2017年10月16日 (月)

64の(1).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

こんにちは。

前回、前々回に引き続き、具体的には目には見えないにも関わらず、客の行動や感情に大きな影響を与える店員のアクションについて説明しています。


前々回の「お辞儀アクション」と前回の「うなずきアクション」と同じく、今回の「案内アクション」もまた、店員が客に大きな影響を与えるアクションです。

店員は接客の際に、客に対して様々な「ことば」を使って、場所や方向を案内します。

「それはこちらです」
「こちらをご覧ください」
「それはあちらです」
「あちらをご覧ください」

等の場所や方向を案内する際の「ことば」と共に、「案内アクション」を伴いますが、ほとんどの客はそのアクションには気づいておりません。

ところが、「案内アクション」に気づいていないにもかかわらず、その時の店員の「ことば」に対して「感じが良い」あるいは「感じが悪い」という印象を抱きます。

多くの客は、「ことば」の語尾や声の大小の違いなどからその印象が生まれているのだと思っていますが、本当は店員の「案内アクション」によって印象が違っているのです。

(1)「感じが良い」案内だと判断される「案内アクション」

①手や指を使って、自分が向いている方向を、はっきりと指し示す案内アクション(きちんと指し示すのでわかりやすい)


Photo_15

 

(2)「感じが悪い」案内だと判断される「案内アクション」

 

①指し示した手や指を、直ぐに引っ込める案内アクション(何を指示したのかがわかりにくく不親切なイメージがする)

 

Photo_16

②自分が向いていない方向を、指し示す案内アクション(混乱を生じやすくいい加減なイメージがする)

Photo_17
③場所や方向を、あいまいに指し示す案内アクション(はっきりせず、無責任なイメージがする)

 

Photo_18

接客の際に、客の目の前で表現されている以上のような「案内アクション」は、ほとんどの客には見えてはいませんが、「感じが良い」案内や説明方法であるか、あるいは「感じが悪い」案内や説明方法であるかについては、はっきりと伝わってしまいます。

そして、感じが良い「案内アクション」は、「なわばり」を解除し、感じが悪い「案内アクション」は、「なわばり」を主張するのです。

以上のことを考慮しつつ、「64の(1).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時」をお読みください。

(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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64の(1).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

この店は、新宿伊勢丹百貨店一階の化粧品売り場にあります。

百貨店の一階は、たいてい女性を対象とした、ハンドバッグ、靴、貴金属等のコーナーがあり、さらに必ずといっていいほどこの化粧品のコーナーがあります。

百貨店の各コーナーには、それぞれ特有の雰囲気があるものですが、美しい化粧品が陳列された中に、個性的なメーキャップをした美しい美容コンサルタント(店員)が立ち並ぶ様子は、非常に華やかなながめです。


Photo


さて、この店は、化粧品コーナーと他のコーナーの境目にあって、しかも、この化粧品コーナーの中では最も広い面積を占めています。

平面図で見るとおり、店は二つの部分に分かれており、それぞれ柱のまわりをとり囲むように店員空間があり、さらにその外側を商品空間がとり囲んでいます。

つまりこの店は、店のまわりのどの方向からでも客が接触することのできる接触型店の構造をしています。

2


このコーナーの他の化粧品店もやはり接触型店ですが、柱をとり囲んだ一ブロックの面積を二店から四店で分けあうという規模の小さいものになっています。

この店は他店に比べると五~六倍にも相当する大規模な接触型店ということになります。

店員空間そのものの割りあても比率的には他店と変わらないのですが、店員が自分の店の空間を自由に移動できるため、結果的には広い店員空間を持っているのと同じような状況になっています。

商品空間のつくりそのものは、ほとんど他の店と変わりません。

化粧品特有の、ガラスケースの中に商品がごく少量飾られているというディスプレー方式です。

というのも化粧品そのものの性質上、客が店員にいろいろと相談して商品を買うことになるので、商品ケースそのものはさほど重要な役割をはたさないからです。

この店は接触型店ですから、客空間は店外の通路上にできます。

四方を通路で囲まれたこの店は広い客空間を生み出しやすい状況を備えています。

さらにこの店は百貨店の幅広い主要通路に面しているために、その部分は特にゆったりした客空間が生じやすくなっているのです。

また、細い通路に面したところには、客が腰かけてスキンケアの実施指導をうけられるカウンター席が六席用意されています。

この店は、全体に華やかなイメージのただよう化粧品コーナーの中では、かなり特殊なイメージを打ち出しています。

店員のユニホームは白衣に近いデザインになっており、店そのものも自を基調にしたシンプルなイメージです。

商品ケースの上にはあちこちにシンプルなアーム付きのライトが置かれています。

他店が豪華な店展開なのに対して、この店はずっとすっきりしています。

それではこのユニークな化粧品店での出来事を、もっと詳しくながめてみることにしましょう。

次回、「64の(2).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時」に続く。


(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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