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2012年9月 6日 (木)

4.なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その3

この記事は
1.「人の動き」の観点から見た売れる店と売れない店
2.なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その1
3.なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その2
の続きです。

(1)店舗の基本となる3空間 

リアル店舗を観察すると、どんな店であっても、必ず次の三つの空間から成り立っていることがわかります。それは、
1.商品空間(商品を置いてある場所。「戸板1枚の店」の場合は「戸板」がこれにあたる)
2.店員空間(店員がいる場所。「戸板1枚の店」の場合は「戸板の後」がこれにあたる)
3.客空間(客が商品を見たり買ったりする場所。「戸板1枚の店」の場合は「戸板の前」がこれにあたる)
という3つの空間です。
この3つの空間をどのようにレイアウトするかによって、客を引き付けやすい店にすることもできれば、客を遠ざけやすい店にしてしまうこともあるのです。

3kukan

(2)戸板一枚の店の店員(販売員)と客のアクションの法則

 

次に、戸板1枚の店で起きる店員(販売員)と客の様々なアクションの法則を説明します。
ここでみなさんに問題です。イラスト①を見てください。
この店に近づいてきた客に対して、店員(販売員)が何か言ったら、客が遠ざかってしまいました。
さて、店員(販売員)はいったい何と言ったのでしょうか?


    イラスト①↓
Toita1_2

せっかく店に近づいてきた客が遠ざかるのだから、何か失礼なことを言ったに違いない。
そう思った人も多いはずです。例えば、
「買う気がないなら触らないでくださいよ!」
「お客さん、お金あるの?」とか…。

 

残念! 違っています。

 

この時、店員(販売員)が言ったことばは、実は、「いらっしゃいませ」だったのです。
セルフ販売の店が一般的になった現在では、客はあまり接客を望んでいないと考えられるようになりましたが、それでも、店員(販売員)が客に「いらっしゃいませ」を言うと客が遠ざかるということをきちんと理解している人はごくわずかです。
もちろん、初めから商品を買うつもりの客は店員(販売員)から「いらっしゃいませ」と言われても逃げたりしません。早く接客してくれることが、良い結果をもたらすこともあります。
しかし、大多数の「買うか買わないかわからないが、ちょっと商品を見てみたい」と感じている客は、店員(販売員)の「いらっしゃいませ」に反応して、その場を立ち去ってしまいます。
これは、すでにご説明した人間が動物として持っているなわばりの感覚と深く関係しており、無意識のうちに、「店員(先住者)」のなわばり(店)に侵入しようとしている「客」が、「店員(販売員)」から警告を受けたように感じてしまうためです。
つまり、このような、早すぎる「いらっしゃいませ」は「なわばり主張」のアクションなのです。

戸板一枚の店の法則1
早すぎる「いらっしゃいませ」は客を遠ざける

 

それではイラスト②はいかがでしょうか?
店員(販売員)が店頭でじっと立って客待ちをしています。
店員(販売員)のセリフは「いらっしゃいませ」です。

    イラスト②↓
Toita2

この店員(販売員)は店の前に陣取って、まるで商品を守るように立っているのですから、イラスト①の店員(販売員)のアクションと比べても、なお一層、客が店に近づきにくくなっているのがわかります。
戸板一枚の店の法則2
店頭にじっと立って「いらっしゃいませ」を言うアクションは客を遠ざける。

 

続いてイラスト③を見てください。
店にはすでに先客がいて、店員(販売員)は接客アクションをしています。

    イラスト③↓

Toita3

みなさんは、「先客がいる店は待たされるからイヤだ」と思いますか?
もしも、今すぐ注文したいと思っていたら、待たされるのはイヤかもしれませんが、まだ、買うか買わないかはっきりしていない場合には、実は、先客の存在は客にとって大変有利なのです。
なぜ、先客の存在が有利なのか?
まず、先客がいるおかげで、すぐに接客されることがありません。
店員(販売員)が先客に関わり合っている間は、自由に商品を見たり検討したりすることができますし、また、検討した結果、買う気がなければ、そのまま買わずに帰ることもできるのです。
次に、先客の存在は、次のような情報を伝えます。
その店には何かいいものがある。
その店は安全である。
接客中の店員(販売員)と買い物をしている客の姿は、このような情報を提供しているので、このようなアクションが行われている店は、次の客を引き付けやすい状態になっています。

戸板一枚の店の法則3
接客中の店員(販売員)と客のアクションは客を引き付ける。

 

続いて、イラスト④を見てください。
客が店に近づいてきたにもかかわらず、店員(販売員)は何か作業をしています。


    イラスト④↓
Toita4_2

みなさんはこんなふうに思いませんか?
「何をぐずぐずしているんだ! 早く接客しないと、お客が逃げてしまう!」
残念でした。
まだ、買うか買わないかがはっきりしていない大部分の客にとって、店員(販売員)が何らかのアクションをしている店は非常に近づきやすい店なのです。
なぜなら、店員(販売員)が作業に気を取られている間は接客されないので、自由に商品を見たり検討したりすることができるからです。

戸板一枚の店の法則4
作業中の店員(販売員)のアクションは客を引き付ける。


続いて、イラスト⑤をご覧ください。
店員(販売員)は接客に追われて忙しく作業しており、そのまわりに大勢の客が集まっています。

    イラスト⑤↓

Toita5     

このように、店にたくさんの客が集まっている状態を「サクラパワー現象」と呼びます。店に何人か客がつくと、それは「サクラパワー現象」を引き起こし、さらに強い力で次々と客を引き付けていきます。
こうなると、店員(販売員)はひたすら接客と作業を繰り返すので、客を遠ざける店員のアクションをすることがなくなり、客を引き付けるよい循環が続きます。

戸板一枚の店の法則5
サクラパワーは客を引き付ける。

 

このように、客ができるだけ店にいる時間を長くし、「サクラパワー現象」を生じさせておくことが、繁盛店をつくるための大切なポイントなのです。
実は、こうした店員(販売員)と客のアクションは店舗構造と非常に深い関係があります。

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