店を離れると客が近づき、急いで引き返すと客が逃げる
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今から20年ほど前、百貨店が全盛だった時代のファッション売り場では、それはそれは厳しい接客教育が行われていました。店員(販売員)は背筋を伸ばして手を前に揃えて、売り場の前の通路にじっと立って客を待つことが、お客様に対する礼儀だとされていたのです。
しかし、そういう店員(販売員)の接客方法は、実は客にとっては非常にストレスがかかるものでした。本当はそうした接客のせいで、客はなかなか自由に商品を見たり触ったりすることができませんでした。
そして、ごく一部の店員(販売員)だけが、そのことに気づいていたのです。
その人たちは、自分が薄々気付いたことが、先輩や先生の指導とは相いれないことをよく知っていたので、誰にも言わず、ただ自分だけでそっと実行していました。彼らこそが「達人販売員」なのですが、そのノウハウはほとんど謎に包まれていたのです。
◆ファッション売り場の接客の達人
現代でも、売れる店員(販売員)はそのことに気づいています。
彼らは、さりげなく作業をする等の「客寄せ踊り」の効用に気がつき、利用しているのです。
客が来てもすぐには接客を開始せず、客が見たい商品のそばに近づけるように、場所を明け渡しながら作業などを続けます。
商品を見た客が、販売員に何か質問したくなった時に、客のそばにいて質問を受けることができれば、販売の確率はあがります。
客から質問された時の対応を観察すると、達人は、うなずきや軽いお辞儀をひんぱんに繰り返していることがわかります。
在庫を取りに行く時はすばやく移動します。
これは、動作をキビキビすることでやる気があるように見えるだけでなく、待っている間に客の気が変わるのを防ぐためにも有効です。
客が買うまでには様々なやり取りがありますが、達人は基本的に客の意見に賛成し、協賛し、同調するので、よくうなずきます。
商品の受け渡しをていねいにすることは最後の印象を決定します。
客が受け取りやすいようにするためには、ゆっくりきちんと差し出して静止するアクションが必要です。
お礼のお辞儀はとても大切です。
達人は、接客中にひんぱんにうなずき、浅いお辞儀や深いお辞儀を繰り返します。何でもないことのようですが、日本人はうなずきとお辞儀の仕方によって、相手のやる気や誠実さの度合いを判断するので、きちんとしたうなずきとお辞儀をすることが大切です。
具体的なうなずき方、お辞儀の仕方、案内の仕方はアプリ「接客上手下手はアクションで決まる」を参考にしてください。
※マンガは「接客力!」PHP研究所刊より
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デパ地下などでよく見かける試食販売ですが、実はこれがなかなかむずかしいものなのです。試食さえ用意すれば、客はどんどん近づいてくるのではないかと思う方もいるかもしれませんが、多くの客は、うっかり試食をすると、買いたくない商品を、なりゆきで買わなければなくなることがあるのをよく知っているので、そう簡単には手を出しません。客に試食してもらうためには、いかにうまく「なわばり解除」を行うかが、店員(販売員)の腕の見せ所なのです。実際に達人販売員が行っていた接客例を見てみることにしましょう。
◆試食販売の達人1
客がいない間は、作業中のアクション(客を引き付ける
アクション)を行うことでなわばり解除をしています。
客が立ち止まると、試食品を手渡しますが、この時、手渡す客を見ないことによって、客が危険を感じないように工夫しています。
注文をした客には、正対して、きちんと対応しています。
このとき、達人販売員は、盛んに、うなずきや浅いお辞儀をして、感じがいいイメージを出しています。
一度、試食を受け入れた客の場合、二回目に試食品を渡す時には顔を見ています。達人は、同時に数人の客に対応していても、誰に何回試食品を渡したのかを記憶しています。
計測や包装作業の間に、説明や呼び込みを行うと、活気が保たれます。
接客は元気よくすると、店に活気が感じられます。
きちんと客の方を向いて金額を伝えています。
この時、うなずきや浅いお辞儀を入れることで、信頼感や誠実さが増します。
何回か試食をしても立ち去らない客には、別の客に接客する合間に、声をかけています。
客の方にゆっくり身体を傾けて接近すると、親しみが増します。
いきなりこれをやると警戒されることがあるので、達人はタイミングを見計らっています。
購入客にはきちんと商品を手渡しています。
手だけをのばすのではなく、身体を前傾させて渡すことで、親切さ、ていねいさが伝わっています。お礼はしっかり、笑顔で明るく言っています。
人気ブログランキングへ接客には、お辞儀とうなずきと案内のアクションが大切です。
感じがいいアクション例と感じが悪いアクション例は「アプリ・接客上手下手はアクションで決まる!」をご覧ください。
※マンガは「接客力!」 PHP研究所刊より
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本来広い店なのに、店員空間を狭く設計したことで客を遠ざけるアクションがよく目立ち、セルフコーナーにも客が入りにくい洋菓子店。
前回に引き続き、様々な問題点を抱えた店を分析します。
この店も某有名ショッピングセンターで洋菓子を販売している店です。
みなさんはこちらの店をどう思われるでしょうか?
