行列が絶えない「ル・パン ドゥ ロブション」の店舗と接客の秘密
続いて、渋谷ヒカリエのスィーツ売り場で、連日多くの客を引きつける店を分析してみましょう。
その店は「ル パン ドゥ ジョエル・ロブション」です。
フレンチレストランのロブションが新業態として出店したパンの専門店で、パン店なのに、混雑時は入場制限がでるほどの大人気です。
それはパンの味が他店に比べてはるかに美味しいからなのでしょうか?
それとも、この店の構造に何か秘密がかくされているのでしょうか?
さっそく分析してみましょう。
1.「ル・パン ドゥ ロブション」の立地・・・・・・入り口わきの好立地
ヒカリエはB2フロアがスイーツ売り場になっているのですが、アーバンコア(地下3F~地上4Fの部分にある地下空間)から続くB2の出入り口すぐにある好立地です。
2.「ル・パン ドゥ ロブション」の扱い商品・・・・・・種類豊富なパン。
ロブションのレストランで出しているパンや、ヒカリエオリジナルのパンなどが豊富に陳列されています。
3.「ル・パン ドゥ ロブション」の店舗構造・・・・・店員空間がある、引き込み・回遊型店
ちょっと見ると、ごく普通のセルフ方式のパン店に見えます。
回遊型の商品空間に美味しそうなパンをたくさん並べ、客はトレイに好きなパンを載せて精算するところは、一般的なセルフ方式のパン店と代わりありません。
ところが、この店は、精算カウンターが前面の通路に沿って設置された特徴的な構造を持っています。そのため、この店でパンを買った客は精算のため前面の通路に沿って並ぶことになります。
つまり、前面の通路に沿って必ず行列ができる!
この行列は、この店が強烈に通行客を引き付ける大きな原動力になっています。
4.「ル・パン ドゥ ロブション」の店員(販売員)と客のアクション・・・客を引き付けるアクション+行列
一般的なパン店では、レジカウンターは店の中にあるのが普通です。従って、客は店内に並ぶことになり、店内にサクラパワーを生み出します。
ところがこの店の場合は、店が狭いために、店内にレジカウンターをつくってしまうと、回遊客と精算を待つ客の収拾がつかなくなるために、精算を待つ客をあえて店の外に並ばせるという構造をつくりました。しかも、一般的なパン店の場合、レジを3台開ければ、行列は3列に分かれるのでさほど長くならないのが普通です。
ところがこの店の場合は、前面の通路に沿ってレジカウンターをつくっているために、客を3列に並ばせることができないため、客は通路に沿ってフォーク並び状態になっています。つまり、レジが3台開いている時でも、常に長い行列ができやすい状態になっているのです。
人目につくところに行列ができやすいこの店は、いったん行列ができると、強力なサクラパワーを発揮して、通行客をどんどん引き付けていきます。
●「ル・パン ドゥ ロブション」は「第四世代の店」の条件を備えた店
第四世代の店は、見知らぬ客が大勢行き交う「移動空間」に立地して、「第四世代の店の構造」をして、「一見接客」を行うことによって多くの客を引きつけています。
「ル・パン ドゥ ロブション」も、「移動中に買い物がしたくなる」という人間の基本的な性質を背景にした、「移動客」を対象にした店なのです。
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