商品をこの場でつくっているというできたて感や、手づくり感を高めています。

 

■この店の平面図
Sentaro_heimenzu

↓店の奥に見えるミニ工場。できたて感や手づくり感を高めている。
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4.この店の店員(販売員)と客のアクション
   
・・・・精算・包装する店員(販売員)のアクションと、行列する客のアクション
この店の店員(販売員)のアクションを見てみましょう。
もう一度、平面図を見てください。

Sentaro_heimenzu_3

ショーケースはL型になっており、手前がギフトのショーケース、奥が朝生のショーケースになっています。客の行列はショーケースに沿って生じています。行列の先頭には、混雑時で3人程度の店員(販売員)がいて、順番に接客していきます。よく見ると、朝生商品のショーケースの前にベルトパーテーションが用意されているのがわかります。この店は、客がベルトパーテーションの内側に並ばない限り接客をしない、すなわち「セルフ販売方式」を採用している店なのです。
例えば、ギフト商品を買おうかどうしようかと迷っている客は、ギフト商品のショーケースに近づいて商品を眺めますが、この時点では接客されません。
また、朝生和菓子を買おうかどうしようかと迷っている客は、朝生和菓子のケースに近づいて商品を眺めても、ベルトパーテーションの内側に並ばない限り、接客されることがありません。実はここが他の店との非常に大きな違いになっています。

↓パーテーションの外から商品を眺める客(左)。
店員(販売員)はパーテーションの中に並ばない限り接客しない。
店員(販売員)は客を引き付けるアクションを続けている。

Sentaro4


これは、すでに紹介したラスクの「ガトーフェスタ・ハラダ」と同じ接客方法です。しかし、「ガトーフェスタ・ハラダ」の場合には、店の一部にかなりのボリュームのセルフ販売コーナーがあり、それを買う客はセルフで商品を選んで行列に並ぶために、セルフ販売方式であることがわかりやすいのですが、この店の場合はセルフ販売コーナーが無いために、セルフ販売方式であることがわかりにくくなっています。セルフ販売方式といえば、コンビニなどの接客方法を連想しますが、それ以外でも、客が買うことを決定した後に、店員から接客を受ける方法はすべて「セルフ販売方式」の接客方法です。
百貨店などにあるショーケース販売の店が「セルフ販売方式」を取り入れる利点は、買うか買わないかをまだ決めていない客に、早すぎる接客をして逃げられることがないということです。
一方、客はコンビニなどと同じように自由に好きなだけ商品を見て、買わずに帰ることもできるので、気軽に店に近づくことができます。そして買うことが決まって行列に参加すれば、やがて順番が来て必要な接客を受けることができるのです。

↓行列する客。2~3人の店員(販売員)が先頭の客から順番に接客していく。
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↓接客を受ける客
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このように、この店のショーケース沿いにできた行列は通行客の興味を引き、サクラパワーを引き起こして、さらに新しい客を引き付けていきます。これが、この百貨店の和洋菓子売り場の中で、この店にだけ行列ができる秘密なのです。

↓店の前の行列は多くの通行客を引き付ける。
Sentaro6


●「仙太郎」は「第四世代の店」の条件を備えた店

第四世代の店は、見知らぬ客が大勢行き交う「移動空間」に立地して、「第四世代の店の構造」をして、「一見接客」を行うことによって多くの客を引きつけています。
「仙太郎」も、「移動中に買い物がしたくなる」という人間の基本的な性質を背景にした、「移動客」を対象にした店なのです。

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●関連記事
仙太郎(東横のれん街)



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