この店はエスカレーターのすぐ近くにあり、二本の主要通路に面した接した角店という非常に恵まれた立地にありながら、なかなか思うように業績を伸ばすことができない、大変もったいない店なのです。
さっそく、平面図を見てみましょう。
◆この店の店舗構造・・・
「店員空間が狭い接触型店」と「店員空間が狭い引き込み型店」の折衷型店舗
この店は、店全体としてはさほど小規模な店ではありませんが、「店員空間が狭い接触型店」と「店員空間が狭い引き込み型店」の折衷型店舗になっています。しかも、引き込んだ商品空間がセルフ販売コーナーとして設計された非常に特徴のある店舗構造になっています。
平面図を見ると、対面型のショーケースで囲まれた店員空間の真ん中あたりにレジカウンターがあり、このレジカウンターで、対面販売の商品を買った客とセルフ販売コーナーで買った客の両方の精算を行うことを意図してつくられています。
ところがこの工夫が、実は一つの問題点を生み出しているのです。
せっかく「店員空間が広い接触型店」の構造をしているのに、レジカウンターを真ん中に持ってきたことから、店員(販売員)が自由に動ける空間が狭くなってしまいました。そのために、店員(販売員)が常にショーケースのすぐ後ろに立つことになり、「なわばり主張」のアクションを生じがちな店になっています。
注意ポイント!
セルフ販売方式と対面販売の折衷型の接客方法を採用すると、店の構造がはっきりしなくなり、「客を遠ざける店員のアクション」を生み出しやすい構造になる。
◆この店の店員(販売員)と客のアクション・・・
「客を遠ざける店員のアクション」が生じやすいため、客が自由に商品を見たり検討したりしにくい。
以上のことを踏まえて、もう一度、この店を観察してみることにしましょう。
この店は非常におしゃれな店で、ケースの上にはほとんど商品やディスプレイ物を置かないようにしています。その分、店は非常に洗練されてすっきりしていますが、一方で店全体の見通しが良すぎて、客が店員(販売員)の視線を避けられるようなものが何もありません。このような店は店員(販売員)のアクションが非常にむずかしく、客がいない間、店頭でじっと立つ「客を遠ざけるアクション」が良く目立ってしまいます。
また、店の後ろ側に設置された「セルフ販売コーナー」も、すぐに接客されるというイメージが強いために、客が落ち着いて商品を選ぶことができません。さらに、商品の種類や量が少ないために、商品空間が貧弱になり、客を引き付ける魅力に欠けたものになっています。
店のデザインやインテリアがどんなにおしゃれでセンスが良くても、「戸板一枚の店の法則」を無視した店は成功しません。客が近づきやすいかどうかを決める最大のポイントは、客と店員(販売員)との関係です。客が商品を選んでいる間は店員(販売員)を気にせずにすみ、買う時にはすぐに接客できる店舗構造をつくることが、繁盛店を生み出すポイントなのです。
注意ポイント!
販売方法と商品空間のつくり方が一致しないと、客を引き付けられない。
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今でもお店の接客教育は、礼儀作法を基本として指導されています。
従って、店員(販売員)の「客待ち姿勢」は、背筋を伸ばして直立し、両手は前に組んで、常にきちんとした姿勢で待ち続けることが教育されます。
しかし、実際には店員(販売員)がじっと立っている店には、なかなか客が近づきません。買うか買わないかが決まっていない多くの客は、きちんとした姿勢で待ち受ける店員(販売員)を避けて、作業中の店員(販売員)のいる店に引きつけられます。
つまり、客にお尻を向けて作業に追われる店員(販売員)の姿は、一見失礼な対応に見えますが、客にとっては商品を気軽に冷やかしやすい状況になっているのです。
お店では、客は店員(販売員)のアクションに対して非常に敏感に反応しています。
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今月、10月1日に、国の重要文化財にも指定されている東京駅の丸の内駅舎が百年前の姿でよみがえり、10月5日には大改装していた大丸東京店がリニューアルオープンしました。大丸の食品フロア「ほっぺタウン」も増床され、食品売り場、特にお弁当売り場が充実し大変話題になっています。
さっそく、魅力的になった最近のデパ地下の店舗構造と店員(販売員)の接客アクションを観察してみましょう。
1.「お肉の細道」の立地・・・・東京駅地下通路に面した好立地
「ほっぺタウン」のフロアマップのように、有楽町側の地下通路から百貨店の中へと引き込まれている一角が「お肉の細道」となっています。
大丸東京店地下1階の食品売り場「ほっぺタウン」が増床し、お弁当の店を集めた「お弁当ストリート」が大人気、中でも男性をターゲットにして、肉を中心としたお弁当を集めた「お肉の細道」が大きな話題になっています。
2.「お肉の細道」の扱い商品
・・・・肉を主役にした各種弁当。店内の厨房で製造。
焼肉、ハンバーグ、洋食、韓カルビ、鳥唐揚げ、焼き鳥など、様々な肉を中心とした各種弁当類を販売しています。すべての店が店内に厨房を持っていて、できたてのお弁当を提供することができます。
3.「お肉の細道」の店舗構造
・・・・奥に厨房がある、店員空間が狭い接触型店。
この一角には有名な店がたくさん出店していますが、今回は以下の7軒の店舗構造と接客を観察することにします。
これらの店の構造は、すべての店の奥に厨房があり、対面販売用のショーケースとオリジナルの陳列棚を利用した「店員空間が狭い接触型店」ですが、よく見ると、それぞれの店の商品空間のつくり方や販売方法には違いがあり、店の個性や扱い商品の特徴などとも深い関係を持っていることがわかります。
すでに、和洋菓子の売り場の分析で、店内に厨房やミニ工場があって、客から作業の様子が見える店は、できたての商品を提供しているというイメージを与えるのに加えて、作業中の店員のアクションとなって、客を引き付けやすいということをご説明しました。
