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2012年9月 7日 (金)

5.外部の人(客)が入りやすい店舗と接客

この記事は
1.「人の動き」の観点から見た売れる店と売れない店
2.なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その1
3.なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その2

4.なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その3
の続きです。

(1)現代の店に蘇った「戸板一枚の店の法則」

前回は「なわばり感覚がはたらく『戸板一枚の店』の法則」をご紹介しました。
いつの時代にも、「戸板一枚の店の法則」は客を引き付ける基本原理です。
ただし、この「戸板一枚の店の法則」は、戦後の商店街全盛の時代には、しばらくその姿を消していました。商店街全盛時代には、地元の常連客と地域に密着した店主(店員)が濃密な人間関係を背景にした商売を行っていたために、人間が本来持っているなわばり感覚を生かした「戸板一枚の店の法則」は残念ながら無視されていたのです。

やがて、日本経済の著しい発展に伴い、都市開発が進み駅や道路が整備され、一方で、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの新しい店が登場すると、それまで商店街を利用していた客は、こぞってそれらの店に移動してしまいました。
スーパーやコンビニは確かに便利ですが、それまで濃密な人間関係を持っていたはずの客が、急激に商店街を離れて新しい店に行ってしまったのはいったいなぜなのでしょうか?
それは、実は多くの客が従来の商店街の人間関係に息苦しさを感じていて、もっと自由に買い物をしたいという強い欲求を持っていたからだと考えられます。
人の動きという観点からみると、濃密な人間関係が存在しない新しい店には「戸板一枚の店の法則」が生きていて、本来、客が望んでいた見知らぬ者同士のコミュニケーションが行われたために、多くの客を引き付けたのです。
現代においても、繁盛店を観察・分析すると、「戸板一枚の店の法則」をうまく生かしていることがわかります。つまり、客を引き付ける店員のアクションと客を引き付ける客のアクションが生じやすい店舗構造の店が、現実に多くの客を引き付けて、繁盛店になっているのです。

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2.三空間による店の4分類

ところで、客を引き付ける店員のアクションと客を引き付ける客のアクションが生じやすい店舗構造の店を持った店が繁盛店になると言いましたが、みなさんは、店の構造には違いがあるということにお気づきでしょうか?
販売関係者の方なら、対面販売の店、側面販売の店、セルフ販売方式の店などのように、店には販売商品によって様々な違いがあることをご存じだと思います。
しかし、ここでは、すでに説明した「戸板一枚の店」を原点に、「商品空間」、「店員空間」、「客空間」という三空間による店の分類を考えていきたいと思います。
この分類は、扱い商品や店の規模によって分けるのではなく、
そこで店員と客がどのように動くか、すなわち「人の動き」を基準にしています。
念のため、三空間をおさらいしておきましょう。


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1.商品空間
商品を陳列してあるところです。店の構造や販売方法によって陳列方法は様々ですが、単なるディスプレイではなく、商品を販売していることが客にきちんと認識される必要があります。

2.店員空間
店員(販売員)がいるところで、接客したり作業をしたりします。店の構造によって、店員(販売員)の居場所がはっきりしている場合と、客空間と重複している場合があります。店員空間をどのようにつくるかということは、人の動きを左右する大変重要な要素です。

3.客空間
客が商品を見たり検討したりするところです。店の構造によって、店内につくられている場合と、店の外の通路を利用する場合があります。先客の姿は次の客を引き付ける強い刺激になるので、客空間をどのようにするかも繁盛店を生み出すための大きなポイントになります。

この三空間がどのように配置されているかによって、店は次のような4つのタイプ(詳しくは8つ)に分類することができます。

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1.接触型店(店員空間が狭い)


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まずは、もっともシンプルな「店員空間が狭い接触型店」を見てみましょう。
デパートの地下食品売り場などでよく見られる、ケース販売を中心とした店がこれにあたります。「接触型店」はすでに説明した「戸板一枚の店」を色濃く継承している店で、店の原点ともいえる構造です。

2.接触型店(店員空間が広い)


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次に「店員空間が広い接触型店」を紹介します。
これは、先ほどの接触型店が大型になったもので、店の間口が広く奥行が深い場合や、柱を取り巻いてぐるりとケースを配置したものなど様々なレイアウトがあります。
このタイプの店は、「店員空間」が広いために店員(販売員)が客から離れることができるので、客が「商品空間」に近づいても店員(販売員)からのプレッシャーを感じにくく、客を引き付けやすい構造と言えます。
1985年ころには、この構造の店が非常に高い売り上げを上げていました。しかし、このような店は百貨店や駅ビルのワンフロアに1店か2店しか展開できず、また、この構造で成功するためは多くの商品アイテムが必要で、人気に陰りが出ると坪効率が下がりやすいなど多くの問題点があり、現代では次第に少なくなってきています。

