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2012年9月 5日 (水)

3.なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その2

この記事は
1.「人の動き」の観点から見た売れる店と売れない店
2.なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その1

の続きです。

(1)「戸板1枚」の店とは何か? 

ところで、みなさんは「戸板一枚」ということばをご存知でしょうか?
戸板とは日本家屋の雨戸のことで、サイズは高さ約180cm、幅約90cmです。
通行量の多い道路に、商品を並べた戸板を一枚置き、その後に売り手が座ると「店」になります。江戸から明治にかけての市では、一店分のスペースとして戸板一枚(またはむしろ一枚)が使われるようになりました。店を作るのもたたむのも簡単な戸板一枚の店は、今日の店の原型だったのです。
そして大勢の客で賑わった、いわゆる戦後の闇市も、戸板一枚分のブースで割り振られた店で構成されていました。その後の日本の経済の目を見張る復興は、焼け跡に生まれた、戸板一枚の店からスタートしたと言っても決して過言ではないはずです。 実はこの戸板一枚の構造の店と戸板一枚を挟んで行われた様々なやり取りの中に、今日の繁盛店の構造
の秘密や有効な接客のヒントがたくさん隠されているのです。

 

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(2)戸板一枚の店と対人距離の関係

 

「戸板一枚」(180cm~90cm)をはさんでの売り買いでは、売り手と買い手が戸板の距離をうまく使ってコミュニケーションをしたのです。90cm幅の戸板にお互いが身を乗り出せば、二人の間の距離は約45cm。また、お互いが戸板をはさんで自然に立つとその幅は約120cm。それ以上の距離を買い手が保とうと思えば、戸板の端(120~360cm)に移動します。また売り手が通り過ぎる人に声をかける場合は、戸板2枚の距離(360~720cm)になります。
このように戸板一枚は、見知らぬ同士の売り手と買い手が、それぞれの目的を達成するために、お互いが戸板の距離をうまく使ってやり取りした、大変便利なコミュニケーションの道具だったのです。


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この「戸板一枚」の店の距離感は、アメリカの文化人類学者エドワード・T・ホールが分類した人間同士の四つの距離に見事に符合しています。
1.密接距離(0~45cm)
2.固体距離(45~120cm)
3.社会距離(120~360cm)
4.公衆距離(360~720cm)

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