そのように考えると、ここでご紹介する「お肉の細道」の店はすべての店が店内に厨房を持っているので、非常にレベルが高い販売競争を展開していると言えます。
それでは順番に、それぞれの店の店舗と接客の特徴を見ていきましょう。
(1)叙々苑 (東京大丸店)
焼肉で非常に有名な「叙々苑」。焼肉弁当を販売しています。
この店は7店舗の一番端、地下通路から入ってすぐの位置にあります。
ショーケースは、向かって左側が、焼肉のたれとサラダドレッシング、焼肉ライスバーガー(パッケージ)を陳列したケース、真ん中が焼肉弁当の見本とすでに包装された焼肉弁当の箱の陳列、その隣にレジがあり、一番右側がサラダの冷ケースとなっています。
焼肉弁当は客が自分で手にとって買うシステムですが、店員(販売員)との距離感から考えて、対面販売が行われていると考えられます。
厨房は店の奥にあります。通路側からは作業の様子が良く見えますが、ショーケースとの間に柱がある関係で、せっかくのお弁当を製造する店員(販売員)のアクションが客を引き付ける作業中のアクションとして機能しにくくなっています。客から客寄せ踊りとして認識されにくいところが少し残念です。
↓通路から見た叙々苑の厨房。ショーケースの方向からはこのアクションは見えない。
(2)ミート矢澤(ブラッカウズも同時出店) (東京大丸店)
この「お肉の細道」の中で、一番話題になっているのがこの「ミート矢澤」です。(レジを挟んで、隣に系列店のブラックカウズが出店)。
百貨店初出店ということもありますが、「超高い!」お弁当が販売されたということでTV等で報道されました。この価格が高いことも多くの客の興味を引くポイントになっています。メニューは、一番安いハンバーク弁当で1500円。ハンバーグとサイコロステーキの詰め合わせで3000円前後、ステーキ弁当となると5000円を超え、何かと話題を集めている一番高い「極味弁当」になると、何と9600円もします。
驚いたことにこの店は、弁当としては価格が高いにもかかわらず、多くの客を引き付けています。この店の店舗と接客の秘密を分析してみましょう。
実は、今回ご紹介する7店の中で、一番よい立地にあり、販売しやすい構造をしているのがこの「ミート矢澤」なのです。
もう一度、全体図を見てみましょう。
まず、「ミート矢澤」は系列店の「ブラッカウズ」と並んで出店しているために、他店よりもやや店が広くなっています。
さらに、よく見ると、左から2番目にある「ミート矢澤」だけが、角店(かどみせ)の構造になっていることが分かります。すでに角店については、何度もご説明していますが、二本のの通路が交差する角にある店で、一般に通行量が多いことから販売に有利とされています。
この店の有利な状況は、通路側から見た時によく分かります。
左側の厨房とL型になったケースが連動して、客を引きつける店員(販売員)の作業中のアクションがアクションが良く目立ち、活気のある状況を客に提供しています。
↓百貨店の外の通路からでも、この店の活気のある雰囲気がよくわかる。
さらに、アップにしてみるとこんな感じです。
L型のケースの一部には、大きな肉の塊が見えます。
↓店に近づいたところ。作業中の店員(販売員)のアクションが良く目立つ。
ケースの中には大きな肉の塊が…。
さて、ケースの中に陳列されているのは、それぞれの弁当の見本(食品サンプル)です。この弁当サンプルには相当な種類があり、非常においしそうに見えるため、強力に客の目を引き付けます。この店では注文を受けてから調理を開始するために、包装済みの弁当は一切陳列されていません。包装済みの弁当は、精算・包装時間を早くするためには非常に効果的ですが、食品の中身が見える部分が少ないために、商品パワーが落ちるという問題点があることも事実なのです。
向かって右側にある「ブラッウズ」でも、注文が入ってから調理が開始されるために、ショーケースの中はおいしそうなサンプルのみが並んでいます。
さて、客にとって一番見やすいL型ケースの先端に飾られているのは、一番高い「極味弁当9600円」です。
これはマスコミでも話題の商品なので、特に買うつもりのない多くの人が気軽に近寄って眺めていきます。ケータイで写真を撮って行く人もめずらしくありません。つまり、この9600円の弁当は客に対して「どうぞご自由に見てください。買わなくてもかまいませんよ」という「冷やかし安全信号」を発信しており、この店は店と店員(販売員)のなわばり解除が最大限に訴求されている店だと考えられます。
↓9600円の弁当に客は興味津津。
冷やかしでこの弁当をながめる多くの客の姿がサクラパワーとなって、さらに多くの通行客を引き付けることは言うまでもありません。商品をゆっくり眺めて検討した客の一部は、買う客となって行列に参加します。つまり、この店は典型的な対面販売ケースを使用しながらも、セルフ販売方式(客が買うことを決めてから接客を開始する販売方法)を採用しているのです。
また、この店では、できたてを提供するために、客が注文してからつくり始める方式を採用しています。そのため客はどんなにすいている時でも10~20分待たなければならず、その出来上がりを待つ客の姿も、サクラパワーとなって次の客を引き付けます。
まとめると、この店は、
●商品を冷やかす客
●注文するために並ぶ客
●商品の出来上がりを待つ客
によってサクラパワーが生じ、さらなる客を引き付けて、繁盛しているのです。
(3)韓カルビ大雲(デウン) (東京大丸店)
この店では、ケース全体がセルフコーナーになっており、客は自分で商品を選んで店員(販売員)に手渡し、精算・包装をしてもらいます。この店でははっきりとしたレジカウンターがないために、客が行列をつくることはありません。一見、セルフ販売方式に見えますが、商品を選ぶ間、店員(販売員)の存在が少し気になるために、セルフ販売方式と対面販売方式の中間くらいの店だと考えられます。