3.引き込み型店(店員空間が狭い)


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次に「店員空間が狭い引き込み型店」をご紹介します。
これは、「商品空間」を店の中に引き込んで、店内に「客空間」をつくった構造です。
かつての商店街の肉屋、時計店、薬局・薬店などによく見られた店で、店内に商品空間として陳列ケースを置いているのが普通です。商品の劣化を防ぎ、店員の居住性を高めるために入り口を閉めている店が多く、目的買いの客でなければ入りにくい店でした。
かつての駅ビルや百貨店の贈答用和洋菓子店や、有名ブランドの宝飾店などにこのような店(入り口は開いている)がありましたが、冷やかし客を引き付けることはむずかしい店でした。

4.引き込み型店(店員空間が広い)


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次に、「店員空間が広い引き込み型店」をご紹介します。
これは、先ほどの「店員空間が狭い引き込み型店」が大型になったもので、店の間口が広く、奥行も深くなり、店内のケースなどは様々なレイアウトがあります。
このタイプの店は、外から見ると入りにくいイメージがしますが、いったん入ってしまうと、店員空間が広いためにあまり店員(販売員)が気にならず、ゆっくり商品を選ぶことができる店もたくさんあり、路面店で比較的大型の和洋菓子店などに見られるタイプです。
ただし、店員(販売員)があまり積極的に接客すると、客が落ち着いて商品を見ることができなくなるので、接客に注意が必要です。

5.引き込み・回遊型店(店員空間がない)


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次に、「店員空間がない、引き込み・回遊型店」をご紹介します。
「引き込み・回遊型店」とは、店頭に商品空間を置かず、店内に回遊型の「商品空間」と「客空間」を用意している店です。
「引き込み・回遊型店」の場合、店員空間があるかないかで、その店の性格はまったく異なります。「店員空間がない」タイプの店は、「店員空間」と「客空間」が重なっているために、店員はいわゆる「側面販売」を行います。

「店員空間がない、引き込み・回遊型店」は、かつての商店街の雑貨店、ファッション店などによく見られた構造で、入り口を締め切った店がたくさん存在していました。このような店は、店内の構造や商品をあらかじめ知らない客にとっては非常に入りにくいイメージがします。
近年でも、このようなタイプの店は地下街などでたくさん見ることができます。
このタイプの店は、店員(販売員)の存在が良く目立つため、接客アクションがむずかしい店です。

6.引き込み・回遊型店(店員空間がある)


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次に、「店員空間がある、引き込み・回遊型店」をご紹介します。
「引き込み・回遊型店」とは、店頭に「商品空間」を置かず、店内に回遊型の「商品空間」と「客空間」を用意している店です。
「店員空間がある」タイプの店は、店内に明確なレジカウンター(店員空間)がつくられていることが多く、いわゆる「セルフ販売方式」を行います。

典型的な例はコンビニエンスストアです。コンビニエンスストアの場合、店頭は閉め切られていることが多いのですが、「セルフ販売方式」なので、店内に入っても接客されないので、客にとっては入りやすい構造と言えます。
一般の店の場合に、この構造で成功するためには、商品空間の広さとつくり方が非常に重要です。商品が少なすぎたり商品空間が狭すぎたりすると、客が「セルフ販売方式」であることを認識できないことがあるので、注意が必要です。

7.接触・引き込み・回遊型店(店員空間がない)


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次に、「店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店」をご紹介します。
「接触・引き込み・回遊型店」とは、店頭に「商品空間」を置き、店内に回遊型の「商品空間」と「客空間」を用意している店です。
「接触・引き込み・回遊型店」の場合も、「店員空間」があるかないかで、その店の性格はまったく異なります。「店員空間がない」タイプの店は、「店員空間」と「客空間」が重なっているために、店員(販売員)はいわゆる「側面販売」を行います。
「店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店」は、かつての商店街の雑貨店、ファッション店などによく見られた構造で、店頭にたくさんの商品を陳列して客を引き付けることを目的としています。
このような構造の店の場合、店員(販売員)が店頭の商品空間の近くに立って客を待ちかまえると、客が商品空間に近づきにくくなることが多いので注意が必要です。

8.接触・引き込み・回遊型店(店員空間がある)

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次に、「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」をご紹介します。
「接触・引き込み・回遊型店」とは、店頭に「商品空間」を置き、店内に回遊型の「商品空間」と「客空間」を用意している店です。
「店員空間がある」タイプの店は、店内に明確なレジカウンター(店員空間)がつくられていることが多く、いわゆる「セルフ販売方式」を行います。

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