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2012年9月22日 (土)

百貨店菓子フロアでは珍しいセルフ販売の成功例「麻布かりんと」

前回、東京大丸・ほっぺタウンにある「ねんりん家」の分析を行いましたが、そのすぐ近くに、もう一軒、大変よく売れる店があります。
それが「麻布かりんと」です。
近年、百貨店やショッピングセンターの食品フロアで、従来の対面型のケースの一部にセルフ販売の商品空間を設けた店を見かけるようになりました。ところが実際には、このようなタイプの店で、セルフ販売方式がうまく機能している店はごく少ないのが現状です。その点、この「麻布かりんと」は数少ない成功例の一つだと言えるでしょう。
それでは、なぜ「麻布かりんと」は成功しているのか? さっそく店の構造と店員(販売員)のアクションをチェックすることにしましょう。

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1.この店の立地・・・・・・出入り口のすぐそばの好立地。角店。
東京駅の大丸百貨店の食品街・ほっぺタウン1階の出入り口のすぐそばという、人が大勢行き交う「移動空間」にあります。
実は、すでに紹介したバームクーヘンの「ねんりん家」の向かい側にあり、2本の主要通路に面した角店(かどみせ)になっています。
 

2.この店の扱い商品・・・・・種類豊富なかりんとう類
この店の扱い商品は様々な種類のかりんとうです。いろいろなかりんとうを、サイズが統一されたカラフルなパッケージで包装することによって、セルフ販売が可能になり、持ち帰り商品としても、また、箱詰にすることでギフト商品としても利用することができます。
さらに、店の一番右側では店内の厨房でつくった「かりんとまん」を販売しています。

3.この店の店舗構造・・・・店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店
この店は大変間口の広い店で、店の左側がセルフ販売方式の商品陳列棚で、右側が対面販売用のショーケースをかねたレジカウンター、一番右に「かりんとまん」専用の窓口があります。

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店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店

この店の売り方は非常に変わっていて、セルフ販売コーナーで商品を選んだ客は、通路側のベルトパーテーションに沿って、「お会計先頭」の表示を頭に一列に並び、順番に精算を行います。そのために通路に沿って常に行列ができやすく、その行列の客の姿がさらに次の客を強く引き付けます。
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さて、この店の最大の特徴は、試食のコーナーをうまく設け、気軽にセルフで好きな商品を選べるところです。
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一般に、客がその店を「セルフ販売方式」だと理解するためには、ある程度の商品量が不可欠です。扱い商品が少ない店は、セルフ販売の商品空間が貧弱になりやすく、基本的にセルフ販売方式を採用することは非常にむずかしいということを理解する必要があります。

 

失敗例の多くは、セルフ販売の商品空間が貧弱なために、
①セルフ販売方式なのか、店員に注文するのかが分かりにくい
②セルフ販売方式の商品空間なのか、単なるディスプレイなのかが分かりにくい

そのために、客はなかなか商品空間で自由に商品を選ぶことができません。
セルフ販売方式を導入するためには、少なくとも、この店ぐらいの商品空間のボリュームと商品の種類が必要なのです。
セルフ販売の商品空間を導入して失敗している例については、いずれまとめてご説明したいと思います。

4.この店の店員(販売員)と客のアクション
それでは、この店の店員(販売員)と客のアクションを見てみましょう。
この店の大きな特徴は、セルフ販売であるにもかかわらず、店頭に店員(販売員)がいて、呼び込みや商品説明を行っていることです。すでに説明したねんりん家と同様に、この店員(販売員)は販売をしないので、本人の存在がこの店の「サクラ」の役割を果たし、前面の通路を歩く客を引きつけます。

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この店員(販売員)の呼び込みの声は「客寄せ音頭」に、パネルを掲げるアクションは「客寄せ踊り」として、店員のなわばりを解除し、通行客を引き付ける働きをしています。店の前の通行客は、店員(販売員)のアクションと、商品空間の構造と、商品を選んでいる客の姿に強く引き付けられるため、特に買う気がない客でも気軽に商品に近づき試食することができます。
さらに、店頭で呼び込みや説明をしている店員(販売員)は、セルフ販売の陳列棚で商品を選び終わった客を誘導して精算のための行列をつくる役割も果たしています。

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●麻布かりんとは「第四世代の店」の条件を備えた店

第四世代の店は、見知らぬ客が大勢行き交う「移動空間」に立地して、「第四世代の店の構造」をして、「一見接客」を行うことによって多くの客を引きつけています。
麻布かりんとも、「移動中に買い物がしたくなる」という人間の基本的な性質を背景にした、「移動客」を対象にした店なのです。


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