商品空間には出来上がった弁当がたくさん陳列されており、透明のフタを通して美味しそうな弁当の中身が良く見えるため、客にとって魅力を感じやすい店です。
(4)洋食や三代目たいめいけん (東京大丸店)
ガラスのショーケースではなく、三段の商品陳列棚とレジカウンターからできた店です。客が商品を手にとってレジで精算する方法ですが、商品空間は包装された商品と写真が中心で、見た目の美味しさを訴求するよりも、持ち帰りやすさやすぐに買って帰れるというところに重点を置いた陳列です。
(5)たまひで からっ鳥(と) (東京大丸店)
ケースの真ん中にレジカウンターがあり、向かって左側がカラスのショーケース、右側がカレーのパッケージの陳列棚になっています。
この店は、客がガラスのショーケースの中の空揚げのパッケージを見て、どの量の唐揚げを買うかを決定して、レジに並ぶという販売方法を計画していますが、商品空間のつくり方の関係で、店員(販売員)の影響を強く受ける普通の対面販売方式になっています。
(6)両国 鳥幸 (東京大丸店)
焼き鳥を並べた対面販売用のショーケースを使い、典型的な対面販売を展開しています。このタイプの店は従来から客を遠ざけやすい店員(販売員)のアクションが生じやすいために、高度な接客技術を必要とします。
以上、ほとんど同じくらいの限られた空間の中でも、それぞれの店が様々な工夫を凝らして、個性のある店を展開していることがわかります。
ますます魅力的になるデパ地下ですが、今後も変化を追跡していきたいと思います。
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9月27日、新宿三丁目の「新宿三越アルコット」跡に、ユニクロとビッグカメラの共同店舗「ビックロ」が開業しました。開業当日の大混雑ぶりは盛んに報道されていましたが、開業後約半月、そろそろ一段落したころでしょうか? 店舗と接客の様子を見てみましょう。
1.この店の立地・・・非常に良い。
新宿駅東口からすぐ近くの新宿三丁目、かつての三越百貨店新宿店があった場所で、平日でも数十万人の通行客数があると言われる非常に良い立地です。
「ビックロ」の売り場は地下3階から地上8階までで、そのうち、地上1階から3階までは「ビックロ ユニクロ新宿東口店」、それ以外が「ビックロ ビックカメラ新宿東口店」となっています。※1階には共同のテーマゾーンがあります。
2.この店の扱い商品・・・ビックカメラ/家電・美容・くすり・日用品他
・・・ユニクロ/ファッション
ビックカメラは家電から生活用品まで様々な商品を販売していましたが、さらにユニクロのファッションが加わり、多彩な品ぞろえになっています。
3.この店の店舗構造・・・店員空間がある、引き込み・回遊型店
スーパーやコンビニと同じような、セルフ販売方式の店です。
店員(販売員)は基本的に、客が商品をレジに持って来るか、客から声をかけてこない限り接客しないことになっています。
↓ビックカメラの売り場。典型的な「店員空間がある、引き込み・回遊型店」
↓ユニクロの売り場。こちらも典型的な「店員空間がある、引き込み・回遊型店」
↓商品空間は非常にゆったりしており、通路(客空間)も大変広い。
↓広い店員空間(レジカウンター)。土日は大混雑になる。
4.この店の客と店員(販売員)のアクション
(1)ビックカメラの客と店員(販売員)のアクション
ビックカメラで、客空間に出ている店員(販売員)は、店内を移動していることが多く、一か所にじっと立って客を待つアクションや、早すぎる接客開始などの「客を遠ざけるアクション」はあまり見られません。
↓この店の店員(販売員)は店内を移動していることが多いので、存在が気にならない。
ただし、携帯電話売り場などのように、様々なメーカーの派遣店員が、限られた自分のスペースにいなければならない場合には、どうしてもじっと立って客を待つ、客を遠ざけるアクションが生じがちになります。
しかし、これらの店員も、ある程度客が入ると、客からの質問や相談に対応することとなり、客を引き付ける作業中や接客中のアクションに変化します。
↓この店の店員(販売員)のほとんどは、接客や作業中のアクションをしている。
(2)ユニクロの客と店員(販売員)のアクション
ユニクロの店員(販売員)も、客がレジに商品を持っていくか、客から質問や相談がない限り、接客は行いません。
かつての、百貨店全盛時代のファッション業界では、「店員(販売員)がおすすめしない限り、お客様は買ってくれない」という根強い思い込みがあり、客が来るや否や接客を開始するのが常識でした。
私達「人の動き研究室」は、二十数年に渡って、「客は接客されずに自由に商品を見たり検討したりすることを望んでいる」ということをご提案してきましたが、今日、かつての三越百貨店の跡地に、完全なセルフ販売方式のファッション店であるユニクロが出店し、多くの客を集めているという現状を見ると、非常に感慨深いものがあります。
↓ユニクロの店員(販売員)が商品の補充や整理を行う作業中のアクション
また、この店の場合は、ファッション店には珍しく、バーゲン時ではなくても、店員(販売員)による呼び込みが行われています。店員(販売員)がエスカレーターの近くで行うこのようなアクションは、「客寄せ踊り」や「客寄せ音頭」として、店内に活気やサクラパワーを与える役割を果たしています。
↓各階のエスカレーターの昇降口の近くで、脚立に上って、呼び込みを行う店員(販売員)のアクション
もともとセルフ販売方式だった2つの店が一つの建物に同居することによって、家電から生活雑貨やファッションまでも、すべてセルフで販売する一大商業集積となりました。今後の様々な変化を引き続き観察・レポートしていきたいと思います。
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みなさんは和菓子の「仙太郎」と言う店をご存知でしょうか?
