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2012年9月26日 (水)

行列が絶えないことで有名な店「ガトーフェスタ・ハラダ」

◆ガトーハラダの最新記事はこちら

みなさんは「ガトーフェスタ・ハラダ」というラスクの店をご存知でしょうか?
フランスパンからつくったガトーラスク「グーテ・デ・ロワ」(王様のおやつ)が大人気で、行列ができることでも大変有名な店です。

本社は群馬県にあり、首都圏では銀座、池袋、新宿の百貨店にしか出店していないことも行列ができる原因かもしれませんが、それにしても、いつも長い行列ができているこの店には、構造上もきっと何か秘密があるに違いありません。さっそく分析してみることにしましょう。


写真の店は、京王百貨店新宿店の中地階の和洋菓子売り場にある「ガトーフェスタ・ハラダ」です。一般に、行列ができる店にはそれなりに納得できる構造が見て取れるものですが、この店は一見、何の変哲もない「接触型店」としか思えません。実際に、近くにはほとんど同じような店が何軒も出店しているのです。

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多くの販売関係者にとって、この店の売れ行きは大変な驚きで、当然、商品に注目が集まり、この店の商品をヒントにしたたくさんの新商品が生み出されました。その中には、この店の商品よりも美味しいものや、同等の商品もたくさんあるはずなのですが、なかなかこの店ほどの業績を上げる店が登場しないのが現状です。

1.この店の立地・・・・・・出入り口のすぐそばの好立地。角店。
京王百貨店中地下食品売り場の、地下通路からの入り口のすぐ横にある好立地です。2本の主要通路に面した角店で、客は百貨店の外の通路を利用して行列をつくります。

2.この店の扱い商品・・・・・ラスク類
この店の代表商品はフランスパンを材料にしたラスクの「グーテ・デ・ロワ」とその片面にホワイトチョコレートをコーティングした「クーテ・デ・ロワ ホワイトチョコレート」です。それ以外にも焼き菓子などがありますが、大方の客のお目当てはこの二つの商品です。これらの商品は、持ち帰り用のサービス袋に入ったものと、ギフト用の箱・缶入り各種が用意されています。商品空間を見ると、決して色とりどりの華やかなものではなく、意外に地味で、単品を扱っているようなイメージです。

3.この店の店舗構造・・・・セルフ販売方式を行う店員空間が狭い接触型店
この店の大部分は対面型の商品ケースで、混雑時は4台のレジカウンターが稼動しています。右側にセルフ販売方式の陳列棚があります。店の構造としてはたったこれだけで、どうして行列ができるのか、構造上の秘密はなかなかわかりにくいところです。
従来の店の分類から言うと典型的な「店員空間が狭い接触型店」となり、このタイプの店は「客を遠ざける店員のアクション」が生じやすいため、本来はとても接客がむずかしい店なのです。事実、この店とよく似た構造をしている他店では、「客を遠ざける店員のアクション」が生じやすく、なかなか客を引き付けられていないのが現状です。
それではこの店はなぜ、こんなにも多くの客を引き付けることができるのでしょうか?

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この店の最大の特徴は、
①セルフ販売の商品を開発し、
②それを「店員空間が狭い接触型店」を使って
③セルフ販売方式で販売している
④清算のために並ぶ客がつくる行列がさらに客を引き付ける

ということです。

これまで、セルフ販売は、コンビニやスーパーのような「店員空間がある、引き込み・回遊型店」や店頭にたくさんの商品を並べたタイプの「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」で行われるのが普通でした。
ところが近年になって、商品量やアイテム数の少ない店であっても、「店員空間の狭い接触型店」の構造で、セルフ販売方式を採用し、そのために生じる行列効果を利用して成功する事例が次々に登場してきました。

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4.この店の店員と(販売員)客のアクション
この店の店員(販売員)のアクションを見てみましょう。
もう一度、平面図を見てください。

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この店はセルフ販売方式を採用しているので、客がベルトパーテーションの内側に並ばない限り接客をしません。店内の店員(販売員)は、コンビニやスーパーの店員(販売員)と同じように、買うことを決めてレジカウンターの前に立った客に対してだけ接客を行います。
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店の外にいる店員(販売員)は、接客は行わず、呼び込みと客の誘導や整理を行い、空いたレジに次々と客を送り込みますが、これらの店員(販売員)のアクションは、なわばり解除に役立つ「客寄せ踊り」や「客寄せ音頭」として機能しています。
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また、百貨店の入り口近くにいる別の店員(販売員)は、行列の途中の客にあらかじめ商品メニューを渡したり、セルフ販売用陳列棚の商品を補充・整理したりします。これらの店員(販売員)のアクションも、なわばり解除に役立つ「客寄せ踊り」や「客寄せ音頭」として機能しています。
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この店では、行列に並ばない限り接客されないので、客はベルトパーテーションの外から好きなだけ時間をかけて商品を見たり検討したりすることができます。
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そして、買うことが決定したら行列に参加します。
並んでいると順番がきて、商品を買うことができます。
その原理は、コンビニエンスストアやスーパーとまったく変わりありません。
店員の接客を受けずに自由に商品を選び、レジで精算するセルフ販売方式は、客にとっては大変買いやすい販売方法なので、客は店員(販売員)がなわばり主張を繰り返す他の店から遠ざかり、この店に強く引き付けられるのです。


●「ガトーフェスタ・ハラダ」は「第四世代の店」の条件を備えた店

第四世代の店は、見知らぬ客が大勢行き交う「移動空間」に立地して、「第四世代の店の構造」をして、「一見接客」を行うことによって多くの客を引きつけています。
「ガトーフェスタ・ハラダ」も、「移動中に買い物がしたくなる」という人間の基本的な性質を背景にした、「移動客」を対象にした店なのです。


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