40.客をひきとめる商品空間つくり(入りやすい店売れる店1986年版)
こんにちは。
店が店員の「なわばり」である、ということを受け入れようとしない販売関係者の方々は、現在でも多数います。
そのような多くの販売関係者の方々は、「冷やかし客」に対して、単純に「買わない客」だと決めつけています。
しかし、店が店員の「なわばり」であるということを理解していたり、現場で肌を通してそのことを感じている店員や販売関係者の方々は、「冷やかし客」は、「購入客」に変わったり、その他の客の購入を促進したりするための「大切な客」だと考えています。
実は、「冷やかし客」は「サクラパワー」となって、店の「なわばり」を解除して、通行客を引きつける重要な役割を果たしてくれるのです。
そのような「冷かし客」をできるだけ大勢引きつけるためには、「店員空間の狭い(あるいは広い)接触型店」でも説明しましたように、「冷やかし安全信号」を設置することが必要になります。
特に前回まで説明してきました「店員空間の広い引き込み型店」は、店全体の規模が大きいので、「商品空間」や「客空間」への「冷やかし安全信号」の設置が十分に可能になります。
特に通行客の目線に入りやすい場所に、購入するかしないかには関係なく、自由に眺めることができると一目で感じられる「ひやかし安全信号」が設置されている店には、「冷やかし客」が大勢足を踏み入れてきます。
購入することが決まっている客にとっても、「冷やかし客」の存在は決して不快なものではありません。
それだけ店の「なわばり」が解除されて、より買いやすい雰囲気に包まれるからです。
「冷やかし安全信号」が客を引きつけているという観点からも、リアルショップを観察してみてください。
それでは、今回の「客をひきとめる商品空間づくり」をご説明いたします。
なお、このシリーズは約35年前の書籍の抜粋であるということを改めて念頭に入れて頂いた上で、どうぞお読みください。
(4)客をひきとめる商品空間づくり
◆ひやかし安全信号が客を落ち着かせる
店全体の中で、最も目立つように作らなければならないのは商品空間です。
店は客の注意が商品空間にうまくひきつけられるように設計されていなければなりません。
このタイプの店は店全体の空間が広いので、店内の内装にも様々な工夫をすることができます。
時々、商品空間よりも他の部分のほうが目立つような店がありますが、こういう店は客にとってあまり居心地のよいものではありません。
接触型店のところでも述べたとおり、客を店にひきつけておくための工夫として、ひやかし安全信号が必要です。
商品空間の中が商品だけで占められている場合、「商品空間をながめること」=「買うこと」というメッセージが伝わってしまいます。
けれども商品空間に商品以外のものでとても興味をひくものが置いてあるときには「ゆっくりひやかしていってください」どいうメッセージが伝わるので、客はずっと落ち着いて商品空間を見ることができます。
またこのタイプの店では客の滞留時間が長くなるので、その間、客をあきさせないためにも、ひやかし安全信号が必要です。
また、商品空間だけでなく広い客空間を利用して、客が見て楽しめるような装飾をするのもーつのひやかし安全信号です。
これは客が店内にはいってくるのを助けたり、出ていこうとする客を店内にひきとめたりするのに役立ちます。
客がいつも店にいるようなしかけが、売り上げを伸ばすのです。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
続きは次回に…。
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