京都に本店があり、全国の有名百貨店などに十数店の店舗を出店しています。
「仙太郎」は一見、何の変哲もない対面型ケース販売の店に見えますが、実は店の奥にミニ工場を併設した構造で、多くの店で客の行列ができるという、和菓子の店としては大変珍しいタイプの人気店です。そのために、多くの同業者に商品やショーケースをまねされたり研究されたりする注目の店です。
ここではこの店の店舗と接客の謎を「人の動き」という観点から解明したいと思います。
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下の写真は、東京の伊勢丹新宿本店地下1階食品フロアにある「仙太郎」です。
ご覧のように、L型の対面販売用のケースがあるだけで、他の店と比べて変わったところは特に無いように見えます。
1.この店の立地・・・・・・二つの通路に面した好立地。角店
二つの通路に面した角店で、好立地です。
2.この店の扱い商品・・・・・・・・朝生和菓子、上生菓子、贈答用品
この店は、朝つくって、その日のうちに食べる朝生(あさなま)和菓子が中心です。ぼたもち、最中、豆大福などの定番商品に加えて、水ようかんや栗の大福など季節の和菓子がケースに並びます。また、日持ちのする贈答用の和菓子類も用意されています。
3.この店の店舗構造・・・・・セルフ販売方式の、店員空間が狭い接触型店
この店は、店の奥にミニ工場を併設した、「店員空間が狭い接触型店」です。ミニ工場の存在は、商品をこの場でつくっているというできたて感や、手づくり感を高めています。
↓店の奥に見えるミニ工場。できたて感や手づくり感を高めている。
4.この店の店員(販売員)と客のアクション
・・・・精算・包装する店員(販売員)のアクションと、行列する客のアクション
この店の店員(販売員)のアクションを見てみましょう。
もう一度、平面図を見てください。
ショーケースはL型になっており、手前がギフトのショーケース、奥が朝生のショーケースになっています。客の行列はショーケースに沿って生じています。行列の先頭には、混雑時で3人程度の店員(販売員)がいて、順番に接客していきます。よく見ると、朝生商品のショーケースの前にベルトパーテーションが用意されているのがわかります。この店は、客がベルトパーテーションの内側に並ばない限り接客をしない、すなわち「セルフ販売方式」を採用している店なのです。
例えば、ギフト商品を買おうかどうしようかと迷っている客は、ギフト商品のショーケースに近づいて商品を眺めますが、この時点では接客されません。
また、朝生和菓子を買おうかどうしようかと迷っている客は、朝生和菓子のケースに近づいて商品を眺めても、ベルトパーテーションの内側に並ばない限り、接客されることがありません。実はここが他の店との非常に大きな違いになっています。
↓パーテーションの外から商品を眺める客(左)。
店員(販売員)はパーテーションの中に並ばない限り接客しない。
店員(販売員)は客を引き付けるアクションを続けている。
これは、すでに紹介したラスクの「ガトーフェスタ・ハラダ」と同じ接客方法です。しかし、「ガトーフェスタ・ハラダ」の場合には、店の一部にかなりのボリュームのセルフ販売コーナーがあり、それを買う客はセルフで商品を選んで行列に並ぶために、セルフ販売方式であることがわかりやすいのですが、この店の場合はセルフ販売コーナーが無いために、セルフ販売方式であることがわかりにくくなっています。セルフ販売方式といえば、コンビニなどの接客方法を連想しますが、それ以外でも、客が買うことを決定した後に、店員から接客を受ける方法はすべて「セルフ販売方式」の接客方法です。
百貨店などにあるショーケース販売の店が「セルフ販売方式」を取り入れる利点は、買うか買わないかをまだ決めていない客に、早すぎる接客をして逃げられることがないということです。
一方、客はコンビニなどと同じように自由に好きなだけ商品を見て、買わずに帰ることもできるので、気軽に店に近づくことができます。そして買うことが決まって行列に参加すれば、やがて順番が来て必要な接客を受けることができるのです。
↓行列する客。2~3人の店員(販売員)が先頭の客から順番に接客していく。
このように、この店のショーケース沿いにできた行列は通行客の興味を引き、サクラパワーを引き起こして、さらに新しい客を引き付けていきます。これが、この百貨店の和洋菓子売り場の中で、この店にだけ行列ができる秘密なのです。
↓店の前の行列は多くの通行客を引き付ける。
●「仙太郎」は「第四世代の店」の条件を備えた店
第四世代の店は、見知らぬ客が大勢行き交う「移動空間」に立地して、「第四世代の店の構造」をして、「一見接客」を行うことによって多くの客を引きつけています。
「仙太郎」も、「移動中に買い物がしたくなる」という人間の基本的な性質を背景にした、「移動客」を対象にした店なのです。
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良い客もいれば悪い客もいる。良い店員もいれば悪い店員もいる。現代人のほとんどが、店員でもあり客でもある接客社会だから。客と店員は「平等」では無く、「見知らぬ人間関係」だという考え方に立てば、お互いの感じ方や対応の仕方にも違うものが見えてくる。「お客様は神様」は、見知らぬ人間関係を上手にやり過ごすための日本独特のノウハウ。日本の接客がクールジャパンだと言われる所以である。
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「ぐりこ・やKitchen」「森永のおかしなおかし屋さん」「Calbee+」の店舗と接客
