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2012年9月19日 (水)

「ねんりん家」には、なぜ行列ができるのか? 店舗と接客の秘密

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みなさんは、ねんりん家という店をご存知ですか?
バームクーヘンの専門店で、大変人気があります。

Nenrinya1_2

上の写真の店は、東京大丸・ほっぺタウンにあるねんりん家で、行列が絶えない店としても有名です。もちろん、バームクーヘンは大変美味しいのですが、行列ができる理由は果たして本当にそれだけなのでしょうか?
さっそく、この店の行列の謎に迫ってみることにしましょう。
 

1.この店の立地・・・・・・出入り口のすぐそばの好立地
この店は、大丸の食品街ほっぺタウン1階の東京駅側の出入り口のすぐそばにあります。
従って、見知らぬ客(移動客)を対象にした、「移動空間」に存在する典型的な店と言えます。
店の規模も広く、店の奥には実演工場もあります。
ちなみに、百貨店の出入り口から奥に向かって、ねんりん家、シュガーバターの木、銀のぶどうと3軒の菓子店が並んでいますが、いずれも株式会社グレープストーンという同じ会社が展開しているブランド店です。
 

2.この店の扱い商品・・・・・・バームクーヘン。奥に工場がある。
この店の扱い商品はバームクーヘン2種類だけです。
もちろん包装の量によっていくつかの価格帯はありますが、基本的な商品は2種類のバームクーヘンで、単品販売に近いイメージです。
 

3.この店の店舗構造・・・・・・店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店
この店の構造は「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」としましたが、細かくは「店員空間が狭い接触型店」と「店員空間が広い引き込み型店」の折衷型店舗で、非常に変則的な構造をしています。
商品空間は向かって左側の対面販売の商品ケースと、右側の対面販売の商品ケースに分かれています。右側の商品ケースは、ひやかし客が商品を見たり、予約と配送のみの客が伝票を記入したり精算をしたりするのに使われています。
さらに、店の奥にはバームクーヘン工場があり、商品はこの工場で生産されています。

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店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店

4.この店の店員(販売員)と客のアクション
それでは、この店の店員(販売員)と客のアクションを見てみましょう。
この店の大きな特徴は、店頭に店員(販売員)がいて、呼び込みや商品説明を行っていることです。
一般に、店員(販売員)の早すぎる「いらっしゃいませ」は客を遠ざけるアクションになるのですが、この店の場合、この店員(販売員)は単に呼び込みをするだけで販売することがないために、客が遠ざかることはありません。この店員(販売員)の呼び込みの声は「客寄せ音頭」に、パネルを掲げるアクションは「客寄せ踊り」として、通行客を引き付ける働きをしています。
また、この店員(販売員)の大きな役割は、買いたい客を誘導して行列をつくることです。
 
店員(販売員)が「お決まりのお客様から、こちらにお並びください」などと誘導すると、買うことが決定した客は店内の左側の商品ケースに移動します。
そこには3人の店員(販売員)がいて注文を受け、精算・包装を行っています。
 

この時、非常に重要なことは、この店の場合、列に並んだ客はすべて買うことが決定しているということです。だから、店内の店員(販売員)は客をつかまえたり、説得したりして販売する必要がありません。この店は、店員(販売員)が声をかけるタイミングが悪くて客が買わずに帰ってしまうという一般的な物販店で生じやすい失敗が極めて少ない店なのです。
従って、この店の店員(販売員)は、スーパーのレジやコンビニのレジ係のように、ただ、注文を聞いて商品を売るだけで、どんどん売り上げがあがります。
もう一度平面図を見てみましょう。


Nenrinya_heimenzu_3

店内の左側の商品ケースの後ろにいる3人の店員(販売員)は次々に精算・包装作業を行っています。これは、スーパーやコンビニで、レジが3台稼働しているのと同じ状態です。
客は通路に沿ってフォーク並びに一列に並んでいる常態になっており、空いたレジに順番に送り込まれていきます。行列がフォーク並びになる利点は、すべての客が一列に並ぶために、行列の長さが長くなることです。
また、店内のレジで精算する客も横並びになるため、店の外から見ると、三人精算しているだけで、あたかも三人の行列ができているかのようなイメージを与えます。
すでにご説明したように、客を引き付ける最大の要素は「サクラパワー」です。
たとえ三人でも行列ができると、それは次の客を引き付ける非常に大きなパワーを発揮するのです。

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5.この店が売れる時、売れない時
他の繁盛店の分析でも説明しましたが、曜日や時間帯、また天候などの要因によって、どんな人気店でも必ずまったく客がいない時間帯が存在します。
実は、繁盛店になるために最も重要なことは、客がまったくいない時に店員(販売員)がどのようなアクションをするかということなのです。
この店の場合は、店頭で呼び込みや説明を担当している店員(販売員)と、予約と配送の注文を担当している店員(販売員)が、協力して呼び込みを行っています。

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すでに説明したように、この店では客が行列に並ばない限り接客を開始しないので、二人の呼び込むアクションと声は「客寄せ踊り」「客寄せ音頭」として機能し、通行量の増加に伴って行列が発生します。そして、いったん行列ができると、「サクラパワー」が生じてさらに多くの通行客を引き付けるので、次第に行列が絶えない店になっていくのです。


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まとめると、この店の繁盛の仕組みは、

1.大勢の見知らぬ客が行き交う「移動空間」に立地していること
2.セルフ販売を行うための、「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」
  の
構造をしていること
3.注文後に接客を開始する「一見接客」が行われていること


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