国の重要文化財にも指定されている東京駅の丸の内駅舎が、5年の歳月をかけて、建築当時のおよそ百年前の姿でよみがえり、この10月1日にリニューアルオープンしました。
その影響で、東京駅一番街にある「東京おかし(お菓子)ランド」が東京の新名所としてますます人気を集めています。
ここには、
1.「カルビープラス(カルビー)
2.ぐりこ・やKitchen(江崎グリコ)
3.森永のおかしなおかし屋さん(森永製菓)
の3店舗に加えて、
4.期間限定ショップ
が出店しています。
「東京おかし(お菓子)ランド」は、店内のキッチンで作った出来たておかしや全国の地域限定商品に加えて、ここでしか買えない商品もラインナップされているということで、多くの客が訪れています。さっそく、店舗構造と店員(販売員)のアクションを分析してみましょう。
●東京おかし(お菓子)ランドの立地・・・・・・日本最大の「移動空間」
東京おかし(お菓子)ランドは、
◆JR在来線から、
東京駅八重洲地下中央口改札を出てすぐ。
東京駅八重洲中央口改札を出て、最寄りの階段を下りてすぐ。
◆JR東海道・山陽新幹線から、
東京駅八重洲中央南口改札を出て、最寄りの階段を下りてすぐ。
という非常に良い立地にあります。
ここに出店している4店舗の条件を細かく見てみると、立地的には、やはり東京おかし(お菓子)ランドの正面側の広い通路に面している「カルビープラス」と「期間限定ショップ」が有利で、次に八重洲地下街に続く通路に面している「ぐりこ・や」、最後が通路に面していない「森永」と言えるでしょう。
ここでは、「期間限定ショップ」を除いた3店舗の店舗構造と接客アクションを観察します。
(1)カルビープラス
東京おかし(お菓子)ランドの中で、ちょっと見ただけでも一番客が多いと感じられるのが、この「カルビープラス」です。その秘密を分析してみましょう。
1.この店の立地・・・・・・非常に好立地
八重洲地下中央改札に向かう広い通りに面した、大変良い立地です。
2.この店の扱い商品・・・・・・実演商品とオリジナル商品
実演販売は、揚げたてのポテトチップスや揚げたてのポテりこ、コロッケ、ソフトクリーム、ソフトドリンクなどで、購入した客はすぐに客席スペースで食べます。ここでしか食べられない商品も多く、このような実演販売は商品パワーが強いと考えられます。
物販は、カルビーの様々な商品で、ご当地もので地方でしか買えない商品や、キャラクターグッズなどもそろっています。
3.この店の構造・・・・店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店
この店は、実演販売を行っている実演コーナーの部分と、セルフ販売コーナーの部分が合わさった店です。
行列は圧倒的に、実演コーナーにできています。この店の実演コーナーは通路寄りにあるために、客は店内から外にあふれて、店の前の通路に蛇行して行列をつくります。
4.この店の店員(販売員)と客のアクション・・・・接客中・作業中の店員のアクションと、回遊や、行列をつくる客のアクション
この店は完全なセルフ販売方式です。
実演売り場の店員(販売員)は、商品の製造・包装・精算の作業に追われています。また、表にできる客の整理をするのも店員(販売員)の大きな仕事です。
↑店の外に用意されたベルトパーテーション。
長い行列ができることが分かる。
一方、物販売り場の店員(販売員)は、客空間に出た時には、商品の補充・整理を行い、客が商品をレジカウンターに持ってきた時だけ、精算と包装を行います。
つまり、この店では、商品パワーが強い商品を販売して客を引き付け、店員(販売員)が客を遠ざけるアクションを行うことがほとんどなく、さらに店の外にまで伸びる行列がサクラパワーを発揮するという力で、さらに多くの客を引き付けています。
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(2)ぐりこ・やKitchen
次に、東京おかし(お菓子)ランドの左奥に位置する「ぐりこ・やKitchen」を見てみましょう。
1.この店の立地・・・・・・非常に好立地
八重洲地街の通路に面した、大変良い立地です。
2.この店の扱い商品・・・・・・実演商品とオリジナル商品
この店では、店内の設備でロースト&味つけしたアーモンド、そしてそれを使ったアーモンドチョコレートなど、作りたてのお菓子を販売しています。これらのお菓子をつくる過程はガラス越しに見ることができ、つくりたてのお菓子の試食コーナーは大変人気があります。その場で食べるカルビープラスの商品に次いで、強い商品パワーを持っていると考えられます。
3.この店の構造・・・店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店
この店は「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」で、セルフ販売方式が導入されています。(ケースの一部で対面型の販売を行うことがあります)
4.この店の店員(販売員)と客のアクション・・・・接客中・作業中の店員(販売員)のアクションと、試食や回遊や、行列をつくる客のアクション
この店もセルフ販売方式なので、店員(販売員)は客が商品をレジに持ってきた時にしか接客をしません。
↑店内のセルフ販売用のレジカウンター。
先頭を示す表示とベルトパーテーションがあり、
混雑時には行列ができる。
さらに、実演コーナーがあり、そこ行われる様々な作業は店員(販売員)が行うなわばり解除のアクションとして非常に有効です。
↑左側が実演コーナー。
店員(販売員)の作業中のアクションは
なわばり解除の役割を果たしている。
また、自由に店内を回遊して商品を選んだり試食コーナーで試食をしたりする客の姿は、サクラパワーとなって次の客を強く引き付けます。
↑店内を清掃したり、商品を補充したり
整理したりする店員(販売員)のアクションも
なわばり解除のアクションとして有効。
この店は、店内に実演場を設けることによって商品パワーを強め、自由に試食ができるセルフ販売方式の売り場をつくることによって多くの客を引き付け、さらにレジの行列を利用したサクラパワーを生かして、いっそう多くの客を引き付けています。
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(3)森永のおかしなおかし屋さん
続いて、右の奥に位置する「森永のおかしなおかし屋さん」を見てみましょう。
1.この店の立地・・・・・・好立地だが、他の2店よりはやや劣る。
この東京お菓子ランド自体は大変良い立地ですが、表の通路に面していない分、この店の立地は他の2店よりもやや劣ると言えます。
↑店頭の様子。店の前を通る客数は限定される
ため、他の2店より少なくなる。
2.この店の扱い商品・・・・・・オリジナル商品
この店は物販専門で、ここの店だけでしか買えないオリジナル商品など、ユニークなものを扱っています。また、この店には実演や実演販売はありません。観光地のような環境にあるこの店の場合、その場で食べられる商品がないことは、他店に比べてやや商品パワーが低くなると考えられます。
3.この店の構造・・・・・・店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店
この店は「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」で、完全なセルフ販売方式が採用されています。
4.この店の店員(販売員)と客のアクション・・・・接客中・作業中の店員(販売員)のアクションと、回遊や、行列をつくる客のアクション
この店はセルフ販売方式なので、店員(販売員)は客が商品をレジに持ってきた時にしか接客をしません。つまり、客を遠ざけるアクションはほとんど存在しません。この店が一番パワーを発揮するのは、レジカウンターに多くの客が集まり、サクラパワーが生じる時です。
↑レジカウンター部分
この店で問題点をあげるとすると、実演を行わないことで商品パワーが上がりにくいこと。また、「カルビープラス」と「ぐりこや」が実演を行うことで、常に作業中の店員(販売員)のアクションが行われるのに対して、この店の場合は、店員(販売員)のアクションが乏しくなり、客が少なくなると、客を引き付ける力が落ちやすくなることです。
しかし、店にはそれぞれの事情があり、必ずしも実演を行うことがいいとも限りません。実演には、実演のための商品開発、厨房などの設備、実演専門のスタッフと販売スタッフなど様々なものが必要になり、労力の割に利益がでないこともあります。この店のように、商品を物販だけに絞ることによって、少ない店員(販売員)で店を効率的に運営することができるということも考えられます。
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●東京おかしランドは「第四世代の店」の条件を備えた店
第四世代の店は、見知らぬ客が大勢行き交う「移動空間」に立地して、「第四世代の店の構造」をして、「一見接客」を行うことによって多くの客を引きつけています。
「東京おかしランド」も、「移動中に買い物がしたくなる」という人間の基本的な性質を背景にした、「移動客」を対象にした店なのです。
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せっかく作ったセルフ販売コーナーが機能せず、
広すぎるレジカウンターに魅力がなく、
狭い店員空間にいる店員(販売員)のアクションが客を遠ざけてしまう店
都心の集客力のある商業集積に出店している有名店で、評価の高い商品を販売しているのに、思ったほど客が集まらない店があります。
そのような店の問題点は、実は「店舗と接客」にあることが多いのです。
この店は洋菓子を売っている店です。
向かって左側にセルフの商品空間があり、真ん中に広いレジカウンター、さらに右側にショーケースがあります。
みなさんはこの店をどう思われますか?この店は、実はいくつか失敗しやすい要素を含んでいるのですが、それが何だかわかりますか?
◆この店の店舗構造・・・店員空間が狭い接触型店
先ほどの店の平面図を見てみましょう。
構造は「店員空間が狭い接触型店」です。
店の左側にセルフ販売コーナーをつくってありますが、真ん中のレジカウンターと右側の対面型のショーケースのイメージが強烈で、セルフ販売コーナーはほとんど客の印象に残りません。
また、この店は平面図で見ると、けっこう奥行きがあるのですが、実際の店のイメージは、店員空間が狭く、店員(販売員)がレジカウンターやショーケースのすぐ後ろに立つようになっています。売り場部分の奥行が狭いのは、後ろに厨房やストック場をつくっているからです。
この店のように、全体の面積はけっこう広いのに、店内の見えないところに厨房をつくってしまっているために、販売に使うスペースの奥行きが狭くなっている店は意外にたくさん観察できます。「客を引き付けるアクション」である製造作業をしている店員の姿が全然見えず、一方で、販売を担当している店員(販売員)のアクションを制限することによって「客を遠ざけるアクション」が強くなってしまう残念な構造なのです。
注意ポイント!
店員空間の奥行きが狭すぎると、「客を遠ざけるアクション」が生じやすい。
また、この店の最大の特徴は、店の中央に店全体の三分の一にも及ぶ広いレジカウンターを設けていることです。そのため、肝心の商品空間がほとんど目立たず、何も商品を置いていない店員空間ばかりが目立つ結果になっています。
また、店の左側にあるセルフ販売コーナーはすっきりと美しく陳列されているのですが、客からは販売されている商品ではなく、単なるディスプレイのように感じられがちです。
注意ポイント!
商品空間の比率が少ないと、ものを売っているというイメージがしにくくなる。
以上のような問題点があるために、この店は「セルフ販売方式」を取り入れようと「セルフ販売コーナー」と広いレジカウンターをつくったにもかかわらず、なかなか客を引き付けることができないのです。
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全国には様々な店があり、業種や業態、扱い商品、年商、立地や規模などによっていろいろな分類をすることができますが、ここでは、まったく違う観点から眺めてみたいと思います。それは、その店が繁盛しているか、していないかという観点です。
全国の店は、どんな店であっても、必ず次のどれかに該当します。
①繁盛店 ②普通の店 ③衰退店
そういう観点で全国の店を改めてながめてみると、繁盛店と言える店はほんの一握りで、それ以外のほとんどの店は、様々な努力を続けながらなんとか頑張っている状態です。
それでは、繁盛店とそうでない店はいったい何が違うのでしょうか。
普通に考えられるのは商品です。ヒット商品が出れば、当然、店は繁盛します。
しかし、現代の厳しい販売競争の中で、群を抜いてすばらしい商品を開発するのは並大抵のことではありません。実際に、隣の店と自分の店の扱い商品にほとんど差がないにもかかわらず、隣の店ばかりに客が来て、悔しい思いをしている店もたくさんあるはずです。
次に考えられるのは立地です。人通りの多いところに店を出すことが商売の基本なのは言うまでもありません。
そこで、少しでも人通りの多い場所に出店したい、集客力の高い百貨店やショッピングセンターに出店したいと思っている店はたくさんあると思いますが、そういう場所に出店したからと言って必ずしも成功するわけではないのが面白いところです。
一見、華やかに見える百貨店やショッピングセンターにある店にも、激しい競争があり、ほとんど同じ立地で同じような商品を扱っているのに、驚くほどの業績差が生じることがあるのです。このような場合、なぜ、売れる店と売れない店が生じるのかがよくわからないことが多いのですが、私達は、その差を生み出しているのは、「店舗」と「接客(店員のアクション)」だと考えています。
まず、店でモノが売れる時には、次のような三つのパワーが働くと考えることにします。
①店舗パワー
店の構造そのものが持っているパワーです。店の構造は、接客(店員のアクション)、販売方法、扱い商品の内容やパッケージの仕方、陳列の種類や量などと深く関係しています。
②接客パワー
それぞれの店舗構造によって生み出される「接客(店員のアクション)」が繁盛するか衰退するかの分かれ道になります。よい接客である「客を引き付ける店員のアクション」が生じやすい店は繁盛し、悪い接客である「客を遠ざける店員のアクション」が生じやすい店は衰退します。
③商品パワー
商品には人気の時期があり、新発売からしばらくの間は商品パワーがありますが、やが てそのパワーも減少していきます。販売競争の激化にともない、長期間、飛びぬけて商品パワーのある商品を販売することはほとんど不可能になっています。
さて、この三つのパワーで、繁盛店、普通の店、衰退店を説明してみることにしましょう。
今、商品パワーはどの店も同じだと仮定します。
■繁盛店
優れた店舗構造の店で、その構造から多くの良い接客(客を引き付ける店員のアクション)が生じることにより、多くの客が引き付けられます。大勢の客が商品を選んだり買ったりする姿は、サクラパワーを生じて、次の客を強く引き付けます。すでにご紹介した行列が絶えない繁盛店がこれにあたります。
■普通店
むずかしい店舗構造の店で、そこから悪い接客(客を遠ざける店員のアクション)が生じてしまうために、サクラパワーが利用できず、なかなか客を引き付けられません。それでも、店員(販売員)が一生懸命努力して感じのよい接客を行ったり、あれこれと商品開発に努力したりしながら、なんとか一定の売り上げを保っている店です。
■衰退店
むずかしい店舗構造の店で、そこから悪い接客(客を遠ざける店員のアクション)が生じてしまうために、なかなか客を引き付けられません。商品開発の努力がおろそかになり、店員(販売員)のアクションも改善しないまま、売り上げが落ちる一方の店です。
このように、現代の繁盛店と非繁盛店を分けるものは、実は「店舗構造」とそこから生じる「接客(店員のアクション)」なのです。
「店舗構造」と「接客(店員のアクション)」が失敗すると、いったい何が生じるのかを、様々な例をあげて、具体的に説明していきたいと思います。
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客は店でたくさんの買い物をすると、店員(販売員)から大変喜んでもらえると思っていますが、実際には、店員(販売員)を不機嫌にさせてしまいます。パート・アルバイトの店員(販売員)は、接客の作業量が増えても、賃金があがらないからです。
※たくさん買った客に満足を提供するには、そのための店側のシステムづくりが不可欠になる。
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店に「いらっしゃいませ!」が不可欠なんて大間違い!
繁盛店で「いらっしゃいませ!」を言う店など日本に一店も存在していません。
店員(販売員)は、困ったときにしか「いらっしゃいませ!」を言わないのだから…。
*客が注文前の「いらっしゃいませ!」は大抵の場合客を遠ざける。
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※「マンガでわかる良い店悪い店の法則」日経ビジネス人文庫より
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